復興特別所得税とは(全体像)
復興特別所得税は、東日本大震災からの復興の財源を集めるため、所得税の本体に2.1%を上乗せして取る税のこと。ふつうの所得税とは別の法律(復興財源確保法)にもとづく、期間限定の税である。
押さえるのは、次の3つ。
- 税率 … 基準所得税額の2.1%(所得税の本体に上乗せ)。
- 期間 … 平成25年から令和19年までの25年間だけ(恒久的な税ではない)。
- 源泉徴収 … 本体の税率に2.1%分を合わせた合算税率で天引きされる。
つまり「ふつうの所得税にちょっと上乗せ」という曖昧な理解を、この3点でかっちり整理するのが合格への近道である。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。復興特別所得税の中身は、次の2つの表に全部つまっている。
復興特別所得税の骨格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 税率 | 基準所得税額の2.1% |
| 課税標準(もとになる額) | 基準所得税額=所得税の本体額(配当控除・住宅ローン控除などを引いた後/外国税額控除は引く前) |
| 計算式 | 復興特別所得税 = 基準所得税額 × 2.1%(円未満は切捨て) |
| 所得税の合計 | 本体額 + 復興特別所得税 = 本体額 × 1.021 |
| 課税期間 | 平成25年〜令和19年の25年間(時限措置・恒久ではない) |
「2.1%」は所得税の本体額そのものにかけるのではなく、各種の税額控除を引いた後の基準所得税額にかける。外国税額控除だけは、この計算では引かない。
源泉徴収(給料や利子から先に天引きされる仕組み)では、本体と上乗せ分を別々に計算せず、最初から合わせた合算税率で引く。
源泉徴収の合算税率
| 所得区分 | 本体の税率 | 上乗せ分(×2.1%) | 合算税率 |
|---|---|---|---|
| 利子所得・上場株式等の配当 | 15% | 0.315% | 15.315% |
| 上場株式等以外の配当など | 20% | 0.42% | 20.42% |
なお税率・課税期間・合算税率の細部は、受験年度の最新仕様で確認しておくと安心である。
わかりやすく言い換えると
要するに、むずかしく考えず、こう覚えるとラク。
復興特別所得税は「ふつうの所得税の本体に、2.1%を上乗せして取る、25年間だけの税」。
計算は、ふつうの所得税を出した後の額(基準所得税額)に2.1%を掛けるだけ。たとえば本体が572,500円なら、復興特別所得税は572,500円×2.1%≒12,022円(円未満切捨て)、合計は584,522円(=本体×1.021)。
試験のツボ
🔴 一番出る:税率は基準所得税額の2.1%
①かけるのは本体額そのものではなく「基準所得税額」
②基準所得税額=各種控除を引いた後(外国税額控除は引く前)
③合計=本体×1.021・円未満は切捨て
🔴 次に出る:源泉徴収は合算税率
①利子・上場株式等の配当 = 15%→15.315%
②それ以外の配当など = 20%→20.42%
🟡 押さえると安定:課税期間は平成25年〜令和19年の25年間の時限措置(ずっと続く恒久的な税ではない)
よくある間違い
①「税率は所得税本体の5%」→ ✗ 正しくは2.1%。しかも本体額ではなく基準所得税額にかける。
②「所得税法にもとづく恒久的な税」→ ✗ 別の法律(復興財源確保法)にもとづく、平成25年〜令和19年の25年間だけの時限措置。
③「源泉徴収では本体と上乗せ分を別々に引く」→ ✗ 合算税率で一括して引く(15%→15.315%、20%→20.42%)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(税率)
復興特別所得税の税率に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 復興特別所得税は、各種の税額控除を引いた後の基準所得税額に2.1%を乗じて計算する
- 復興特別所得税は、所得税の本体額そのものに対し5%を乗じて計算するものとされている
- 復興特別所得税は、各種の控除を引く前の課税所得金額に直接2.1%を乗じて計算するとされる
- 復興特別所得税は、住民税額(都道府県民税と市町村民税の合計)に2.1%を乗じて計算する
解答は 1 だよ。
