iDeCoとは(全体像)
iDeCoは、自分で金融機関に申し込み、毎月決めた掛金を出して、自分で運用する年金制度のこと。公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして、老後の備えを自分で厚くするためのしくみで、「じぶん年金」とよばれる。
ポイントは、誰でも同じ額を出せるわけではないこと。つまり、国民年金のどの区分に入っているかで、毎月出せる上限(拠出限度額)が変わる。
- 自営業者など(第1号) … いちばん多く出せる。
- 会社員・公務員(第2号) … 勤め先の企業年金の有無で変わる。
- 専業主婦・主夫(第3号) … 会社員の標準と同じ枠。
詳しく:この表で拠出限度額を押さえる
ここが記事の心臓部。iDeCoの中身は、加入区分ごとの拠出限度額の表につまっている。
iDeCoの拠出限度額(月額)
| 加入区分 | 月の上限 | ひとこと |
|---|---|---|
| 自営業者など(第1号) | 6万8000円 | 国民年金基金などと合算した枠 |
| 会社員(企業年金なし) | 2万3000円 | 標準的な会社員 |
| 会社員(企業年金あり)・公務員 | 2万円 | 2024年12月見直し後(下で説明) |
| 専業主婦・主夫(第3号) | 2万3000円 | 会社員の標準と同じ |
2024年12月の見直しがFP2の時事ポイント。企業年金(企業型DCや確定給付企業年金など)のある会社員や公務員の上限が、月5万5000円から、勤め先の他制度の掛金を引いた額(上限月2万円)に変わった。公務員はそれまで月1万2000円だったので、枠が広がった改正である。
なお、拠出限度額は改正で動くことがあるので、受験する年度の最新の数字を確認しておくと安心材料になる。
iDeCoの3つの税制メリット
| 場面 | メリット |
|---|---|
| 掛金を出すとき | 全額が小規模企業共済等掛金控除になり、所得税・住民税が軽くなる |
| 運用しているとき | 運用で出た利益が非課税(通常は約20%かかる) |
| 受け取るとき | 一時金は退職所得控除、年金形式は公的年金等控除が使える |
わかりやすく言い換えると
むずかしく考えず、こうイメージするとラク。
iDeCoは「税金がトクになる、自分専用の年金つみたて」。要するに、出すとき・ふやすとき・受け取るときの3か所で税金が軽くなるのが最大の魅力。
拠出限度額は「自営はたっぷり、会社員は控えめ、企業年金があるとさらに調整」とイメージすると、区分ごとの違いが整理しやすい。
試験のツボ
🔴 一番出る:区分別の拠出限度額
①自営業者など(第1号) = 月6万8000円
②会社員(企業年金なし) = 月2万3000円
③専業主婦・主夫(第3号) = 月2万3000円
🔴 次に出る:2024年12月の見直し
①企業年金あり会社員・公務員 = 月5万5000円−他制度の掛金(上限月2万円)
②公務員は従来の月1万2000円から枠が広がった
🟡 押さえると安定:3つの税制メリット
掛金は全額所得控除、運用益は非課税、受取時にも控除(退職所得控除・公的年金等控除)が使える。
よくある間違い
①「iDeCoの上限は全員一律で月2万3000円」→ ✗ 加入区分ごとに違う。自営業者は月6万8000円まで出せる。
②「公務員はiDeCoに入れない」→ ✗ 入れる。2024年12月からは上限がむしろ広がった(月2万円)。
③「iDeCoの運用益にも約20%の税金がかかる」→ ✗ 運用益は非課税。これが大きな魅力の1つ。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(区分別の拠出限度額)
iDeCoの拠出限度額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- iDeCoの拠出限度額は、加入区分にかかわらず全員が月2万3000円に統一されている
- iDeCoの拠出限度額は、自営業者がもっとも低く、月1万2000円までに制限されている
- iDeCoの拠出限度額は、加入する人の年齢だけで決まり、職業や年金の状況は関係ないとされている
- iDeCoの拠出限度額は加入区分ごとに異なり、自営業者は月6万8000円ともっとも高いとされる
解答は 4 である。
iDeCoの拠出限度額は加入区分ごとに異なる。自営業者など(第1号)が月6万8000円ともっとも多く、企業年金のない会社員と専業主婦・主夫は月2万3000円である。
