配当控除とは(全体像)
会社が稼いだもうけにはまず法人税がかかり、そこから配当を受け取った人にもさらに所得税がかかる。同じもうけに二重に税がかかるので、その重なりをやわらげるのが配当控除。
押さえるのは、配当控除が税額控除(税額から直接引く)であること、そして総合課税を選んだときだけ使えること。配当の受け取り方には総合課税・申告分離課税・申告不要の選択肢があり、配当控除を使えるのは総合課税のときに限られる。ここがFP2級でよく問われる。
詳しく:控除率と課税方式の関係
ここが記事の心臓部。まず、控除率。配当所得の部分について、課税所得の大きさで2段階に分かれる。
配当控除の控除率(所得税)
| 課税総所得金額 | 配当控除の率 |
|---|---|
| 1,000万円以下の部分 | 10% |
| 1,000万円を超える部分 | 5% |
たとえば課税所得が800万円・配当所得が100万円なら、すべて1,000万円以下の部分なので、100万円 × 10%=10万円が所得税から直接引かれる。住民税では2.8%/1.4%の控除になる。
次に、いちばん間違えやすい課税方式との関係。配当の申告のしかたは3つあり、配当控除が使えるのは総合課税のときだけ。
配当の課税方式と配当控除
| 課税方式 | 配当控除 |
|---|---|
| 総合課税 | 使える |
| 申告分離課税 | 使えない |
| 申告不要 | 使えない |
なお、控除率や対象は改正で変わることがあるので、受験する年度の最新の内容もあわせて確認しておこう。
わかりやすく言い換えると
つまり、「会社と個人の二重課税をやわらげる割引券。ただし総合課税で申告したときしか使えない」とイメージするとラク。
要するに、配当控除は、配当にかかる二重課税の調整として、税額から直接引く税額控除。控除率は、課税所得1,000万円以下の部分が10%、超える部分が5%。そして、総合課税を選んだときだけ使え、申告分離課税や申告不要を選ぶと使えない、と押さえておこう。
試験のツボ
🔴 一番出る:総合課税のときだけ使える
①配当控除は総合課税で申告したときだけ使える
②申告分離課税・申告不要を選ぶと使えない
🔴 次に出る:控除率は10%/5%
①課税所得1,000万円以下の部分は10%
②1,000万円を超える部分は5%
🟡 押さえると安定:配当控除の意味
①法人税と所得税の二重課税をやわらげる調整
②税額から直接引く税額控除
よくある間違い
①「配当控除は申告分離課税でも使える」→ ✗ 配当控除が使えるのは総合課税のときだけ。
②「控除率は常に一律10%」→ ✗ 1,000万円以下の部分が10%、超える部分は5%。
③「配当控除は所得から引く所得控除である」→ ✗ 税額から直接引く税額控除。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(配当控除のしくみ)
配当控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 配当控除は、配当をいっさい受け取っていない人でも、毎年一律で受けられるものとされている
- 配当控除は所得から引く所得控除で、給与収入そのものから一定額を差し引くしくみとされる
- 配当控除は、配当にかかる二重課税の調整として、税額から直接引く税額控除のしくみである
- 配当控除は、株式を売って得たもうけ(譲渡益)に対してだけ使える税額控除のしくみとされる
解答は 3 です。
配当控除は、法人税と所得税の二重課税をやわらげる調整として、税額から直接引く税額控除なのよ。割引券のようなイメージなのね。
選択肢1は「配当がなくても一律」、選択肢2は「所得控除」、選択肢4は「譲渡益に対して」で、いずれも誤りなのよ。配当控除は受け取った配当が対象なのね。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 配当を受け取った人が対象 |
| 2 | ✗ | 所得控除ではなく税額控除 |
| 3 | ✓ | 二重課税の調整・税額控除で正しい |
| 4 | ✗ | 対象は配当で、譲渡益ではない |
オリジナル問題2(控除率)
配当控除の控除率(所得税)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 控除率は課税所得の大きさに関係なく、配当所得の部分について一律で20%とされている
- 控除率は課税所得1,000万円以下の部分が10%、1,000万円を超える部分は5%である
- 控除率は課税所得が大きいほど高くなり、1,000万円を超える部分は20%に上がるとされる
- 控除率は配当の有無に関係なく、すべての所得に対して一律3%が掛けられるものとされる
解答は 2 です。
控除率は、課税所得1,000万円以下の部分が10%、1,000万円を超える部分が5%なのよ。所得が大きい部分ほど率が下がるのね。
選択肢1は「一律20%」、選択肢3は「超える部分が20%」、選択肢4は「一律3%」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 一律ではなく10%と5%の2段階 |
| 2 | ✓ | 1,000万円以下10%・超5%で正しい |
| 3 | ✗ | 超える部分は5%に下がる |
| 4 | ✗ | 配当所得の部分に10%/5% |
オリジナル問題3(課税方式との関係)
配当控除と課税方式の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 配当控除は申告分離課税を選んだときだけ使え、総合課税ではいっさい使えないものとされる
- 配当控除は、総合課税でも申告不要でも、どの方式を選んでも同じように使えるものとされる
- 配当控除は、配当を受け取った全員が確定申告をしなくても自動的に受けられるものとされる
- 配当控除は総合課税で申告したときだけ使え、申告分離課税や申告不要を選ぶと使えなくなる
解答は 4 です。
配当控除が使えるのは、総合課税で申告したときだけなのよ。申告分離課税や申告不要を選ぶと使えないのね。ここがいちばんのひっかけなのよ。
選択肢1は「分離課税だけ」、選択肢2は「どの方式でも」、選択肢3は「申告しなくても自動」で、いずれも誤りなのよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 使えるのは総合課税のとき |
| 2 | ✗ | 申告不要・分離課税では使えない |
| 3 | ✗ | 総合課税で申告して受ける |
| 4 | ✓ | 総合課税のときだけ使えて正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 総合課税のときだけ使える。申告分離課税や申告不要を選ぶと配当控除は受けられない。
- 🔴 控除率は10%/5%。課税所得1,000万円以下の部分が10%、超える部分は5%。
- 🟡 配当控除の意味。法人税と所得税の二重課税をやわらげる、税額から直接引く税額控除。
次に学ぶ
- 住宅ローン控除 ── 同じ税額控除のしくみ。所得控除との違いを意識して整理できる。
- 所得税の計算の枠組み ── 所得税の計算の流れ。税額控除である配当控除がどこで引かれるかを押さえられる。
執筆: SikakuQuest編集部