居住用財産3000万円特別控除とは(全体像)
居住用財産3000万円特別控除は、自分が住んでいた家(マイホーム)を売って利益(譲渡所得)が出たとき、その利益から最高3,000万円を差し引ける特例のこと。
たとえば2,000万円で買った自宅が5,000万円で売れて3,000万円の利益が出ても、ちょうど3,000万円を引けるので税金はゼロになる。マイホームの売却税負担を大きく軽くする、不動産税金の中心論点だ。
押さえる柱は3つ。
- 所有期間は関係ない … 5年超(長期)でも5年以下(短期)でも使える。
- 期限がない … いつまでも使える恒久的な制度。
- 同じ名前で「空き家用の3,000万円控除」があり、そちらは期限つき・別の制度。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。中身はこの表に全部つまっている。
居住用財産3000万円特別控除の全体像
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 利益(譲渡所得)から最高3,000万円 |
| 所有期間 | 長期(5年超)・短期(5年以下)どちらもOK |
| 期限 | なし(いつまでも使える) |
| 対象 | 今住んでいる家/前に住んでいた家/その敷地 |
| 使える回数 | 前年・前々年に使っていたら今年は不可(3年に1度) |
対象になる家は次の3つ。とくに②の「引っ越した後いつまで使えるか」の数え方が問われる。
対象になる家(3類型)
| 中身 | |
|---|---|
| ①今の家 | 現に自分が住んでいる家屋 |
| ②前の家 | 住まなくなった日から3年後の年の12月31日までに売る家 |
| ③敷地 | ①②の家とともに売る土地・借地権など |
②は、たとえば2021年6月に引っ越して空き家になったら、3年後の2024年の12月31日までに売れば使える。つまり引っ越してから最長3年半ほどの余裕がある。
そして、家族など身内に売ると使えない。これは「身内に安く売って控除だけ得する」のを防ぐためのしくみ。
この相手に売ると使えない(譲受人除外)
| 相手 | 例 |
|---|---|
| 配偶者・直系血族 | 夫・妻/父母・祖父母・子・孫 |
| 生計を一にする親族 | 同じ財布で暮らす親族(別居でも) |
| 売却後に同居する親族 | 売った後その家に一緒に住む予定の親族 |
| 内縁関係者・特殊関係法人 | 事実婚の相手/自分が支配する会社など |
ほかの特例との関係も整理しておく。
ほかの特例との関係
| 相手の特例 | 関係 |
|---|---|
| 10年超の軽減税率 | 併用OK。3,000万円を引いた残りのうち6,000万円以下は14.21%に下がる |
| 買換え特例 | どちらか一方だけ(選択適用) |
| 住宅ローン控除 | 実質いっしょに使えない(後述) |
住宅ローン控除との関係は、新居に入った年・その前2年・後3年の計6年間にこの3,000万円控除を使っていると、住宅ローン控除のほうが使えなくなる、というもの。だから実質、両方は使えない。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう覚えるとラク。
①期限のあり・なし … 自分が住んでいた家を売るこの控除は「ずっと使える」。名前のそっくりな空き家用は「期限つき」。逆に覚えると失点する。
②おいしい組合せ … 「3,000万円控除+10年超の軽減税率」はセットで使える。先に3,000万円を引いて、残った利益のうち6,000万円までは税率が14.21%まで下がる。
③両取りはダメ … 「家を売る得」と「家を買う得」は両取りさせない。だから住宅ローン控除とは実質いっしょに使えない。
試験のツボ
🔴 一番出る:期限がない(恒久的)
①この控除(自分が住んでいた家)=期限なし
②空き家用の3,000万円控除=期限つき(別の制度)
🔴 次に出る:所有期間は関係ない
①長期(5年超)でもOK
②短期(5年以下)でもOK
🟡 押さえると安定:ほかの特例との関係
①10年超の軽減税率 = 併用OK(残り6,000万以下14.21%)
②住宅ローン控除 = 計6年間は実質併用不可
③買換え特例 = どちらか一方だけ
よくある間違い
①「この控除は期限つき」→ ✗ 自分が住んでいた家を売るこの控除は期限なし。期限つきは空き家用のほう。
②「今住んでいる家だけが対象」→ ✗ 前に住んでいた家も、引っ越しから3年後の年の12月31日まで売れば対象。
③「住宅ローン控除と無条件で併用できる」→ ✗ 計6年間は実質いっしょに使えない。10年超の軽減税率となら併用できる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(控除額・所有期間・期限)
居住用財産3000万円特別控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 控除額は最高2,000万円で、所有期間が10年を超えていることが適用の絶対要件とされている
