管轄とは(全体像)
管轄とは、取消訴訟を、どの裁判所に提起すればよいかという訴訟要件のこと。「いつまでに訴えるか(出訴期間)」「誰が訴えるか(原告適格)」とは別で、訴える場所を決める問題だ。
原則を押さえる。
- 被告の所在地 … 被告となる国や公共団体の所在地を管轄する地方裁判所。
- 処分庁の所在地 … 処分や裁決をした行政庁の所在地を管轄する地方裁判所。
このどちらかの地方裁判所が、原則の管轄になる。
詳しく:原則と特例、そして特定管轄
ここが心臓部。原則の管轄、不動産の特例、そして特定管轄を押さえる。
管轄の原則と特例
| 区分 | どこの裁判所か |
|---|---|
| 原則 | 被告(国・公共団体)の所在地、または処分庁の所在地の地方裁判所 |
| 不動産の特例 | 不動産や特定の場所に係る処分は、その所在地の裁判所にも提起できる |
まず原則。たとえば県の処分を争うなら、被告である県の所在地(県庁所在地)の地方裁判所が原則だ。処分庁の所在地でもよい。
次に不動産の特例。土地収用のように、不動産や特定の場所に関わる処分なら、その不動産・場所の所在地の裁判所にも起こせる。
そして、試験でよく問われるのが特定管轄だ。
特定管轄(国が被告のとき)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 使える場面 | 国を被告とする取消訴訟 |
| どこに起こせるか | 原告の住所地に近い、高等裁判所の所在地の地方裁判所 |
国を被告とする取消訴訟では、原則の裁判所だけでなく、原告の住所地に近い裁判所にも起こせる。これが特定管轄だ。遠くに住む人が、わざわざ国の所在地(東京など)まで行かずに、近くの裁判所で訴えられるようにして、負担を軽くしている。ただし、これは国が被告のときに限られる点に注意する。
わかりやすく言い換えると
つまり管轄は「どの裁判所に起こすか」の問題。原則は被告(国・公共団体)や処分庁の所在地。さらに国が被告なら、原告の住所地に近い裁判所にも起こせる(特定管轄)。選べる場所は一つではない。
要するに押さえどころは2つ。①原則は、被告(国・公共団体)の所在地や処分庁の所在地の地方裁判所、②国を被告とするときは、原告の住所地に近い裁判所にも起こせる(特定管轄)。
試験のツボ
🔴 一番出る:原則の管轄
①被告(国・公共団体)の所在地の地方裁判所
②処分庁の所在地の地方裁判所
🔴 次に出る:特定管轄
国を被告とするときは、原告の住所地に近い裁判所にも提起できる。
🟡 押さえると安定:不動産の特例
不動産や特定の場所に係る処分は、その所在地の裁判所にも提起できる。
よくある間違い
①「取消訴訟は、つねに被告の所在地の裁判所だけに起こす」→ ✗ 処分庁の所在地、不動産の特例、特定管轄など、ほかにも起こせる裁判所がある。
②「特定管轄は、すべての取消訴訟で使える」→ ✗ 特定管轄が使えるのは、国を被告とする取消訴訟に限られる。
③「管轄とは、いつまでに訴えるかという期間の要件である」→ ✗ 管轄は「どこの裁判所に」起こすかの要件。期間は出訴期間の問題。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(管轄の意味)
管轄に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 管轄とは、取消訴訟をどの裁判所に提起すべきかという訴訟要件をいう
- 管轄とは、取消訴訟をいつまでに提起すべきかの期間制限をいう
- 管轄とは、誰が取消訴訟を提起できるかという資格をいうものとされる
- 管轄とは、取消訴訟で何を主張できるかという内容をいうものとされている
解答は 1 だ。
管轄とは、取消訴訟をどの裁判所に提起すべきかという訴訟要件だ。「訴える場所」を決める問題だぞ。
選択肢2は出訴期間、選択肢3は原告適格、選択肢4は訴訟の内容であって、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | どの裁判所に提起するかの要件で正しい |
| 2 | ✗ | それは出訴期間 |
| 3 | ✗ | それは原告適格 |
| 4 | ✗ | 訴える場所の話ではない |
オリジナル問題2(特定管轄)
取消訴訟の管轄に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 取消訴訟は、つねに被告の所在地の裁判所だけに提起するものとされる
- 取消訴訟は、原告がどの裁判所でも自由に提起できるとされる
- 取消訴訟は、処分庁の所在地の裁判所には提起できないとされている
- 国を被告とするときは、原告の住所地に近い裁判所にも提起できる
解答は 4 だ。
国を被告とするときは、原告の住所地に近い裁判所にも提起できる(特定管轄)。遠方の原告の負担を軽くする仕組みだぞ。
選択肢1の「被告所在地だけ」、選択肢2の「どの裁判所でも自由」、選択肢3の「処分庁には不可」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | ほかにも起こせる裁判所がある |
| 2 | ✗ | どの裁判所でも自由に、ではない |
| 3 | ✗ | 処分庁の所在地にも提起できる |
| 4 | ✓ | 国が被告なら住所地に近い裁判所にも可で正しい |
オリジナル問題3(特定管轄の範囲)
特定管轄が使える範囲に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 特定管轄は、すべての取消訴訟について当然に利用できるものとされている
- 特定管轄は、私人を被告とする訴訟だけで利用できるとされる
- 特定管轄は、国を被告とする取消訴訟について利用できるものである
- 特定管轄を使えば、原告は外国の裁判所にも提起できるものとされる
解答は 3 だ。
特定管轄が使えるのは、国を被告とする取消訴訟に限られる。すべての取消訴訟で使えるわけではないぞ。
選択肢1の「すべての取消訴訟」、選択肢2の「私人を被告」、選択肢4の「外国の裁判所」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | すべての取消訴訟ではない |
| 2 | ✗ | 国を被告とする訴訟の話 |
| 3 | ✓ | 国を被告とする取消訴訟で使えて正しい |
| 4 | ✗ | 外国の裁判所には起こせない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 取消訴訟をどの裁判所に提起すべきかという訴訟要件。
- 🔴 原則 = 被告(国・公共団体)の所在地、または処分庁の所在地の地方裁判所。
- 🟡 特定管轄と特例 = 国が被告なら原告の住所地に近い裁判所にも可。不動産はその所在地の裁判所にも可。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部