源泉徴収事務とは(全体像)
会社が給与を払うとき、所得税をそのまま全額渡すのではなく、あらかじめ所得税を天引き(源泉徴収)してから渡している。この天引きしたお金を、会社が本人に代わって国に納める。これが源泉徴収事務。
対象になるのは、給与・報酬・退職金など。たとえば、会社が外部の人に報酬を払うときも、源泉徴収することがある。
ここで大事なのが、納めるのは支払者(事業者)だということ。天引きされる従業員本人が国に納めるわけではない。会社が「預かって、まとめて納める」しくみ、と押さえる。
詳しく:納付期限と特例
ここが記事の心臓部。源泉徴収のポイントは、納付の期限。
源泉徴収事務のキホン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| だれがする | 給与・報酬などの支払者(事業者) |
| 何をする | 所得税を天引きして、国に納める |
| 対象 | 給与・報酬・退職金など |
| 納付期限 | 原則、天引きした月の翌月10日まで |
納付期限は、原則として天引きした月の翌月10日。たとえば、5月に支払った給与から天引きした所得税は、6月10日までに納める。
そして、人数が少ない事業者には特例がある。
納期の特例
| 区分 | 納付の回数 |
|---|---|
| 原則 | 毎月(翌月10日まで) |
| 特例(給与の支払いを受ける人が常時10人未満で申請した場合) | 年2回(半年分をまとめて) |
給与を受ける人が常時10人未満の事業者は、申請すれば、毎月ではなく年2回にまとめて納付できる。事務の負担を軽くするためのしくみ。
わかりやすく言い換えると
要するに、源泉徴収事務は「会社が、所得税を天引きして、代わりに国に納める」こと。
つまり、納めるのは会社(支払者)。期限は原則翌月10日、人数が少なければ年2回にできる、と覚える。
①だれが納める … 支払者(事業者)。本人ではない
②納付期限 … 原則、天引きした月の翌月10日
③特例 … 常時10人未満なら年2回にできる
試験のツボ
🔴 一番出る:納付の主体と期限
①納めるのは支払者(事業者)。本人ではない
②納付期限は原則、天引きした月の翌月10日
🔴 次に出る:対象
①給与・報酬・退職金などが源泉徴収の対象
②支払うときに所得税を天引きする
🟡 押さえると安定:納期の特例
①常時10人未満なら、申請して年2回にまとめられる
よくある間違い
①「源泉徴収した所得税は、天引きされた本人が国に納める」→ ✗ 納めるのは支払者(事業者)。本人ではない。
②「源泉徴収した所得税の納付期限は決まっていない」→ ✗ 原則、天引きした月の翌月10日までに納める。
③「人数に関係なく、必ず毎月納めなければならない」→ ✗ 常時10人未満なら、申請して年2回にまとめられる特例がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(源泉徴収とは)
源泉徴収に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 源泉徴収は、給与を受け取った本人が自分で所得税を天引きするしくみとされている
- 源泉徴収は、給与や報酬の支払者が所得税を天引きして、国に納めるしくみである
- 源泉徴収の対象は給与だけで、報酬や退職金はいっさい含まれないものとされている
- 源泉徴収は、所得税ではなく消費税を天引きするしくみであるものとされている
解答は 2 だよ。
源泉徴収は、給与や報酬の支払者が所得税を天引きして、本人に代わって国に納めるしくみ。給与・報酬・退職金などが対象だよ。
選択肢1の「本人が天引き」、選択肢3の「給与だけ」、選択肢4の「消費税」はどれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 天引きするのは支払者 |
| 2 | ✓ | 支払者が天引きして納めて正しい |
| 3 | ✗ | 報酬や退職金も対象 |
| 4 | ✗ | 天引きするのは所得税 |
オリジナル問題2(納付期限)
源泉徴収した所得税の納付期限に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 源泉徴収した所得税は、天引きした年の12月31日までに納めればよいものとされている
- 源泉徴収した所得税は、いつ納めてもよく、期限はとくに決まっていないものとされている
- 源泉徴収した所得税は、天引きした月と同じ月の末日までに納めるものとされている
- 源泉徴収した所得税は、原則として天引きをした月の翌月10日までに納めるものである
解答は 4 だっ。
源泉徴収した所得税は、原則として天引きした月の翌月10日までに納めるよっ。たとえば5月に天引きした分は、6月10日までに納めるんだっ。
選択肢1の「12月31日まで」、選択肢2の「期限なし」、選択肢3の「同じ月の末日」は、どれも誤りだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 12月31日ではない |
| 2 | ✗ | 期限がある |
| 3 | ✗ | 翌月10日までである |
| 4 | ✓ | 原則として翌月10日までで正しい |
オリジナル問題3(納付の主体と特例)
源泉徴収した所得税の納付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 納めるのは支払者(事業者)で、常時10人未満なら申請して年2回にまとめられる
- 納めるのは天引きされた従業員本人で、事業者は関係しないものとされている
- 納付は人数に関係なく必ず毎月で、まとめて納める特例はいっさいないものとされている
- 納めるのは支払先の取引銀行で、事業者も従業員も関係しないものとされている
解答は 1 である。
源泉徴収した所得税を納めるのは支払者(事業者)である。さらに、給与を受ける人が常時10人未満の事業者は、申請すれば年2回にまとめて納付できる特例がある。
選択肢2の「本人が納める」、選択肢3の「特例はない」、選択肢4の「取引銀行が納める」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 事業者が納付・10人未満は年2回で正しい |
| 2 | ✗ | 納めるのは支払者 |
| 3 | ✗ | 年2回の特例がある |
| 4 | ✗ | 納めるのは支払者である |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 納めるのは支払者(事業者)。天引きされた本人ではない。
- 🔴 納付期限は原則、天引きした月の翌月10日。給与・報酬・退職金などが対象。
- 🟡 常時10人未満なら年2回にまとめられる納期の特例がある。
次に学ぶ
- 年末調整 ── 年末に過不足を精算するしくみ。源泉徴収とセットで押さえる。
- 給与所得 ── 給与にかかる所得と給与所得控除。源泉徴収の対象になる所得。
- 所得税のしくみ ── 所得税がどう計算・納付されるかの全体像。
執筆: SikakuQuest編集部