6つの係数とは(全体像)
6つの係数は、お金の時間価値(同じ金額でも「今」と「将来」で価値が違うこと)を計算するための道具。利率と年数で決まる係数表から数字を1つ選び、元の金額にかければ答えが出る。電卓いらずの早見表だと思えばいい。
大事なのは、6種をバラバラに暗記しないこと。「持っている情報」と「ほしい答え」のペアで決まると考えると、一気に見通しがよくなる。
- まとまったお金が「今ある」のか「将来ほしい」のか
- 毎年の積立や受け取りという「毎年の流れ」がからむのか
この2軸で6種が整理できる。
詳しく:この表だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。6つの係数は、次の表に全部つまっている。「知っているもの → 求めたいもの」で読むのがコツ。
6つの係数の早見表
| 係数 | 知っているもの → 求めたいもの | こんな場面 |
|---|---|---|
| 終価係数 | 今のお金 → 将来の額 | 100万円を運用したら10年後いくら? |
| 現価係数 | 将来の目標額 → 今必要な額 | 10年後に100万円にするには今いくら預ける? |
| 年金終価係数 | 毎年の積立 → 将来の合計 | 毎年10万円積み立てたら10年後の合計は? |
| 減債基金係数 | 将来の目標額 → 毎年の積立額 | 10年後に100万円貯めるには毎年いくら積む? |
| 年金現価係数 | 毎年ほしい年金 → 今必要な元本 | 毎年100万円を10年もらうには元本いくら? |
| 資本回収係数 | 今ある元本 → 毎年もらえる額 | 1,000万円を10年で取り崩すと毎年いくら? |
3組の「逆の関係」で覚えると、混乱しなくなる。
- 終価 ⇔ 現価 … 「今→将来」と「将来→今」で逆。
- 年金終価 ⇔ 減債基金 … 「積立の合計を出す」と「目標から積立額を出す」で逆。
- 年金現価 ⇔ 資本回収 … 「年金から元本を出す」と「元本から年金を出す」で逆。
そしてFP2級の本番は複合計算。1つの係数では答えが出ず、2つを続けて使う問題が出る。代表例が老後資金。
「老後に毎年○万円を△年間受け取りたい。そのために今から□年間、毎年いくら積み立てればいい?」という問いは、こう2段階で解く。
①年金現価係数 … 受け取りに必要な元本(原資)を出す
②減債基金係数 … その元本を貯めるための毎年の積立額を出す
わかりやすく言い換えると
つまり係数は、むずかしく考えず「方向を変えるレンズ」だとイメージするとラク。
「今のお金」を未来側からのぞけば終価、「将来の額」を今側からのぞけば現価。毎年の流れがからむと、終価・現価の前に「年金」がつくだけ。
要するに、「目標額から逆算したい(毎年いくら積む?)」なら減債基金、「元本を取り崩したい(毎年いくらもらえる?)」なら資本回収。この2つは“逆算系”とまとめて覚えると速い。
試験のツボ
🔴 一番出る:場面に合う係数を選べるか
①「今ある額→将来」は終価、「将来の目標→今」は現価
②「毎年積み立て→合計」は年金終価、「目標→毎年の積立額」は減債基金
③「毎年もらう年金→必要な元本」は年金現価、「元本→毎年もらえる額」は資本回収
🔴 次に出る:2段階の複合計算
①老後資金の積立は「年金現価係数 → 減債基金係数」の順
②先に必要な元本を出し、次にその元本を貯める積立額を出す
🟡 押さえると安定:逆の関係をセットで持つ
①終価⇔現価、年金終価⇔減債基金、年金現価⇔資本回収はそれぞれ逆向き
②方向(今→将来か、将来→今か)を最初に決めると係数が一発で絞れる
よくある間違い
①「6種を名前だけで丸暗記する」→ ✗ 名前ではなく「知っている情報→求めたい答え」で選ぶと間違えない。
②「減債基金係数と資本回収係数を取り違える」→ ✗ 減債基金は“貯める側(毎年いくら積む?)”、資本回収は“取り崩す側(毎年いくらもらえる?)”。
③「複合計算を1つの係数で解こうとする」→ ✗ 老後資金などは2段階。先に元本、次に積立額の順で2つの係数を使う。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(場面に合う係数の選択)
「毎年一定額を積み立てたとき、将来の積立合計がいくらになるか」を求めるときに使う係数として、正しいものはどれか。
- 一定の元本を毎年取り崩していくとき、毎年受け取れる金額を求める資本回収係数を使う
- 毎年同じ額をコツコツ積み立てていったとき、その将来の合計額を求める年金終価係数を使う
- 将来の目標額を用意するために、今いくら預ければよいかを求める現価係数を使う
