弁明の機会の付与とは(全体像)
弁明の機会の付与とは、聴聞の対象にならない不利益処分をする前に、相手に弁明書を提出させて言い分を聞く手続のこと。
不利益処分の事前手続には、聴聞と弁明の2つがある。許可の取消しなど重大な処分は聴聞、それ以外の比較的軽い処分(業務停止命令や過料など)は弁明、という振分けだ。
弁明は、聴聞より簡易な手続。原則として弁明書という書面を出してもらい、それを見て判断する。手続を軽くしつつ、相手の言い分も聞く、というバランスをとっている。
詳しく:聴聞との違いを整理する
ここが心臓部。聴聞との違い(方式・文書閲覧権)を正確に押さえる。
弁明と聴聞のちがい
| 方式 | 文書閲覧権 | 対象 | |
|---|---|---|---|
| 弁明の機会の付与 | 原則として書面(弁明書) | なし | その他の不利益処分 |
| 聴聞 | 口頭 | あり | 重大な不利益処分 |
まず方式。弁明は書面が原則で、弁明書を提出して意見を述べる。証拠書類を出すこともできる。ただし、行政庁が相当と認めたときは、口頭ですることもできる。「弁明は必ず書面」と決めつけないこと。
次に文書閲覧権。聴聞では、当事者は処分の理由となる資料を閲覧できる。一方、弁明には文書閲覧権はない。ここが聴聞との大きな違いで、よく問われる。
そして効果は聴聞と同じ。弁明の機会を与えずにした不利益処分は、手続違反として取消事由になる。手続を飛ばして処分はできない。
わかりやすく言い換えると
つまり弁明の機会の付与は「軽めの処分の前に、書面で言い分を出してもらう簡易な手続」。口頭でじっくり聞く聴聞より、あっさりしている。
要するに押さえどころは2つ。①弁明は書面が原則・その他の不利益処分が対象(聴聞は口頭・重大処分)/ただし行政庁が相当と認めれば口頭も可、②弁明には文書閲覧権がない(聴聞にはある)。
試験のツボ
🔴 一番出る:聴聞との振分けと方式
①弁明 = 書面が原則(その他の不利益処分)
②聴聞 = 口頭(重大な不利益処分)
🔴 次に出る:文書閲覧権の有無
弁明には文書閲覧権がない。聴聞にはある。ここが大きな違い。
🟡 押さえると安定:口頭の例外と効果
行政庁が相当と認めれば口頭も可。弁明を与えずにした処分は取消事由。
よくある間違い
①「弁明にも、文書を閲覧する権利がある」→ ✗ 文書閲覧権は聴聞のみ。弁明にはない。
②「弁明は、必ず書面でしなければならない」→ ✗ 原則は書面だが、行政庁が相当と認めれば口頭でもできる。
③「弁明の機会を与えずに処分しても、効力に影響しない」→ ✗ 手続違反として取消事由になる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(弁明の対象)
弁明の機会の付与に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 弁明の機会の付与は、許可の取消しなど重大な不利益処分の前に行われるとされる
- 弁明の機会の付与は、聴聞の対象でない不利益処分の前に弁明書を出させる手続
- 弁明の機会の付与は、申請に対する処分の前に申請者の意見を聞く手続とされる
- 弁明の機会の付与は、処分後に相手が不服を申し立てる裁判手続をいうとされる
解答は 2 です。
弁明の機会の付与は、聴聞の対象とならない不利益処分の前に、相手に弁明書を出させる手続です。業務停止命令や過料などが主な対象です。
選択肢1の「重大な処分(聴聞の対象)」、選択肢3の「申請への処分」、選択肢4の「裁判手続」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 重大な処分は聴聞の対象 |
| 2 | ✓ | 聴聞対象外の処分に弁明書で正しい |
| 3 | ✗ | 申請への処分の手続ではない |
| 4 | ✗ | 裁判手続ではない |
オリジナル問題2(文書閲覧権の有無)
弁明の機会の付与と聴聞のちがいに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 弁明の機会の付与でも、当事者は聴聞と同じく文書を閲覧する権利をもつとされる
- 弁明の機会の付与でも、当事者は口頭で意見を述べる権利が保障されるとされる
- 弁明の機会の付与では、当事者は証拠書類をまったく提出できないものとされる
- 弁明の機会の付与には文書を閲覧する権利はなく、この点が聴聞との違いとなる
解答は 4 です。
弁明の機会の付与には、文書閲覧権はありません。文書閲覧権があるのは聴聞で、この点が両者の大きな違いです。
選択肢1の「弁明にも文書閲覧権」、選択肢2の「口頭の権利が保障」、選択肢3の「証拠書類を出せない」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 文書閲覧権は聴聞のみ |
| 2 | ✗ | 弁明は書面が原則 |
| 3 | ✗ | 証拠書類は提出できる |
| 4 | ✓ | 弁明に文書閲覧権なしで正しい |
オリジナル問題3(書面と口頭・効果)
弁明の機会の付与の方式や効果に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 弁明の機会の付与は、いかなる場合も口頭で行わなければならないものとされる
- 弁明の機会の付与は、行政庁の判断にかかわらず必ず書面のみによるとされる
- 弁明は書面が原則だが、行政庁が相当と認めるときは口頭ですることもできる
- 弁明の機会を与えずにした不利益処分でも、効力に影響はないものとされる
解答は 3 です。
弁明は書面が原則ですが、行政庁が相当と認めれば口頭ですることもできます。「必ず書面」と決めつけないようにしましょう。
選択肢1の「いかなる場合も口頭」、選択肢2の「必ず書面のみ」、選択肢4の「効力に影響なし」は、いずれも誤りです。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 原則は書面 |
| 2 | ✗ | 相当と認めれば口頭も可 |
| 3 | ✓ | 原則書面・相当と認めれば口頭も可で正しい |
| 4 | ✗ | 与えずにした処分は取消事由 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 聴聞の対象とならない不利益処分の前に、相手に弁明書を出させる書面審理の手続。
- 🔴 聴聞との違い = 弁明は書面(その他の処分)、聴聞は口頭(重大処分)。文書閲覧権は聴聞のみ。
- 🟡 口頭の例外と効果 = 行政庁が相当と認めれば口頭も可。弁明を与えずにした処分は取消事由。
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執筆: SikakuQuest編集部