軽減税率(居住用財産・10年超)とは(全体像)
軽減税率は、長く住んだ自宅を売ったときの、もうけ(譲渡所得)にかかる税金を軽くする特例のこと。マイホームを長く持ち続けて住んだ人への、税金面のごほうびだと考えるとわかりやすい。
押さえるのは、次の対比。
- 普通に売ったとき(本則) … 所有期間5年超の長期譲渡なら税率は 20.315%。
- この軽減税率を使えたとき … もうけ6,000万円までの部分が 14.21% に下がる。
ポイントは、所有期間を「売った年の1月1日」を基準に数えること。売った日ではない。そして建物・土地のどちらも10年を超えている必要がある。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。中身は次の2つの表に全部つまっている。
軽減税率の使える条件と税率
| 内容 | |
|---|---|
| 対象 | 自分が住んでいたマイホーム(建物+土地)を売ったとき |
| 所有期間 | 売った年の1月1日時点で、建物も土地も10年超 |
| 税率(6,000万円以下の部分) | 14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%) |
| 税率(6,000万円を超える部分) | 20.315%(本則の長期譲渡と同じ率) |
税率は2段階。もうけ(課税長期譲渡所得)のうち6,000万円までが14.21%、6,000万円を超えた部分は20.315%。超えた部分は本則と同じ率に戻る、と覚える。
軽減税率を使うには、次の5つの要件をすべて満たす必要がある。
使うための5つの要件
| 要件 | |
|---|---|
| ① | 日本国内にある、自分が住んでいたマイホームを売ること |
| ② | 売った年の1月1日時点で、建物も土地も所有期間が10年超 |
| ③ | 売った年の前年・前々年に、この特例を使っていないこと(3年に1度) |
| ④ | 買換え特例など、他の特例を一緒に使っていないこと |
| ⑤ | 売る相手が、配偶者・親子などの身内でないこと |
そして大事なのが、3,000万円特別控除との関係。
他の特例との組み合わせ
| 相手の特例 | 関係 |
|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 併用できる(一緒に使える) |
| 買換え特例 | 選択適用(どちらか一方だけ) |
3,000万円特別控除とは併用できる。順番は「①もうけから3,000万円を引く → ②残った金額に軽減税率を当てる」。一方、買換え特例(別の家に買い替えて税金を先送りする制度)とはどちらか一方しか選べない(選択適用)。
わかりやすく言い換えると
要するに、こう整理するとラク。普通の会員が約20%、10年超まで住み続けた上級会員は6,000万円まで約14%、というイメージ。
数えるスタートは「売った日」ではなく「売った年の1月1日」。だから実際の居住より少し厳しめに判定される。
つまり3,000万円控除は「いっしょに使える仲間」、買換え特例は「どちらか選ぶライバル」。ここを取り違えると失点しやすい。
試験のツボ
🔴 一番出る:所有期間の数え方と10年超
①数える基準は「売った年の1月1日」(売った日ではない)
②建物も土地も10年超が必要(片方だけ10年超では使えない)
🔴 次に出る:税率の2段階
①6,000万円以下の部分 = 14.21%
②6,000万円を超える部分 = 20.315%(本則と同じ)
🟡 押さえると安定:他の特例との組み合わせ
①3,000万円特別控除 = 併用できる(一緒に使える)
②買換え特例 = 選択適用(どちらか一方だけ)
よくある間違い
①「所有期間は売った日を基準に数える」→ ✗ 数えるのは「売った年の1月1日」時点。建物・土地のどちらも10年超が必要。
②「6,000万円を超える部分も14.21%」→ ✗ 14.21%は6,000万円までの部分だけ。超えた部分は20.315%に戻る。
③「軽減税率と3,000万円控除はどちらか一方」→ ✗ この2つは併用できる。どちらか一方なのは買換え特例のほう。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(所有期間の判定)
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 所有期間は売った日を基準に判定し、建物が10年を超えていれば土地の所有期間は問われないとされる
- 所有期間は売った年の1月1日時点で判定し、建物・土地とも10年を超えていることが必要とされる
- 所有期間は売った年の1月1日時点で判定するが、建物か土地のどちらか一方が10年超なら使えるとされる
