退職所得の5年以下の制限とは?2つの類型の違い

公開: 更新: カテゴリ: 法改正時事

30秒で結論

退職所得の5年以下の制限とは(全体像)

退職金は「退職所得」として、ほかの所得と分けて軽く課税される。計算は、退職金から退職所得控除を引き、残った額の1/2に課税するのが原則(1/2課税)。

ところが、勤続5年以下で多額の退職金を受け取るケースには、課税を強める制限がある。短期間で多くの退職金を受け取る役員等への対策。

制限は2類型に分かれる。

つまり、勤続5年以下のとき、役員等かどうかで1/2課税の制限のされ方が違う、というのが全体像。


詳しく:2つの類型の違いを押さえる

ここが記事の心臓部。退職所得の5年以下制限で問われるのは、特定役員退職手当等と短期退職手当等の違い

勤続5年以下の退職所得の制限

類型対象1/2課税の扱い
特定役員退職手当等役員等で勤続5年以下一切使えない(全額が退職所得・300万円基準なし)
短期退職手当等役員等以外で勤続5年以下控除後の残額のうち300万円超の部分にだけ使えない

まず特定役員退職手当等。役員等で勤続5年以下の場合、控除後の残額に1/2課税が一切適用されない。残額の全額が退職所得になる(300万円という基準はない)。

次に短期退職手当等。役員等以外で勤続5年以下の場合、控除後の残額のうち300万円を超える部分にだけ1/2課税が使えない。300万円以下の部分は、通常どおり1/2課税が使える。

たとえば役員等以外で控除後の残額が500万円なら、300万円以下は1/2課税、300万円を超える200万円の部分は1/2課税なし、という扱いになる。

なお、要件や金額は改正で動くことがあるので、受験する年度の最新の内容を確認しておくと安心材料になる。

わかりやすく言い換えると

むずかしく考えず、こうイメージするとラク。

要するに、勤続5年以下は「役員等は1/2をまったく使えない・役員等以外は300万円までは1/2が使える」。

つまり、同じ5年以下でも役員等のほうが厳しい(300万円の枠すらない)、と押さえる。


試験のツボ

🔴 一番出る:原則と制限の関係

①退職所得は通常、控除後の残額の1/2に課税

②勤続5年以下は1/2課税に制限がかかる

🔴 次に出る:2類型の違い

①特定役員退職手当等(役員等5年以下)=1/2課税なし・全額退職所得

②短期退職手当等(役員等以外5年以下)=300万円超の部分だけ1/2課税なし

🟡 押さえると安定:役員等のほうが厳しい

役員等は300万円の枠もなく、控除後の残額の全額が退職所得になる。


よくある間違い

「勤続5年以下はすべて300万円超の部分だけ1/2不適用」→ ✗  役員等(特定役員退職手当等)は300万円基準がなく全額1/2課税なし。

「役員等で5年以下でも1/2課税は使える」→ ✗  特定役員退職手当等は1/2課税が一切使えない。

「勤続5年以下は退職所得控除が受けられない」→ ✗  退職所得控除は受けられる。制限されるのは1/2課税。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(原則と制限)

📝 オリジナル問題 1 退職所得の原則と制限

退職所得の課税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 退職所得は勤続年数にかかわらず、必ず退職金の全額がそのまま課税されるとされている
  2. 退職所得は勤続5年以下だと、退職所得控除がいっさい受けられなくなるとされている
  3. 退職所得は通常、控除後の残額の1/2に課税されるが、勤続5年以下では制限がある
  4. 退職所得は勤続5年以下だと、税率がほかの所得より必ず高くなるものとされている
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 3 である。

退職所得は通常、退職所得控除を引いた残額の1/2に課税される。ただし、勤続5年以下のときは、この1/2課税に制限がかかる。

選択肢1の「全額がそのまま課税」は誤りで、原則は1/2課税。選択肢2の「控除が受けられない」も誤りで、控除は受けられる。選択肢4の「税率が必ず高くなる」も誤りである。

選択肢判定理由
1原則は残額の1/2に課税
2退職所得控除は受けられる
3原則1/2課税・5年以下は制限あり
4税率が必ず高くなるわけではない

オリジナル問題2(特定役員退職手当等)

📝 オリジナル問題 2 特定役員退職手当等

役員等で勤続5年以下の退職金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 役員等で勤続5年以下の場合、控除後の残額の全額が退職所得となり1/2課税は使えない
  2. 役員等で勤続5年以下でも、控除後の残額の1/2にだけ課税されるのは変わらないとされている
  3. 役員等で勤続5年以下の場合、300万円を超える部分にだけ1/2課税が使えなくなるとされる
  4. 役員等で勤続5年以下の場合、退職金には税金がいっさいかからないものとされている
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 1 である。

役員等で勤続5年以下の特定役員退職手当等は、1/2課税が一切使えず、控除後の残額の全額が退職所得になる(300万円という基準はない)。

選択肢2の「1/2にだけ課税は変わらない」は誤りで、1/2は使えない。選択肢3の「300万円超だけ」は短期退職手当等の説明で誤り。選択肢4の「税金がかからない」も誤りである。

選択肢判定理由
1全額が退職所得・1/2課税なし(300万基準なし)
21/2課税は使えない
3300万円超だけは短期退職手当等の話
4税金はかかる

オリジナル問題3(短期退職手当等)

📝 オリジナル問題 3 短期退職手当等

役員等以外で勤続5年以下の退職金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 役員等以外で勤続5年以下でも、控除後の残額の全額がそのまま1/2課税されるものとされている
  2. 役員等以外で勤続5年以下では、控除後の残額のうち300万円超の部分に1/2課税が使えない
  3. 役員等以外で勤続5年以下では、退職所得控除そのものが受けられなくなるとされている
  4. 役員等以外で勤続5年以下では、退職金の全額に1/2課税が使えなくなるとされている
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 2 である。

役員等以外で勤続5年以下の短期退職手当等は、控除後の残額のうち300万円を超える部分にだけ1/2課税が使えない。300万円以下の部分は通常どおり1/2課税が使える。

選択肢1の「全額そのまま1/2課税」は誤り。選択肢3の「控除が受けられない」も誤り。選択肢4の「全額に1/2が使えない」は特定役員退職手当等の説明で誤りである。

選択肢判定理由
1300万円超の部分は1/2課税なし
2300万円超の部分だけ1/2課税が使えない
3退職所得控除は受けられる
4全額1/2不適用は特定役員退職手当等の話

まとめ

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執筆: SikakuQuest編集部

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