選択肢1の「全員一律2万3000円」は誤りで、区分ごとに違う。選択肢2の「自営業者がもっとも低い」も誤りで、自営業者がもっとも高い。選択肢3の「年齢だけで決まる」も誤りで、決め手は職業や年金の加入区分である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 区分ごとに違い、一律ではない |
| 2 | ✗ | 自営業者はもっとも高い(月6万8000円) |
| 3 | ✗ | 決め手は年齢ではなく加入区分 |
| 4 | ✓ | 区分別で、自営業者が月6万8000円と最大 |
オリジナル問題2(2024年12月の見直し)
2024年12月のiDeCoの上限見直しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 2024年12月から会社員や公務員の上限が、月5万5000円から他制度の掛金を引いた額に見直された
- 2024年12月の改正で、公務員はiDeCoに新たに加入できなくなり、掛金の拠出ができなくなったとされる
- 2024年12月の改正で、自営業者の上限が月6万8000円から月2万3000円に引き下げられたとされる
- 2024年12月の改正で、加入区分による上限の違いは廃止され、全員が同じ上限になったとされる
解答は 1 である。
2024年12月から、企業年金のある会社員や公務員の上限は、月5万5000円から勤め先の他制度の掛金を引いた額(上限月2万円)に見直された。公務員はそれまで月1万2000円だったので、枠が広がった改正である。
選択肢2の「公務員は加入できない」は誤りで、加入できるし枠は広がった。選択肢3の「自営業者の引き下げ」も誤りで、自営業者は月6万8000円のまま。選択肢4の「区分の違いを廃止」も誤りで、区分ごとの違いは残っている。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 月5万5000円−他制度の掛金(上限月2万円)に見直し |
| 2 | ✗ | 公務員は加入でき、枠はむしろ広がった |
| 3 | ✗ | 自営業者は月6万8000円のまま |
| 4 | ✗ | 区分ごとの違いは残っている |
オリジナル問題3(3つの税制メリット)
iDeCoの税制メリットに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- iDeCoの掛金は所得控除の対象にならず、給与の手取りから支払うしくみとされている
- iDeCoは運用中に出た利益にも約20%の税金がかかり、非課税の扱いはとくにないとされている
- iDeCoは掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税で、受取時にも控除が使えるとされる
- iDeCoで受け取るお金は一時金でも年金でもすべて非課税で、税金は一切かからないとされている
解答は 3 である。
iDeCoには3つの税制メリットがある。掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)、運用益は非課税、そして受取時にも控除(一時金は退職所得控除、年金形式は公的年金等控除)が使える。
選択肢1の「所得控除にならない」は誤りで、全額が所得控除になる。選択肢2の「運用益に課税」も誤りで、運用益は非課税である。選択肢4の「受取時もすべて非課税」も誤りで、受取時は控除を使ったうえで課税対象になる(全額非課税ではない)。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 掛金は全額が所得控除になる |
| 2 | ✗ | 運用益は非課税である |
| 3 | ✓ | 所得控除・運用益非課税・受取時控除の3つ |
| 4 | ✗ | 受取時は控除を使うが全額非課税ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 拠出限度額 = 区分別。自営業者など月6万8000円/企業年金なし会社員・専業主婦は月2万3000円。
- 🔴 2024年12月の見直し = 企業年金あり会社員・公務員は月5万5000円−他制度の掛金(上限月2万円)。年度ごとの最新数字は受験年度で確認。
- 🟡 3つの税制メリット = 掛金は全額所得控除・運用益は非課税・受取時にも控除。
次に学ぶ
- 企業型確定拠出年金 ── 会社が掛金を出すDC。iDeCoは「自分で出す」、企業型は「会社が出す」という対比で押さえる。
- 小規模企業共済 ── 自営業者の退職金づくり。iDeCoの掛金控除と同じ「小規模企業共済等掛金控除」でつながる。
- 退職所得控除 ── iDeCoを一時金で受け取るときに使う控除のしくみ。
執筆: SikakuQuest編集部