- 所有期間は売った日を基準に判定し、建物・土地とも20年を超えていることが必要とされている
解答は 2 だっ。
つまり、所有期間は「売った日」ではなく「売った年の1月1日」を基準に数えるんだっ。しかも建物・土地のどちらも10年超が必要で、片方だけ10年超ではダメだよっ。
選択肢1・3は「片方だけでOK」が誤り、選択肢4は「20年超」が誤りで、正しくは10年超だっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 売った日基準ではなく1月1日基準。土地も10年超が必要 |
| 2 | ✓ | 売った年の1月1日時点で建物・土地とも10年超で正しい |
| 3 | ✗ | どちらか一方ではなく、建物・土地ともに10年超が必要 |
| 4 | ✗ | 必要なのは10年超であって20年超ではない |
オリジナル問題2(税率の2段階)
居住用財産(10年超)の軽減税率の税率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- もうけの区分なく全額が一律14.21%で、6,000万円を超える部分も同じく14.21%になるとされる
- 6,000万円までの部分が5%、6,000万円を超える部分が10%で、本則よりかなり低い率になるとされる
- 境界は3,000万円で、3,000万円以下が14.21%、3,000万円を超える部分が20.315%になるとされる
- 6,000万円までの部分が14.21%で、6,000万円を超える部分は20.315%(本則と同じ)になる
解答は 4 である。
要するに、税率は2段階。6,000万円までの部分が14.21%、6,000万円を超える部分は20.315%で本則と同じ率に戻る。
選択肢1の「全額一律14.21%」、選択肢2の「5%・10%」、選択肢3の「境界が3,000万円」はいずれも誤り。境界はあくまで6,000万円だっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 6,000万円を超える部分は20.315%で、全額一律ではない |
| 2 | ✗ | 5%・10%ではなく14.21%・20.315%が正しい |
| 3 | ✗ | 境界は3,000万円ではなく6,000万円 |
| 4 | ✓ | 6,000万円以下14.21%・超える部分20.315%で正しい |
オリジナル問題3(他の特例との組み合わせ)
軽減税率(居住用財産・10年超)と他の特例の組み合わせに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 軽減税率と3,000万円特別控除は併用でき、軽減税率と買換え特例はどちらか一方を選ぶ形になる
- 軽減税率と3,000万円特別控除はどちらか一方を選び、軽減税率と買換え特例は併用できる
- 軽減税率は3,000万円特別控除とも買換え特例とも、すべて同時に併用できるものとされる
- 軽減税率は3,000万円特別控除とも買換え特例とも、すべてどちらか一方しか選べない関係になるとされる
解答は 1 だよ。
つまり、3,000万円特別控除とは「併用できる仲間」、買換え特例とは「どちらか一方を選ぶライバル」。この組み合わせの違いがそのまま正解になる。
選択肢2は仲間とライバルが逆、選択肢3は「全部併用」、選択肢4は「全部どちらか一方」でいずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 3,000万円控除とは併用可・買換え特例とは選択適用で正しい |
| 2 | ✗ | 3,000万円控除と買換え特例の関係が逆 |
| 3 | ✗ | 買換え特例とは併用できず選択適用 |
| 4 | ✗ | 3,000万円控除とは併用でき、どちらか一方ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 所有期間 = 売った年の1月1日時点で、建物も土地も10年超(片方だけ10年超では使えない)。
- 🔴 税率 = 6,000万円までが14.21%、6,000万円を超える部分は20.315%(本則と同じ)の2段階。
- 🟡 組み合わせ = 3,000万円特別控除とは併用できる/買換え特例とは選択適用(どちらか一方)。
次に学ぶ
- 居住用財産3,000万円特別控除 ── 軽減税率と一緒に使える「仲間」のほう。もうけから最高3,000万円を引ける特例。
- 買換え特例 ── 軽減税率とはどちらか一方を選ぶ「ライバル」のほう。税金を先送りする制度。
- 不動産の譲渡所得 ── 不動産を売ったときのもうけにかかる税金の基本。短期・長期の区分が土台になる。
執筆: SikakuQuest編集部