- 将来の目標額に到達するために、毎年いくら積み立てればよいかを求める減債基金係数を使う
解答は 2 だっ。
「毎年の積立 → 将来の合計」を出すのは年金終価係数。名前に「年金」が付くのは“毎年の流れ”の合図、「終価」は“将来の額を出す”合図だよっ。
選択肢1の資本回収係数は「元本→毎年もらえる額」、選択肢3の現価係数は「将来の目標→今必要な額」、選択肢4の減債基金係数は「目標→毎年の積立額」。どれも求めたい答えが違うんだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 資本回収係数は元本を取り崩して毎年もらえる額を出す |
| 2 | ✓ | 年金終価係数は毎年の積立の将来合計を出す |
| 3 | ✗ | 現価係数は将来の目標から今必要な額を出す |
| 4 | ✗ | 減債基金係数は目標から毎年の積立額を出す |
オリジナル問題2(複合計算の手順)
「老後に毎年一定額を受け取るために、今から毎年いくら積み立てればよいか」を求める手順として、正しいものはどれか。
- 年金現価係数で受け取りに必要な元本を出し、その元本を減債基金係数で毎年の積立額に直す
- 資本回収係数だけを一度使えば、毎年の積立額がそのまま求められるので他の係数はいらない
- 終価係数で今のお金の将来額を出し、その額を現価係数で今の価値に戻して積立額とする
- 年金終価係数で将来の受取総額を出し、それを終価係数でもう一度ふくらませて積立額とする
解答は 1 だよっ。
老後資金の積立は2段階。まず①年金現価係数で「毎年受け取るのに必要な元本」を出し、次に②減債基金係数でその元本を貯めるための「毎年の積立額」を出すんだっ。
選択肢2のように1つの係数では解けないし、選択肢3・4は使う係数も向きもかみ合っていないよっ。「先に元本、次に積立額」の順番だけ押さえてねっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 年金現価→減債基金の2段階で正しい |
| 2 | ✗ | 1つの係数では受取と積立の両方は解けない |
| 3 | ✗ | 終価と現価は毎年の積立額を求める係数ではない |
| 4 | ✗ | 年金終価と終価の組み合わせでは積立額は出ない |
オリジナル問題3(減債基金係数と資本回収係数の区別)
減債基金係数と資本回収係数の説明として、正しいものはどれか。
- 減債基金係数も資本回収係数も、今ある元本が将来どれだけにふくらむのかを計算するための係数である
- 減債基金係数は元本から毎年もらえる額を、資本回収係数は目標額に必要な毎年の積立額を求める
- 減債基金係数は目標額に必要な毎年の積立額を、資本回収係数は元本から毎年もらう額を求める
- 減債基金係数も資本回収係数も、将来の金額を今の価値に割り引いて求めるための係数である
解答は 3 だっ。
減債基金係数は“貯める側”(目標額に必要な毎年の積立額)、資本回収係数は“取り崩す側”(元本から毎年もらえる額)。向きが正反対だよっ。
選択肢2は2つの説明が入れ替わっているし、選択肢1・4はどちらも「ふくらませる/割り引く」だけの話で、毎年の流れを出す係数の説明になっていないんだっ。「積むなら減債基金、崩すなら資本回収」で覚えてねっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 元本をふくらませるのは終価係数の役割 |
| 2 | ✗ | 2つの係数の説明が入れ替わっている |
| 3 | ✓ | 減債基金=積立額、資本回収=受取額で正しい |
| 4 | ✗ | 将来を今に割り引くのは現価系の係数 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 6つの係数は「知っている情報 → 求めたい答え」で選ぶ。終価/現価/年金終価/年金現価/減債基金/資本回収の6種。
- 🔴 複合計算は2段階。老後資金の積立は「年金現価係数(必要な元本)→ 減債基金係数(毎年の積立額)」の順。
- 🟡 3組の逆の関係(終価⇔現価・年金終価⇔減債基金・年金現価⇔資本回収)をセットで持つと取り違えない。
次に学ぶ
- 6つの係数(基礎) ── FP3級で学ぶ6つの係数の土台。1つずつの係数の意味をおさらいしてから複合計算に進むと混ざらない。
- ライフプランニング ── 係数を使う前提となる、ライフプラン作成の全体像。何のために将来額を計算するのかがわかる。
- 教育資金 ── 目標額から毎年の積立額を逆算する代表的な場面。減債基金係数の使いどころが具体的に見える。
執筆: SikakuQuest編集部