所得税の計算とは(全体像)
所得税の計算は、各種所得を合計して所得控除を引いた「課税所得金額」に、段階別の税率をかけて税額を出すしくみ。
一番大事なのは、所得税が「超過累進」だということ。所得が多い人ほど高い税率になるが、その税率は所得の全体にかかるのではなく、「その段に乗った分だけ」にかかる。
たとえば課税所得500万円なら、全体に一律で税率をかけるのではなく、195万円までの分・195万〜330万円の分・330万〜500万円の分、と段ごとに区切って計算する。この段ごとの足し算を一発で済ませるのが「速算表」。さらに本体の税額に2.1%を上乗せするのが「復興特別所得税」。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。所得税の計算の中身は、次の表に全部つまっている。
所得税の速算表(現行7段階)
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
税率は 5% → 45% の7段階。課税所得金額が表のどの行に入るかで、その段の税率と控除額が決まる。そして計算は次の1本の式で済む。
速算表の計算式と復興特別所得税
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所得税本体 | 課税所得金額 × その段の税率 − その段の控除額 |
| 復興特別所得税 | 所得税本体 × 2.1%(東日本大震災の復興財源のための時限的な上乗せ) |
| 合計 | 所得税本体 × 1.021(本体に2.1%上乗せ) |
たとえば課税所得500万円なら、第3段(20%・控除額427,500円)に入るので、本体=500万円×20%−427,500円=572,500円。これに復興特別所得税が2.1%乗って、合計は約584,522円(本体×1.021)になる。税率や境界は受験年度の最新仕様で確認しておくと安心。
わかりやすく言い換えると
わかりやすく言い換えると、所得税の計算は「階段」をのぼるイメージで覚えるとラク。つまり下の段から順に、その段に乗った所得の分だけ、その段の税率がかかる。上の段にあがっても、下の段の分まで高い税率になるわけではない。
試験のツボ
🔴 一番出る:現行は7段階・超過累進
①税率は 5%〜45%の7段階
②所得が多い人ほど高い税率(累進)
③ただし「超えた分だけ」に高税率=超過累進(全体に一律ではない)
🔴 次に出る:速算表の計算
①本体 = 課税所得 × 税率 − 控除額
②例:500万円 → 500万円×20%−427,500円=572,500円
🟡 押さえると安定:復興特別所得税2.1%の上乗せ
①所得税本体に 2.1% が上乗せ(合計=本体×1.021)
②東日本大震災の復興財源のための時限的な税(所得税とは別の税)
よくある間違い
①「課税所得の全額に最高税率が一律でかかる」→ ✗ 現行は超過累進。「超えた分だけ」に高い税率がかかる。全体に一律は使わない。
②「現行の税率は6段階(5〜40%)」→ ✗ 現行は 7段階(5〜45%)。4,000万円超=45%の段がある。
③「復興特別所得税は5%」→ ✗ 2.1%。所得税とは別の、復興財源のための時限的な税。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(税率構造)
所得税の税率構造に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 所得税の現行税率は課税所得の多寡にかかわらず一律で20%が適用される比例税率の構造である
- 所得税の現行税率は5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7段階の累進構造である
- 所得税の現行税率は最高45%とする5%から45%までのちょうど3段階の累進構造である
- 所得税の現行税率は5%から40%までの6段階で4,000万円超の最高税率の段は設けられていない
解答は 2 だよ。
わかりやすく言い換えると、所得税は所得が多い人ほど高い税率になる「累進」で、現行は 5%・10%・20%・23%・33%・40%・45%の7段階。195万円以下=5%から始まって、4,000万円超=45%まで段階的にあがるんだ。一律20%の比例税率でも、3段階でも、6段階でもないよ。「現行は7段階・最高45%」を押さえてね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 所得税は累進で、一律の比例税率ではない |
