相続税計算実務とは(全体像)
相続税は、いきなり「いくら」と決まるのではなく、決まった順番で計算して求める。やみくもに足し引きするのではなく、5つの段階を順にたどるのが実務。
特に大事なのが2か所。1つは、財産の合計から基礎控除を引く場面。もう1つは、いったん法定相続分で分けて税率をかけ、相続税の総額を出す場面。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
そして、申告と納付には期限があり、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。「1年以内」と思い込むとひっかかる。
詳しく:相続税計算の5段階
ここが記事の心臓部。相続税は、次の5段階で計算する。
相続税計算の5段階
| 段階 | 求めるもの | やること |
|---|---|---|
| ① | 課税価格の合計額 | 各人の取得財産を合計する |
| ② | 課税遺産総額 | 合計額から基礎控除を引く |
| ③ | 相続税の総額 | 法定相続分で按分し、税率をかけて合計する |
| ④ | 各人の算出税額 | 総額を実際の取得割合で按分する |
| ⑤ | 各人の納付税額 | 税額控除などを加減する |
ポイントは2か所。②で引く基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。③では、実際の分け方ではなく、いったん法定相続分で分けたものとして税率をかけ、相続税の総額を出す。ここを実際の取得割合と取り違えやすい。
そして、計算した相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付する。たとえば1月に亡くなったことを知ったなら、その年の11月が期限の目安。
わかりやすく言い換えると
要するに、相続税は「全部の財産を足す → 基礎控除を引く → いったん法定相続分で分けて税額を出す → 実際の取り分で割り振る → 控除して納める」の5段階。
つまり、覚えどころは基礎控除の式と申告期限10か月の2つ。
①基礎控除 … 3,000万円+600万円×法定相続人の数
②総額の出し方 … いったん法定相続分で按分して税率をかける
③申告・納付 … 知った日の翌日から10か月以内
試験のツボ
🔴 一番出る:基礎控除の式と申告期限
①基礎控除 = 3,000万円+600万円×法定相続人の数
②申告・納付は知った日の翌日から10か月以内
🔴 次に出る:相続税の総額の出し方
①いったん法定相続分で按分して税率をかける
②実際の取得割合は④で使う(総額を割り振る段階)
🟡 押さえると安定:5段階の流れ
①課税価格→課税遺産総額→相続税の総額→各人の税額→納付税額
よくある間違い
①「相続税の申告は1年以内」→ ✗ 申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。
②「基礎控除は一律3,000万円」→ ✗ 3,000万円+600万円×法定相続人の数。相続人の数で金額が変わる。
③「相続税の総額は実際の取り分どおりに税率をかけて出す」→ ✗ いったん法定相続分で分けたものとして税率をかけ、総額を出す。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(申告期限)
相続税の申告・納付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から1年以内にすればよいとされている
- 相続税の申告と納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行うものとされている
- 相続税の申告と納付は、相続が開始した年の12月31日までにすればよいものとされている
- 相続税の申告と納付には期限がなく、いつ行ってもよいことになっているものとされている
解答は 2 だよ。
相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内。たとえば1月に亡くなったことを知ったなら、その年の11月が期限の目安だよ。「1年以内」ではないので注意してね。
選択肢1の「1年以内」、選択肢3の「その年の12月31日まで」、選択肢4の「期限なし」はどれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 1年以内ではなく10か月以内 |
| 2 | ✓ | 知った日の翌日から10か月以内で正しい |
| 3 | ✗ | 12月31日までという決まりではない |
| 4 | ✗ | 期限はある |
オリジナル問題2(基礎控除)
相続税の基礎控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相続税の基礎控除は、相続人の数に関係なく一律で3,000万円に固定されているものとされる
- 相続税の基礎控除は、5,000万円に法定相続人1人あたり1,000万円を加えた額とされている
- 相続税の基礎控除は、3,000万円に対し600万円×法定相続人の数を加えて求めた金額である
- 相続税の基礎控除は、法定相続人1人あたり600万円だけで、定額部分はないものとされている
解答は 3 だっ。
相続税の基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人の数だよっ。たとえば相続人が3人なら、3,000万+600万×3=4,800万円までは相続税がかからないんだっ。「サンゼン・ロッピャク」で覚えてねっ。
選択肢1の「一律3,000万円」、選択肢2の「5,000万+1,000万×人数」、選択肢4の「定額部分なし」は、どれも誤りだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 相続人の数で金額が変わる |
| 2 | ✗ | 3,000万+600万×人数が正しい式 |
| 3 | ✓ | 3,000万+600万×法定相続人の数で正しい |
| 4 | ✗ | 3,000万円の定額部分がある |
オリジナル問題3(相続税の総額の出し方)
相続税の総額の求め方に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相続税の総額は、いったん法定相続分で分けたものとして税率をかけ、合計して求める
- 相続税の総額は、実際の取得割合どおりに分けてから税率をかけて求めるものとされている
- 相続税の総額は、基礎控除を引く前の課税価格にそのまま税率をかけて求めるものとされる
- 相続税の総額は、相続人の人数で課税遺産総額を均等に割って求めるものとされている
解答は 1 である。
相続税の総額は、課税遺産総額をいったん法定相続分で分けたものとしてそれぞれに税率をかけ、合計して求める。実際の分け方ではなく、まず法定相続分で計算するのがポイントである。
選択肢2の「実際の取得割合で税率」、選択肢3の「基礎控除前にそのまま税率」、選択肢4の「人数で均等割り」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 法定相続分で按分して税率をかけ合計で正しい |
| 2 | ✗ | 実際の取得割合で出すのではない |
| 3 | ✗ | 基礎控除を引いた後に計算する |
| 4 | ✗ | 人数で均等割りするのではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 基礎控除 = 3,000万円+600万円×法定相続人の数。相続人の数で金額が変わる。
- 🔴 申告・納付は10か月以内。相続の開始を知った日の翌日から数える(1年ではない)。
- 🟡 5段階の流れ。課税価格→課税遺産総額→相続税の総額→各人の税額→納付税額。総額はいったん法定相続分で按分して出す。
次に学ぶ
- 相続税の計算 ── 相続税がいくらになるかの基本。この計算フローの土台。
- 相続税の基礎控除 ── 「3,000万円+600万円×人数」のしくみをさらに掘り下げる。
- 法定相続分 ── 相続税の総額を出すときに使う分け方。だれがどれだけ相続するかの基準。
執筆: SikakuQuest編集部