相続税の計算とは(全体像)
相続税の計算は、ふつうの感覚とは少し違う。「もらった人がもらった額に税率をかける」のではなく、いったん法定相続分で分けたと仮定して税額を計算するのが特徴。
なぜそんな手順にするかというと、遺産の分け方(遺産分割)によって相続税の総額が変わってしまうのを防ぐため。誰が多くもらうかで国に入る税金が変わると不公平なので、まず法定相続分という共通のものさしで総額を決める。
この方式を法定相続分課税方式といい、FP3では計算の流れがよく問われる。
詳しく:3段階の計算の流れ
ここが記事の心臓部。相続税の計算は、次の3段階で進む。
相続税の計算 3段階
| 段階 | やること |
|---|---|
| ① 課税遺産総額 | 遺産の合計から基礎控除を引く |
| ② 相続税の総額 | ①を法定相続分で分け、各人に税率をかけて合計する |
| ③ 各人の負担 | ②の総額を、実際にもらった割合で割り振る |
ポイントは②。実際にどう分けたかではなく、法定相続分で分けたと仮定して各人の税額を出し、それを合計する。税率は10〜55%の累進(取り分が大きいほど高い)。
そして③で、出来上がった総額を、実際の取得割合で各人に割り振る。だから「税額の総額は②で固定 → ③で配分」という二段構えになっている。
わかりやすく言い換えると
要するに、「先に法定相続分で総額を決め、あとから実際の取り分で分担する」のが相続税の計算。
①まず基礎控除を引いて、課税される遺産を出す
②それを法定相続分で分けて税額を合計(=相続税の総額)
③総額を、実際にもらった割合で割り振る
つまり、もらった額にいきなり税率をかけるのではない。この「ひと手間」のおかげで、分け方を変えても総額は変わらない。
試験のツボ
🔴 一番出る:法定相続分課税方式
①いったん法定相続分で分けて税額を計算
②各人の取得額に直接税率をかけるのではない
🔴 次に出る:3段階の流れ
①基礎控除を引いて課税遺産総額
②法定相続分で税額を合計して相続税の総額
🟡 押さえると安定:分け方で総額は変わらない
①総額は法定相続分で決まる
②実際の取得割合で各人に割り振る
よくある間違い
①「もらった額に直接税率をかけて相続税を出す」→ ✗ いったん法定相続分で分けて総額を出す方式。
②「遺産の分け方を変えれば相続税の総額も変わる」→ ✗ 総額は法定相続分で決まるので、分け方では変わらない。
③「基礎控除を引く前の遺産に税率をかける」→ ✗ 先に基礎控除を引いた課税遺産総額が計算の出発点。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(計算方式)
相続税の計算方式に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相続税は、各人が実際にもらった金額にそのまま税率をかけて計算するものとされている
- 相続税は、いったん法定相続分で分けたものとして税額を計算する方式がとられている
- 相続税は、最も多くもらった相続人の取得額だけを基準に計算されるものと定められているとされる
- 相続税は、相続人の人数で遺産を等しく割ってから税率をかけるものとされている
解答は 2 だよ。
相続税は、いったん法定相続分で分けたものとして税額を計算する方式(法定相続分課税方式)なんだ。もらった額にいきなり税率、ではないよ。
選択肢1の「実際の取得額に直接」、選択肢3の「最も多い人だけ」、選択肢4の「人数で等分」は、どれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 直接ではなく法定相続分で計算 |
| 2 | ✓ | 法定相続分で分けて税額を出す |
| 3 | ✗ | 全員分を法定相続分で計算する |
| 4 | ✗ | 等分ではなく法定相続分による |
オリジナル問題2(分け方と総額)
遺産の分け方と相続税の総額の関係について、正しいものはどれか。
- 遺産の分け方を変えると、相続税の総額も大きく変わってしまうものとされている
- 相続税の総額は、相続放棄をした人がいるかどうかで毎回変動するものと定められている
- 相続税の総額は法定相続分で決まるため、実際の分け方を変えても総額は変わらない
- 相続税の総額は、最後にもらった人が一人で全額を負担するしくみであるとされている
解答は 3 だっ。
相続税の総額は、法定相続分で分けたものとして計算するから、実際の分け方を変えても総額は変わらないんだっ!分け方で国に入る税金が変わらないようにする工夫だよっ。
選択肢1・2・4は、分け方や特定の人で総額が変わるとしていて誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 分け方では総額は変わらない |
| 2 | ✗ | 法定相続分で総額が決まる |
| 3 | ✓ | 総額は法定相続分で決まる |
| 4 | ✗ | 実際の取得割合で分担する |
オリジナル問題3(計算の出発点)
相続税の計算の出発点に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相続税は、基礎控除を引く前の遺産の合計額にそのまま税率をかけて計算するとされている
- 相続税は、相続人が受け取った保険金だけを基準にして計算されるものと定められているとされる
- 相続税は、生前の収入の合計を基準に計算するしくみであると定められているものとされる
- 相続税は、遺産の合計額から基礎控除を引いた課税遺産総額を出発点として計算することになる
解答は 4 である。
相続税の計算は、遺産の合計から基礎控除を引いた課税遺産総額が出発点である。ここから法定相続分で分けて税額を計算していく。
選択肢1の「基礎控除を引く前」、選択肢2の「保険金だけ」、選択肢3の「生前の収入」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 先に基礎控除を引く |
| 2 | ✗ | 保険金だけではない |
| 3 | ✗ | 基準は遺産であり収入ではない |
| 4 | ✓ | 課税遺産総額が出発点 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 法定相続分課税方式 = いったん法定相続分で分けて税額を出す(実際の取得額に直接ではない)。
- 🔴 3段階 = ①課税遺産総額 → ②法定相続分で相続税の総額 → ③実際の取得割合で割り振る。
- 🟡 総額は法定相続分で決まるので、分け方を変えても総額は変わらない。
次に学ぶ
- 基礎控除(相続) ── 計算の第1段階。遺産から引く非課税ラインのしくみ。
- 法定相続分 ── 第2段階で使う「分けるものさし」。誰がどれだけの割合かが土台になる。
- 配偶者の税額軽減 ── 計算した相続税を、配偶者なら大きく減らせる制度。
執筆: SikakuQuest編集部