| 2 | ✓ | 5%〜45%の7段階で正しい |
| 3 | ✗ | 5%から45%までだが段は3段階でなく7段階 |
| 4 | ✗ | 現行は7段階(5〜45%)。6段階は古い構造 |
オリジナル問題2(速算表の計算)
課税所得金額500万円の所得税本体額(復興特別所得税を除く)について、正しいものはどれか。税率は20%、その段の控除額は427,500円とする。
- 課税所得500万円に20%をかけた100万円が、控除額を引く前後を問わず本体の額になるとされる
- 課税所得500万円からまず控除額427,500円を先に引き、その残額に20%をかけた金額が本体額になる
- 課税所得500万円に20%をかけたのち、さらに2.1%を引いた金額が所得税の本体の額になるとされる
- 課税所得500万円に20%をかけ、そこから控除額427,500円を引いた572,500円が本体額になる
解答は 4 だっ。
つまり速算表は「かけて、引く」の順だっ。課税所得500万円に税率20%を"かけて"100万円、そこから控除額427,500円を"引いて"、本体=572,500円だっ!先に控除を引くのでも、2.1%を引くのでもないよっ。2.1%(復興特別所得税)はこの本体に最後に"上乗せ"するものだっ。「×税率 − 控除額」を押さえろっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 控除額427,500円を引いていない |
| 2 | ✗ | 控除を先に引くのではなく、かけてから引く |
| 3 | ✗ | 2.1%は引くのではなく本体に上乗せする |
| 4 | ✓ | 500万円×20%−427,500円=572,500円で正しい |
オリジナル問題3(超過累進と復興特別所得税)
所得税の課税方式と復興特別所得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 所得税は超過累進で超えた分のみに高税率をかけ、本体に復興特別所得税2.1%が上乗せされる
- 所得税は単純累進で課税所得の全体に常に最高税率が一律で適用される方式であるとされている
- 所得税は所得の多寡にかかわらず一律の税率を適用し、復興特別所得税は本体の5%とされている
- 所得税は超えた分を非課税とする方式で、復興特別所得税は恒久的に本体へ上乗せされるとされる
解答は 1 である。
要するに、所得税は「超えた分だけ」に高い税率をかける超過累進。全体に一律で最高税率をかける単純累進ではない。たとえば課税所得500万円なら、段ごとに区切って合計572,500円となり、500万円全体に20%をかけるわけではない。そして本体に2.1%だけ上乗せされるのが復興特別所得税で、これは東日本大震災の復興財源のための時限的な税である。5%でも、恒久でもなく、超えた分を非課税にする方式でもない。「超えた分のみ・超過累進+復興特別所得税2.1%」を押さえる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 超過累進+復興特別所得税2.1%の上乗せで正しい |
| 2 | ✗ | 全体に一律は単純累進で、現行では不採用 |
| 3 | ✗ | 一律税率ではなく累進。復興特別所得税は5%でなく2.1% |
| 4 | ✗ | 超えた分は非課税ではない。復興特別所得税は時限的 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 税率は現行7段階(5%〜45%)。所得が多い人ほど高くなる累進で、195万円以下=5%から4,000万円超=45%まで。
- 🔴 超過累進=「超えた分だけ」に高税率(全体に一律ではない)。計算は速算表=課税所得×税率−控除額で一発(例:500万円×20%−427,500円=572,500円)。
- 🟡 復興特別所得税は本体に2.1%上乗せ(合計=本体×1.021)。東日本大震災の復興財源のための時限的な税で、所得税とは別もの。
次に学ぶ
- 所得税の仕組み ── 所得を10種類に分け、合算する総合課税と切り離す分離課税で課税する基本の枠組み。「仕組み=入口/計算=出口」で対にすると整理できる。
- 青色申告特別控除 ── 課税所得を小さくする控除(65万円・55万円・10万円)。所得税の計算の"前段"にあたる。
- 医療費控除 ── 医療費が一定額を超えたら所得から引ける控除。これも課税所得を小さくする前段の話。
執筆: SikakuQuest編集部