倍率方式とは(全体像)
倍率方式は、路線価がついていない地域の土地について、相続税の評価額を出す方法のこと。
道路ごとの路線価が決められているのは主に市街地。郊外や田畑が多い地域では路線価がないため、別の方法が必要になる。そこで使うのが倍率方式で、すでに市区町村が決めている固定資産税評価額に、決められた倍率をかけるだけ。
押さえるのは、路線価方式と倍率方式は、土地のある場所で使い分けること。どちらを使うかを自分で選ぶわけではない。
詳しく:計算の式と使い分け
ここが記事の心臓部。倍率方式は、次の表に整理できる。
倍率方式の計算
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 計算の式 | 固定資産税評価額 × 倍率 |
| 倍率 | 地域ごとに定められている |
| 使う場所 | 路線価が定められていない地域(郊外など) |
路線価方式と並べると、使い分けがはっきりする。
路線価方式との使い分け
| 方式 | 使う場所 | 計算 |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 市街地(路線価あり) | 路線価 × 補正 × 面積 |
| 倍率方式 | 郊外(路線価なし) | 固定資産税評価額 × 倍率 |
ポイントは、倍率方式は固定資産税評価額をそのまま土台にすること。路線価方式のように面積や奥行きの補正を細かく計算する必要はなく、「固定資産税評価額 × 倍率」のかけ算で済む。
わかりやすく言い換えると
要するに、倍率方式は「路線価のない土地は、固定資産税評価額に倍率をかけて評価する」方法。
つまり、計算は「固定資産税評価額 × 倍率」のかけ算ひとつ、ととてもシンプル。
そして、路線価のある市街地は路線価方式、路線価のない郊外は倍率方式。場所で決まり、自分で選ぶものではない、と対で覚える。
試験のツボ
🔴 一番出る:計算の式
①固定資産税評価額 × 倍率
②すでにある固定資産税評価額を土台にする
🔴 次に出る:路線価方式との使い分け
①路線価のない郊外などは倍率方式
②路線価のある市街地は路線価方式
🟡 押さえると安定:倍率は地域ごと
①倍率は地域ごとに定められている
②どちらの方式かは場所で決まる(自分で選べない)
よくある間違い
①「倍率方式でも路線価を使って計算する」→ ✗ 倍率方式は固定資産税評価額に倍率をかける。路線価は使わない。
②「土地の持ち主が路線価方式か倍率方式かを選べる」→ ✗ 土地のある場所で、どちらの方式かが決まる。
③「倍率は全国どの地域でも同じ数字」→ ✗ 倍率は地域ごとに定められている。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(計算の式)
倍率方式による宅地の評価の計算について、正しいものはどれか。
- 倍率方式では、固定資産税評価額に地域ごとの倍率をかけて評価額を計算する
- 倍率方式では、路線価に奥行価格補正率と面積をかけて評価額を出すものとされている
- 倍率方式では、土地の実際の売買価格をそのまま評価額にするものと定められているとされる
- 倍率方式では、建物の家賃収入の合計を土地の評価額とするものとされている
解答は 1 だよ。
倍率方式では、固定資産税評価額 × 倍率で評価額を計算するんだ。すでにある固定資産税評価額に、地域ごとの倍率をかけるだけのシンプルな方法だよ。
選択肢2の「路線価に補正と面積」は路線価方式の計算。選択肢3の「実際の売買価格」、選択肢4の「家賃収入」も誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 固定資産税評価額×倍率で正しい |
| 2 | ✗ | それは路線価方式の計算 |
| 3 | ✗ | 売買価格をそのまま使わない |
| 4 | ✗ | 家賃収入では評価しない |
オリジナル問題2(使い分け)
路線価方式と倍率方式の使い分けについて、正しいものはどれか。
- 路線価のある市街地でも、路線価のない郊外でも、すべて倍率方式で評価するとされている
- どちらの方式を使うかは、土地の持ち主が毎年自由に選べるものと定められているとされる
- 路線価が定められていない地域では倍率方式、路線価のある市街地では路線価方式を使う
- 市街地は倍率方式で、郊外は路線価方式を使うものと決められているとされている
解答は 3 だっ。
土地の評価は、路線価のない地域では倍率方式、路線価のある市街地では路線価方式を使うんだっ!場所によって方式が決まっていて、自分で選べるわけではないよっ。
選択肢1の「すべて倍率方式」、選択肢2の「自由に選べる」、選択肢4の「市街地が倍率方式」は、どれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 市街地は路線価方式 |
| 2 | ✗ | 場所で方式が決まる |
| 3 | ✓ | 郊外は倍率方式・市街地は路線価方式 |
| 4 | ✗ | 市街地と郊外が逆 |
オリジナル問題3(倍率と土台)
倍率方式で使う倍率や評価の土台について、正しいものはどれか。
- 倍率は全国どの地域でも一律の数字で、地域による違いはないものとされている
- 倍率方式の土台になるのは固定資産税評価額で、それに地域ごとの倍率をかける
- 倍率方式では、土台に建物の固定資産税評価額だけを使うものと定められているとされる
- 倍率は、土地の持ち主の所得が多いほど大きくなるしくみであるとされている
解答は 2 である。
倍率方式の土台になるのは土地の固定資産税評価額であり、それに地域ごとの倍率をかけて評価額を出す。倍率は地域ごとに定められている。
選択肢1の「全国一律」、選択肢3の「建物の評価額だけ」、選択肢4の「所得で変わる」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 倍率は地域ごとに違う |
| 2 | ✓ | 固定資産税評価額×倍率で正しい |
| 3 | ✗ | 土台は土地の評価額 |
| 4 | ✗ | 所得では変わらない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 計算の式 = 固定資産税評価額 × 倍率。とてもシンプル。
- 🔴 使い分け = 路線価のない郊外は倍率方式/路線価のある市街地は路線価方式。
- 🟡 倍率は地域ごとに定められている。どちらの方式かは場所で決まる。
次に学ぶ
- 路線価方式 ── もう一つの宅地評価方法。市街地で「路線価×補正×面積」で計算する。
- 固定資産税評価額 ── 倍率方式の土台になる評価額のしくみ。
- 相続税路線価 ── 市街地の評価に使う路線価の中身。倍率方式との違いを押さえる。
執筆: SikakuQuest編集部