復興特別所得税は、各種の税額控除(配当控除や住宅ローン控除など)を引いた後の基準所得税額に2.1%を掛けて計算するんだ。つまり、ふつうの所得税を出した後の額が、上乗せのもとになる。たとえば本体が572,500円なら、復興特別所得税は約12,022円(円未満切捨て)で、合計は本体×1.021だよ。
5%でも、控除前の課税所得への直接課税でも、住民税ベースでもないんだ。要するに「基準所得税額×2.1%」を押さえてね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 基準所得税額の2.1%で正しい |
| 2 | ✗ | 税率は2.1%で5%ではない |
| 3 | ✗ | もとになるのは控除後の基準所得税額・控除前の課税所得ではない |
| 4 | ✗ | もとになるのは所得税であって住民税ではない |
オリジナル問題2(課税期間)
復興特別所得税の課税期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 復興特別所得税は、所得税法にもとづき期間を定めることなく恒久的に課される税である
- 復興特別所得税は、東日本大震災が発生した年の単年度に限って課された税である
- 復興特別所得税は、平成25年から令和19年までの25年間にわたる時限措置である
- 復興特別所得税は、すでに課税期間を終え、現在は課されていない過去の税である
解答は 3 だっ。
復興特別所得税は、平成25年から令和19年までの25年間にわたる時限措置として課されるんだっ!東日本大震災からの復興財源を、中長期で安定して集めるために期間を区切っているっ。
ずっと続く恒久的な税ではないし、単年度だけでもないっ。つまり「25年間の時限措置」と覚えればOKだっ。現在も課税期間の中なので、ちゃんと課されているよっ!
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 恒久的ではなく期間を区切った時限措置 |
| 2 | ✗ | 単年度ではなく25年間にわたる |
| 3 | ✓ | 平成25年〜令和19年の25年間の時限措置で正しい |
| 4 | ✗ | 課税期間の途中で、現在も課されている |
オリジナル問題3(源泉徴収)
復興特別所得税の源泉徴収に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 利子や配当からの源泉徴収では、本体の所得税とは別に復興特別所得税だけを後日まとめて徴収するとされる
- 源泉徴収では本体の税率に2.1%分を上乗せした合算税率で引かれ、15%は15.315%になる
- 源泉徴収の合算税率は所得の種類にかかわらず一律2.1%で、本体の税率は加算されないとされる
- 源泉徴収では本体の所得税のみを徴収し、復興特別所得税は源泉徴収の対象外とされている
解答は 2 である。
源泉徴収では、本体と上乗せ分を別々に計算する手間を省くため、本体の税率に2.1%分を上乗せした合算税率で一括して引かれる。要するに、利子や上場株式等の配当なら15%が15.315%に、それ以外の配当などなら20%が20.42%になる。
別々に徴収するのでも、本体を加算しない一律2.1%でもなく、源泉徴収の対象外でもない。つまり「本体税率+2.1%分=合算税率」で押さえる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 別々ではなく合算税率で一括徴収する |
| 2 | ✓ | 本体税率に2.1%分を上乗せした合算税率で正しい |
| 3 | ✗ | 一律2.1%ではなく本体税率に上乗せする |
| 4 | ✗ | 復興特別所得税も源泉徴収の対象である |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 税率 = 基準所得税額の2.1%(本体額ではなく控除後の額にかける/合計=本体×1.021/円未満切捨て)。
- 🔴 源泉徴収 = 合算税率で一括(15%→15.315%、20%→20.42%)。
- 🟡 課税期間 = 平成25年〜令和19年の25年間の時限措置(恒久的な税ではない)。
次に学ぶ
- 所得税の仕組み ── 所得を10区分に分け、総合課税と分離課税で取る基本枠組み。復興特別所得税はその本体に上乗せされる税、という対比で押さえると混ざらない。
- 所得税の計算 ── 本体の税額を超過累進で出す流れ。その本体額(基準所得税額)に2.1%が乗る、とつなげる。
- 青色申告特別控除 ── 所得計算でひける特別控除(65万円・55万円・10万円)。本体を小さくする話とセットで整理。
執筆: SikakuQuest編集部