- 控除額は最高3,000万円で、所有期間の長短を問わず適用でき、期限のない制度として扱われる
- 控除額は最高3,000万円であるが、令和9年12月31日までに売却した場合に限り適用される制度である
- 控除額は最高5,000万円で、長期譲渡所得にのみ適用され、短期譲渡所得には適用されないとされる
解答は 2 である。
つまり、控除額は最高3,000万円、所有期間が長くても短くても使え、期限のない制度だ。令和9年12月31日までという期限がつくのは、名前のそっくりな空き家用の3,000万円控除のほうで、別の制度である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 控除額は3,000万円で、所有期間の要件はない |
| 2 | ✓ | 最高3,000万円・所有期間問わず・期限なしで正しい |
| 3 | ✗ | 期限つきは空き家用の控除。この控除は期限なし |
| 4 | ✗ | 控除額は3,000万円で、短期譲渡にも適用できる |
オリジナル問題2(対象になる家・売る相手)
居住用財産3000万円特別控除の対象や、控除を使えない相手に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 対象は今住んでいる家だけで、前に住んでいた家は一切対象にならず、配偶者へ売っても控除できる
- 対象は前に住んでいた家だけで今の家は対象外とされ、売った後に同居する親族へ売っても控除できる
- 対象は今の家のみだが、第三者へ売れば必ず控除でき、配偶者や子へ売った場合でも控除を受けられる
- 対象は今の家や前に住んでいた家などで、配偶者や売却後に同居する親族へ売った場合は控除できない
解答は 4 だっ。
要するに、対象は今の家・前に住んでいた家(引っ越しから3年後の年の12月31日まで)・その敷地だっ。そして配偶者や直系血族、売った後に同居する親族などへ売った場合は、身内への売却なので控除を使えないんだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 前に住んでいた家も対象。配偶者へ売ると控除できない |
| 2 | ✗ | 今の家も対象。売却後同居する親族へ売ると控除できない |
| 3 | ✗ | 配偶者や子(直系血族)へ売ると控除できない |
| 4 | ✓ | 今の家・前の家などが対象で、身内への売却は除外で正しい |
オリジナル問題3(ほかの特例との併用)
居住用財産3000万円特別控除とほかの特例の併用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- この控除と10年超の軽減税率は併用ができ、住宅ローン控除とは計6年間は実質いっしょに使えない
- この控除と10年超の軽減税率は重複するため併用できず、買換え特例とは無制限に併用できるとされる
- この控除と買換え特例は同時に使うことが要件で、10年超の軽減税率とはどちらか一方しか選べない
- この控除と住宅ローン控除は無条件で常に併用でき、買換え特例とも同時に使うことが要件とされる
解答は 1 だよ。
つまり、3,000万円控除と10年超の軽減税率は併用できて、残った利益のうち6,000万円以下は14.21%に下がる。一方、住宅ローン控除とは新居に入った年・前2年・後3年の計6年間が重なるので実質いっしょに使えず、買換え特例とはどちらか一方だけ(選択適用)だよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 軽減税率と併用可・住宅ローン控除と実質併用不可で正しい |
| 2 | ✗ | 10年超の軽減税率とは併用でき、買換え特例とは一方だけ |
| 3 | ✗ | 買換え特例とはどちらか一方だけで同時には使えない |
| 4 | ✗ | 住宅ローン控除とは実質併用不可、買換え特例とは選択適用 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 控除額・期限 = マイホームの利益から最高3,000万円。所有期間は問わず、期限なし(空き家用の3,000万円控除は期限つき・別の制度)。
- 🔴 対象・相手 = 今の家/前に住んでいた家(引っ越しから3年後の年の12月31日まで)/その敷地。配偶者・直系血族・売却後同居する親族など身内へ売ると使えない。
- 🟡 ほかの特例 = 10年超の軽減税率とは併用OK(残り6,000万以下14.21%)。住宅ローン控除とは計6年間は実質併用不可。買換え特例とはどちらか一方だけ。
次に学ぶ
- 軽減税率(居住用長期) ── 所有期間10年超の居住用財産を売ったときの税率特例。この3,000万円控除とセットで使うと節税効果が大きい。
- 買換え特例 ── 今は税金を払わず次に売るときまで先延ばしするタイプ。この控除とはどちらか一方だけ選ぶ関係で押さえると混ざらない。
- 不動産の譲渡所得 ── 短期(5年以下)と長期(5年超)で税率が変わるしくみ。この控除の前提になる譲渡所得の基本。
執筆: SikakuQuest編集部