聴聞手続とは(全体像)
聴聞とは、行政庁が重大な不利益処分をしようとするとき、その相手(名宛人となるべき者)に、口頭で意見を述べる機会を与える審理手続のこと。
対象は、許可の取消しのような、重大な不利益処分。重い処分をする前に、相手の言い分をしっかり聞こうというしくみだ。
おおまかな流れは、こう。
- ①予定する処分の通知 … これから何の処分をするかを相手に知らせる。
- ②聴聞の期日 … 主宰者の進行で、相手が口頭で意見を述べる。
- ③調書の作成 → 処分 … やり取りを記録し、それをふまえて処分する。
詳しく:弁明との違い・主宰者・当事者の権利
ここが心臓部。弁明との違い、主宰者の中立性、当事者の権利を押さえる。
聴聞と弁明のちがい
| 方式 | 対象 | |
|---|---|---|
| 聴聞 | 口頭で意見を述べる(手厚い) | 許可取消しなど重大な不利益処分 |
| 弁明の機会の付与 | 原則として書面による | それ以外の不利益処分 |
まず弁明との違い。聴聞は口頭でやり取りする手厚い手続、弁明は原則として書面による。重い処分ほど聴聞、と覚える。
次に主宰者。聴聞を進める主宰者は、行政庁が指定する職員だが、予定する処分に関係した人は外される。判断する側と聞く側を分けて、中立性を保つためだ。「行政庁の長官が必ず務める」わけではない。
そして、当事者(相手方)の権利。
当事者の主な権利
| 権利 | 内容 |
|---|---|
| 文書の閲覧 | 処分の原因となる事実を示す資料などを見られる |
| 証拠の提出・意見の陳述 | 自分に有利な証拠を出し、意見を述べられる |
| 代理人の選任 | 代理人を立てて手続を行える |
当事者は、処分の理由となる資料を閲覧でき、証拠を出して意見を述べることができる。代理人を立てることもできる。なお、聴聞は行政の手続であって、裁判のように証人を強制的に尋問する力などはない。
最後に効果。聴聞手続に違反してされた処分は、手続の瑕疵として取消事由になる。手続を飛ばして処分はできない、ということだ。
わかりやすく言い換えると
つまり聴聞は「重い処分の前に、口頭でしっかり言い分を聞く手続」。書面が原則の弁明より手厚い。
要するに押さえどころは2つ。①聴聞は口頭・重大処分が対象(弁明は書面・その他)/主宰者は中立な職員、②聴聞手続に違反した処分は取消事由になる。
試験のツボ
🔴 一番出る:聴聞と弁明の違い
①聴聞 = 口頭で意見を述べる(重大な不利益処分)
②弁明の機会の付与 = 原則として書面による(その他の不利益処分)
🔴 次に出る:主宰者の中立性
主宰者は行政庁が指定する職員。予定する処分の関係者は外される(中立性)。
🟡 押さえると安定:手続違反の効果
聴聞手続に違反した処分は、手続の瑕疵として取消事由となる。
よくある間違い
①「聴聞は、書面のやり取りだけで行う手続」→ ✗ 聴聞は口頭で意見を述べる手続。書面が原則なのは弁明のほう。
②「聴聞の主宰者は、必ず行政庁の長官が務める」→ ✗ 主宰者は指定された職員。予定する処分の関係者は外される。
③「聴聞手続に違反しても、処分の効力に影響しない」→ ✗ 手続違反は取消事由になる。手続を飛ばして処分はできない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(聴聞の意味)
聴聞手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 聴聞とは、すべての不利益処分の前に必ず行われる書面の手続をいうものとされる
- 聴聞とは、申請に対する処分の前に申請者の意見を聞く手続をいうものとされる
- 聴聞とは、重大な不利益処分の前に、相手に口頭で意見を述べる機会を与える手続
- 聴聞とは、処分を受けた人が後から不服を申し立てる裁判手続をいうものとされる
解答は 3 です。
聴聞とは、許可の取消しなど重大な不利益処分の前に、相手に口頭で意見を述べる機会を与える手続です。重い処分の前に、言い分をしっかり聞くしくみです。
選択肢1の「すべての処分・書面」、選択肢2の「申請への処分」、選択肢4の「裁判手続」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 聴聞は口頭・重大な処分が対象 |
| 2 | ✗ | 申請への処分の手続ではない |
| 3 | ✓ | 重大処分の前に口頭で意見を述べるで正しい |
| 4 | ✗ | 裁判手続ではない |
オリジナル問題2(主宰者の地位)
聴聞の主宰者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 聴聞の主宰者は行政庁が指定する職員で、予定する処分の関係者は除かれる
- 聴聞の主宰者は、必ず行政庁の長官が務めなければならないものとされている
- 聴聞の主宰者には、予定する処分に関係した職員が必ず選ばれるものとされる
- 聴聞には主宰者は置かれず、当事者だけで手続を進めるものとされている
解答は 1 です。
聴聞の主宰者は、行政庁が指定する職員ですが、予定する処分に関係した人は除かれます。判断する側と聞く側を分けて、中立性を保つためです。
選択肢2の「必ず長官」、選択肢3の「関係者が選ばれる」、選択肢4の「主宰者を置かない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 指定職員・関係者は除外で正しい |
| 2 | ✗ | 長官が必ず務めるわけではない |
| 3 | ✗ | 関係者はむしろ除かれる |
| 4 | ✗ | 主宰者が手続を進める |
オリジナル問題3(方式と手続違反の効果)
聴聞の方式や手続違反に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 聴聞は書面審理が原則で、口頭で意見を述べることはできないものとされている
- 聴聞は裁判と同じく、証人を強制的に尋問する権限をもつ手続であるとされる
- 聴聞の手続に違反して処分をしても、その処分の効力には影響しないとされる
- 聴聞は口頭で意見を述べる手続で、これに違反した処分は取消事由となりうる
解答は 4 です。
聴聞は口頭で意見を述べる手続で、これに違反してされた処分は取消事由となりえます。手続を飛ばして処分はできない、という点が大切です。
選択肢1の「書面審理が原則」、選択肢2の「証人を強制尋問」、選択肢3の「効力に影響しない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 書面が原則なのは弁明 |
| 2 | ✗ | 強制的な証人尋問の力はない |
| 3 | ✗ | 手続違反は取消事由になる |
| 4 | ✓ | 口頭の手続・違反は取消事由で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 重大な不利益処分の前に、相手に口頭で意見を述べる機会を与える審理手続。
- 🔴 弁明との違い = 聴聞は口頭(重大処分)、弁明は原則として書面(その他)。
- 🟡 主宰者と効果 = 主宰者は中立な指定職員(関係者は除外)、手続違反は取消事由。
次に学ぶ
- 不利益処分 ── 聴聞・弁明の振分けの前提となる、権利を制限する処分。
- 理由の提示 ── 不利益処分とあわせて課される、理由を示す義務。
- 行政行為の瑕疵 ── 手続の違反が「取消事由」となる位置づけにつながる。
執筆: SikakuQuest編集部