ポートフォリオとは(全体像)
ポートフォリオは、複数の資産を組み合わせた運用の構成のこと。株式だけ・債券だけといった単一資産ではなく、いくつかの資産を組み合わせることで、リスクと期待収益率のバランスを整える発想。
押さえるのは、2つの指標の性格の違い。
- 期待収益率 … 各資産の期待収益率を構成比で加重平均すれば全体の値が出る(計算がシンプル)。
- リスク(標準偏差) … 単純な加重平均では出せない。資産同士の相関係数が関わってくる。
この「片方は加重平均でOK、もう片方はダメ」という非対称が、ポートフォリオ最大のツボ。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。ポートフォリオの中身は、次の表に全部つまっている。
期待収益率とリスクの違い
| 期待収益率 | リスク(標準偏差) | |
|---|---|---|
| 計算 | 各資産の値を構成比で加重平均 | 単純加重平均では計算できない |
| 何で決まる | 各資産の期待収益率と構成比 | 各資産の標準偏差と相関係数 |
| 覚え方 | シンプルに足し算でOK | 相関係数しだいで変わる |
期待収益率の計算はシンプル。たとえば株式50%(期待収益率6%)+債券50%(期待収益率2%)なら、6%×0.5+2%×0.5=4%。各資産の値に投資比率をかけて合計するだけ。
リスク(標準偏差)はそうはいかない。資産同士がどれくらい同じ動きをするかを表す相関係数が関わるため、単純加重平均では出せない。
相関係数と分散投資効果
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 相関係数の範囲 | −1〜+1(+1=完全に同じ動き/0=無関係/−1=完全に逆の動き) |
| 分散投資効果 | 相関係数が1未満なら、全体の標準偏差が各資産の標準偏差の加重平均より小さくなる |
| 効果が大きいのは | 相関係数が低いほど大きい(−1に近いほど強い) |
| 消せないリスク | 市場全体の変動(系統的リスク)は分散投資でも消せない |
相関係数が1未満の資産を組み合わせると、全体のリスクが下がる。これが分散投資効果。つまり、似た動きの資産ばかりでなく、違う動きの資産を混ぜるほどリスクが抑えられる。ただし分散しても、市場全体が動くことによるリスク(系統的リスク)までは消せない。消せるのは、個別の資産ごとのリスク(非系統的リスク)だけ。
なお、同じリスクで期待収益率が最大になる組み合わせの集まりを効率的フロンティアと呼ぶ。これは1952年にマーコウィッツがまとめた現代ポートフォリオ理論の中心になる考え方。
わかりやすく言い換えると
要するに、むずかしく考えず、こう覚えるとラク。
期待収益率は「足し算でOK」、リスクは「足し算では出せない(相関しだい)」。
①期待収益率 … 各資産の値 × 投資比率 を全部足すだけ
②リスク … 相関係数が関わるので単純な足し算では出せない
③分散投資効果 … 違う動きをする資産(相関係数が低い)を混ぜるとリスクが下がる
試験のツボ
🔴 一番出る:期待収益率は加重平均で計算できる
①各資産の期待収益率 × 構成比 を全部足す
②例)株式50%(6%)+債券50%(2%)= 4%
🔴 次に出る:リスク(標準偏差)は単純加重平均では計算できない
①リスクは標準偏差で測る
②相関係数が関わるので、足し算では出せない
🟡 押さえると安定:相関係数が1未満なら分散投資効果
①相関係数は −1〜+1 の範囲
②1未満の資産を混ぜると全体のリスクが下がる
③ただし市場全体の系統的リスクは分散投資でも消せない
よくある間違い
①「期待収益率は単純平均(算術平均)で出す」→ ✗ 構成比をかける加重平均が正しい。株式80%(6%)+債券20%(2%)なら 6%×0.8+2%×0.2=5.2%(単純平均の4%は誤り)。
②「リスクも期待収益率と同じく加重平均で出せる」→ ✗ リスクは相関係数が関わるので単純加重平均では出せない。ここが2指標の最大の違い。
③「分散投資すればすべてのリスクが消える」→ ✗ 消せるのは個別資産のリスク(非系統的リスク)だけ。市場全体の系統的リスクは残る。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(リスクと相関係数)
ポートフォリオのリスクに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ポートフォリオのリスクは標準偏差で測り、各資産の標準偏差を構成比で単純に加重平均すれば求められる
- ポートフォリオのリスクは標準偏差で測り、相関係数が1未満の資産を組み合わせれば分散投資効果が生じる
