企業型確定拠出年金とは(全体像)
確定拠出年金(DC)は、出す掛金は決まっているが、受け取る額は運用しだいという年金。「企業型」は、その掛金を会社が出してくれるタイプ。加入者は、用意された商品から自分で運用先を選ぶ。
押さえるのは、会社の掛金に自分で上乗せできる(マッチング拠出)こと、そして辞めても資産を持ち運べる(ポータビリティ)こと。この2つがFP2級でよく問われる。
詳しく:マッチング拠出とポータビリティ
ここが記事の心臓部。2つの特徴を整理する。
企業型DCの2つの特徴
| 特徴 | 中身 |
|---|---|
| マッチング拠出 | 会社の掛金に、従業員が上乗せして出せる。上乗せは会社の掛金以下まで(合算の上限の範囲内) |
| ポータビリティ | 転職・退職時に、積み立てた資産を持ち運べる(次の制度へ移せる) |
整理のコツは2つ。
①マッチング拠出は「会社の掛金以下」。従業員の上乗せは、会社が出す掛金の額を超えられない。そして会社の掛金と合わせて、決められた上限の範囲内に収める。
②ポータビリティで持ち運べる。辞めても積み立てた資産は消えず、次の勤め先の制度や個人型(iDeCo)などへ移せる。
なお、掛金の上限額(月いくらまで等)は改正で変わることがある。受験する年度の最新の基準もあわせて確認しておくとよい。
わかりやすく言い換えると
つまり企業型DCは、「会社が出してくれる掛金を、自分で運用して育てる私的年金」だとイメージするとラク。
要するに、特徴は2つ。マッチング拠出は「会社の掛金に、自分のお金を上乗せできる」しくみ。ただし上乗せは会社の掛金を超えない範囲まで。ポータビリティは「辞めても積み立てた資産を持ち運べる」しくみ。
ひっかけは「マッチング拠出はできない」「辞めたら資産はなくなる」という思い込み。マッチング拠出はでき、資産は持ち運べる、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:マッチング拠出は会社の掛金以下
①会社の掛金に従業員が上乗せして出せる
②上乗せは会社の掛金以下まで(合算の上限の範囲内)
🔴 次に出る:ポータビリティ
①転職・退職時に資産を持ち運べる
②次の制度や個人型(iDeCo)などへ移せる
🟡 押さえると安定:運用しだいで受取額が変わる
①掛金は決まっているが、受け取る額は運用しだい
②商品は加入者が自分で選ぶ
よくある間違い
①「企業型DCではマッチング拠出ができない」→ ✗ マッチング拠出はできる。上乗せは会社の掛金以下まで。
②「マッチング拠出は会社の掛金を超えて出せる」→ ✗ 従業員の上乗せは会社の掛金以下まで。
③「退職すると積み立てた資産はなくなる」→ ✗ ポータビリティで持ち運べる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(マッチング拠出)
企業型確定拠出年金のマッチング拠出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- マッチング拠出は会社の掛金の何倍でも自由に上乗せでき、上限はいっさいないものとされている
- マッチング拠出は専業主婦だけができる仕組みで、会社員は利用できないものと決められている
- マッチング拠出は会社だけが行うもので、従業員が上乗せして出すことはできないものとされている
- マッチング拠出は、従業員が会社の掛金以下の範囲で自分の掛金を上乗せして出せる仕組みである
解答は 4 だっ。
マッチング拠出は、従業員が会社の掛金以下の範囲で上乗せして出せるしくみだよっ。会社の掛金を超えては出せないのがポイントだっ。
選択肢1は「何倍でも・上限なし」、選択肢2は「専業主婦だけ」、選択肢3は「従業員はできない」で、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 上乗せは会社の掛金以下まで |
| 2 | ✗ | 専業主婦だけの仕組みではない |
| 3 | ✗ | 従業員も上乗せできる |
| 4 | ✓ | 会社の掛金以下の範囲で上乗せで正しい |
オリジナル問題2(ポータビリティ)
企業型確定拠出年金のポータビリティに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 退職すると積み立てた資産はすべて会社のものになり、本人は受け取れないものとされている
- 積み立てた資産は転職や退職をしても本人のものであり、次の制度へそのまま持ち運ぶことができる
- 積み立てた資産は退職すると国に没収され、二度と取り戻せないものと決められている
- 積み立てた資産は同じ会社にいる間しか使えず、転職するとその場で消えてしまうものとされている
解答は 2 だよっ。
積み立てた資産は転職や退職をしても本人のもので、次の制度へ持ち運べる(ポータビリティ)よっ。
選択肢1は「会社のものになる」、選択肢3は「国に没収」、選択肢4は「消えてしまう」で、いずれも誤りだよっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 資産は本人のもの |
| 2 | ✓ | 持ち運べて次の制度へ移せて正しい |
| 3 | ✗ | 没収されることはない |
| 4 | ✗ | 転職しても資産は消えない |
オリジナル問題3(企業型DCの基本)
企業型確定拠出年金の基本的なしくみに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 企業型確定拠出年金は将来の受取額があらかじめ確定しており、運用の成果には左右されないものとされる
- 企業型確定拠出年金は加入者が運用先を選べず、会社がすべての運用を代わりに行うものとされている
- 企業型確定拠出年金は、会社が掛金を出し、加入者が自分で運用するもので、受取額は運用しだいで変わる
- 企業型確定拠出年金は掛金を本人が全額出すもので、会社はいっさい掛金を出さないものとされている
解答は 3 だっ。
企業型確定拠出年金は、会社が掛金を出し、加入者が自分で運用して、受取額は運用しだいで変わるよっ。
選択肢1は「受取額が確定」、選択肢2は「加入者が運用先を選べない」、選択肢4は「本人が全額出す」で、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 受取額は運用しだいで変わる |
| 2 | ✗ | 加入者が運用先を選ぶ |
| 3 | ✓ | 会社が拠出・本人が運用で正しい |
| 4 | ✗ | 掛金は会社が出す(上乗せは可能) |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 マッチング拠出は会社の掛金以下まで。従業員が上乗せして出せるが、会社の掛金を超えられない。
- 🔴 ポータビリティで持ち運べる。転職・退職時に資産を次の制度へ移せる。
- 🟡 受取額は運用しだい。会社が掛金を出し、加入者が自分で運用する。
次に学ぶ
- 老後資金 ── 企業型DCは老後資金づくりの柱の1つ。必要額の試算とあわせて押さえると活かし方が見える。
- 確定拠出年金・企業年金 ── FP3級で学ぶ企業年金の土台。確定拠出と確定給付の違いをおさらいすると整理できる。
執筆: SikakuQuest編集部