相続時精算課税の切替戦略とは?暦年と精算の「持ち戻し」を比べる

公開: 更新: カテゴリ: 法改正時事

30秒で結論

相続時精算課税の切替戦略とは(全体像)

贈与税には2つのかけ方がある。

2024年の改正で、この相続時精算課税に年110万円の基礎控除が新たに加わった。つまり、毎年110万円までなら申告も不要で、しかも相続財産に持ち戻されない(相続税の計算に足し戻さない)。これが切替を考えるきっかけになっている。


詳しく:暦年と精算の「持ち戻し」を比べる

ここが記事の心臓部。判断のカギは、贈与した財産が相続のときに持ち戻される(相続財産に足し戻される)かどうかにある。

暦年課税と相続時精算課税の比較(2024年改正後)

暦年課税相続時精算課税
年110万円の扱い基礎控除(超えた分に課税)基礎控除(新設・申告不要)
生前贈与の持ち戻し相続前7年分を持ち戻す年110万円分は持ち戻さない
方式の選び直し一度選ぶと暦年に戻せない

暦年課税は、2024年改正で持ち戻し期間が3年から7年へ延長された(段階的に7年へ)。相続前7年以内の贈与は、年110万円の基礎控除分も含めて相続財産に足し戻されるので、相続が近いほど節税効果が薄くなる。

いっぽう相続時精算課税は、年110万円の基礎控除分だけは持ち戻されない。だから相続が近い高齢の親からの贈与でも、毎年110万円ずつは確実に相続財産の外へ移せる。ただし、相続時精算課税は一度選ぶと暦年課税には戻せない点に注意。

なお、贈与税・相続税の数字や持ち戻し年数は改正で動くことがあるので、受験する年度の最新の内容を確認しておくと安心材料になる。

わかりやすく言い換えると

むずかしく考えず、こうイメージするとラク。

要するに、暦年課税は「相続前7年は巻き戻される」、相続時精算課税は「年110万円分は巻き戻されない」。つまり、相続が近い人ほど精算課税の年110万円が効いてくる、というのが切替戦略の中心。


試験のツボ

🔴 一番出る:2024年改正の2つの核

①相続時精算課税に年110万円の基礎控除が新設(申告不要・持ち戻さない)

②暦年課税の持ち戻しが3年から7年へ延長

🔴 次に出る:どちらが有利か

①相続が近い高齢の親からの贈与 = 相続時精算課税が有利になりやすい

②理由 = 年110万円分は相続財産に持ち戻されないから

🟡 押さえると安定:相続時精算課税は一度選ぶと暦年に戻せない

選ぶ前に、その後の贈与方針までふくめて判断する。


よくある間違い

「相続時精算課税の年110万円も相続時に持ち戻される」→ ✗  年110万円の基礎控除分は持ち戻されない。これが改正の目玉。

「暦年課税の持ち戻しは3年のまま」→ ✗  2024年改正で7年に延長された。

「相続時精算課税は自由に暦年に戻せる」→ ✗  一度選ぶと暦年課税には戻せない。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(2024年の改正内容)

📝 オリジナル問題 1 相続時精算課税の2024年改正

2024年の相続時精算課税の改正に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 2024年から相続時精算課税に年110万円の基礎控除が新設され、その範囲なら贈与税の申告も不要になった
  2. 2024年の改正で相続時精算課税は廃止され、贈与はすべて暦年課税に一本化されることになったとされる
  3. 2024年から相続時精算課税の特別控除が2500万円から1000万円に引き下げられることになったとされる
  4. 2024年の改正で相続時精算課税の年110万円分も、相続のときにすべて持ち戻されることになったとされる
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 1 である。

2024年から相続時精算課税に年110万円の基礎控除が新設された。この範囲なら贈与税の申告も不要で、しかも相続財産に持ち戻されないのが大きな特徴である。

選択肢2の「精算課税の廃止」は誤りで、廃止されていない。選択肢3の「特別控除の引き下げ」も誤りで、特別控除は累計2500万円のままである。選択肢4の「年110万円分も持ち戻し」も誤りで、年110万円分は持ち戻されない。

選択肢判定理由
1年110万円の基礎控除新設・申告不要・持ち戻さない
2相続時精算課税は廃止されていない
3特別控除は累計2500万円のまま
4年110万円分は持ち戻されない

オリジナル問題2(暦年と精算の持ち戻し)

📝 オリジナル問題 2 生前贈与の持ち戻し

暦年課税と相続時精算課税の持ち戻しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 暦年課税で贈与した年110万円の基礎控除分も、相続時には一切持ち戻されないものとされている
  2. 相続時精算課税の年110万円の基礎控除分は、相続のときにそのまま持ち戻されるものとされている
  3. 暦年課税は相続前7年分が持ち戻される一方、精算課税の年110万円分は持ち戻されないとされる
  4. 暦年課税も相続時精算課税も、相続前3年分の贈与だけが持ち戻しの対象とされている
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 3 である。

暦年課税は2024年改正で、生前贈与の持ち戻しが相続前7年分に延長された。これに対し、相続時精算課税の年110万円の基礎控除分は持ち戻されない。ここが切替を考えるうえでの最大のポイントである。

選択肢1は誤りで、暦年課税の年110万円分も持ち戻しの対象になる。選択肢2も誤りで、精算課税の年110万円分は持ち戻されない。選択肢4も誤りで、暦年は7年へ延長されている。

選択肢判定理由
1暦年の年110万円分も7年以内なら持ち戻す
2精算課税の年110万円分は持ち戻さない
3暦年は7年持ち戻し・精算の110万円は持ち戻さない
4暦年は3年ではなく7年に延長された

オリジナル問題3(切替の判断)

📝 オリジナル問題 3 切替の判断

相続時精算課税への切替の判断に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 相続時精算課税は何度でも暦年課税に戻すことができ、毎年自由に方式を選び直せるとされている
  2. 相続時精算課税は一度選ぶと暦年課税に戻せないが、相続が近い高齢の親からの贈与では有利になりやすい
  3. 相続時精算課税を選べるのは、贈与する側が18歳以上で受け取る側が60歳以上の場合に限られるとされる
  4. 相続時精算課税は相続が遠い若い親からの贈与でのみ有利で、高齢の親には向かないものとされている
マネケンジャ
マネケンジャ 解答・解説

解答は 2 である。

相続時精算課税は一度選ぶと暦年課税には戻せない。そのうえで、相続が近い高齢の親からの贈与では、年110万円分が持ち戻されないため有利になりやすい

選択肢1の「何度でも戻せる」は誤りで、戻せない。選択肢3は誤りで、贈与する側が60歳以上・受け取る側が18歳以上で、年齢の向きが逆である。選択肢4の「高齢の親には向かない」も誤りで、むしろ相続が近いほど精算課税が効く。

選択肢判定理由
1一度選ぶと暦年課税に戻せない
2戻せないが、相続が近い高齢の親からは有利
3贈与側60歳以上・受取側18歳以上で逆
4相続が近いほど精算課税が効く

まとめ

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執筆: SikakuQuest編集部

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