- ポートフォリオのリスクは期待収益率と同じで、構成比を一切使わない単純平均によって計算されるとされる
- ポートフォリオのリスクは相関係数が1のときに最も小さくなり、分散投資効果が最大になるとされている
解答は 2 だっ。
つまり、リスクは標準偏差で測るけど、相関係数が1未満の資産を組み合わせると全体のリスクが下がる、これが分散投資効果だっ!選択肢1のように単純加重平均では計算できないし、相関係数が低いほど効果は大きいから、相関係数1で効果が最大という4も誤りだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | リスクは単純加重平均では計算できない |
| 2 | ✓ | 標準偏差で測定・相関係数1未満で分散投資効果が正しい |
| 3 | ✗ | 期待収益率と違い単純平均では計算できない |
| 4 | ✗ | 相関係数が低いほど効果は大きい(1では効果なし) |
オリジナル問題2(期待収益率の計算)
ポートフォリオの期待収益率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率を単純平均(算術平均)して求めるものとされる
- ポートフォリオの期待収益率は、構成比を使わず最も高い資産の収益率に合わせて決まるものとされる
- ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率を構成比(投資比率)で加重平均して求められる
- ポートフォリオの期待収益率は、相関係数を用いて標準偏差から逆算して求めるものとされている
解答は 3 だよ。
要するに、各資産の期待収益率に投資比率をかけて合計する加重平均で求めるんだ。株式80%(6%)+債券20%(2%)なら 6%×0.8+2%×0.2=5.2%として計算できるよ。単純平均でも、高い資産に合わせるのでも、標準偏差からの逆算でもないんだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 単純平均ではなく構成比で加重平均する |
| 2 | ✗ | 最も高い資産に合わせるのではない |
| 3 | ✓ | 構成比(投資比率)で加重平均が正しい |
| 4 | ✗ | 標準偏差からの逆算ではない |
オリジナル問題3(効率的フロンティア)
効率的フロンティアに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 効率的フロンティアは、相関係数が常に1の資産だけを集めた組み合わせの集合のことであるとされる
- 効率的フロンティアは、分散投資をしても市場全体のリスクが完全に消える点を示すものとされている
- 効率的フロンティアは、期待収益率を無視してリスクだけを最小にした一点を指すものとされている
- 効率的フロンティアは、同一のリスク水準で期待収益率が最も高くなる組み合わせの集合のことである
解答は 4 である。
噛み砕いて言えば、効率的フロンティアは同じリスク水準で期待収益率が最も高くなる組み合わせの集まりのことだ。1952年マーコウィッツの現代ポートフォリオ理論の中心となる考え方である。市場全体のリスクが消えるわけでも、リスクだけを最小にした一点でもない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 相関係数1の資産を集めたものではない |
| 2 | ✗ | 系統的リスクは分散投資でも消えない |
| 3 | ✗ | リスクだけを最小にした一点を指すのではない |
| 4 | ✓ | 同一リスクで期待収益率最大の組み合わせの集合で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 期待収益率 = 各資産の値を構成比で加重平均して計算できる(株式50%6%+債券50%2%=4%)。
- 🔴 リスク(標準偏差) = 単純加重平均では計算できない。相関係数が1未満なら分散投資効果でリスクが下がる。
- 🟡 分散投資で消せるのは個別の非系統的リスクだけ。市場全体の系統的リスクは消せない。効率的フロンティアは1952年マーコウィッツの考え方。
次に学ぶ
- 外貨建MMF ── 外貨建の短期公社債で運用する投資信託。ポートフォリオを構成する一つの商品として押さえると整理しやすい。
- 外貨預金 ── 外貨建ての預金。ポートフォリオに通貨の分散を加える具体例として結ぶと理解が深まる。
- インデックス・アクティブ運用 ── 投資信託の運用方針の違い。商品の中身を選ぶ視点として組み合わせて覚えると混ざらない。
執筆: SikakuQuest編集部