居住用財産の不動産税制とは(全体像)
マイホームを売ったり買ったりするときには、税金を軽くする特例がいくつかある。2024年版では、これらの選択と組合せが問われる。
主な特例は4つ。
- 住宅ローン控除 … 取得時。性能区分に応じて、年末ローン残高の一定割合(0.7%)を控除。
- 3000万円特別控除 … 譲渡時。マイホームの譲渡益から最大3000万円を控除。
- 軽減税率の特例 … 譲渡時。所有期間が10年超の居住用財産で、税率が軽くなる。
- 買換え特例 … 買い替え時。譲渡益への課税を将来に繰り延べる。
つまり、売るとき・買うときに使える特例を、正しく組み合わせるのがポイント。
詳しく:併用できる組合せを押さえる
ここが記事の心臓部。不動産税制で問われるのは、どの特例が併用でき、どれが選択になるか。
居住用財産の特例の組合せ
| 組合せ | 可否 |
|---|---|
| 3000万円特別控除 + 軽減税率(10年超) | 併用できる |
| 買換え特例 + 3000万円特別控除 | 選択(併用できない) |
| 買換え特例 + 軽減税率 | 選択(併用できない) |
まず併用できる組合せ。3000万円特別控除と、所有期間10年超の軽減税率の特例は、あわせて使える。3000万円を引いたうえで、残りに軽い税率がかかる。
次に選択になる組合せ。買換え特例は、3000万円特別控除や軽減税率の特例とは併用できない。どちらか一方を選ぶ。買い替えで課税を繰り延べるか、3000万円控除+軽減税率で今の譲渡益を軽くするか、を比べて選ぶ。
なお、特例の要件や率は改正で動くことがあるので、受験する年度の最新の内容を確認しておくと安心材料になる。
わかりやすく言い換えると
むずかしく考えず、こうイメージするとラク。
要するに、マイホームの特例は「3000万円控除と軽減税率は仲良し(一緒に使える)・買換え特例はひとりだけ(選択)」。
つまり、まず3000万円控除+軽減税率のセットを基本に考え、買い替えるなら買換え特例とどちらが得かを比べる、と押さえる。
試験のツボ
🔴 一番出る:4つの特例
①取得は住宅ローン控除
②譲渡は3000万円特別控除・軽減税率・買換え特例
🔴 次に出る:併用と選択
①3000万円特別控除と軽減税率(10年超)は併用できる
②買換え特例はこれらとは選択(併用できない)
🟡 押さえると安定:軽減税率は10年超
軽減税率の特例は、所有期間が10年超の居住用財産で使える。
よくある間違い
①「居住用財産の特例はすべて自由に併用できる」→ ✗ 買換え特例は3000万円控除・軽減税率とは選択。
②「3000万円特別控除と軽減税率は併用できない」→ ✗ この2つは併用できる。
③「軽減税率の特例は所有期間3年超で使える」→ ✗ 軽減税率の特例は所有期間10年超が要件。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(4つの特例)
居住用財産の不動産税制に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 居住用財産の税制は住宅ローン控除という1つの特例だけで、ほかに使える特例はないとされている
- 居住用財産の税制では、どの特例も自由にすべて重ねて使えるものとされている
- 居住用財産には住宅ローン控除・3000万円特別控除・軽減税率・買換え特例などの特例がある
- 居住用財産の特例は売るときだけにあり、買うときに使える特例はないものとされている
解答は 3 である。
居住用財産には、取得の住宅ローン控除、譲渡の3000万円特別控除・軽減税率・買換え特例などの特例がある。
選択肢1の「1つだけ」は誤りで、複数ある。選択肢2の「すべて自由に重ねられる」も誤りで、選択になる組合せがある。選択肢4の「買うときの特例はない」も誤りで、住宅ローン控除がある。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 特例は複数ある |
| 2 | ✗ | すべて併用できるわけではない |
| 3 | ✓ | 取得・譲渡それぞれに特例がある |
| 4 | ✗ | 取得時の住宅ローン控除がある |
オリジナル問題2(併用できる組合せ)
3000万円特別控除と軽減税率の特例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 3000万円特別控除と軽減税率の特例は、どちらか一方しか使えないものとされている
- 3000万円特別控除と所有期間10年超の軽減税率の特例は、あわせて使うことができる
- 軽減税率の特例は所有期間3年超で使え、3000万円特別控除とは併用できないとされる
- 3000万円特別控除を使うと、軽減税率どころか住宅ローン控除もいっさい使えないとされる
解答は 2 である。
3000万円特別控除と、所有期間10年超の軽減税率の特例は、あわせて使える。3000万円を引いたうえで、残りに軽い税率がかかる。
選択肢1の「どちらか一方」は誤りで、併用できる。選択肢3の「3年超・併用できない」も誤りで、軽減税率は10年超で、併用できる。選択肢4の「いっさい使えない」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | この2つは併用できる |
| 2 | ✓ | 3000万円控除と軽減税率(10年超)は併用可 |
| 3 | ✗ | 軽減税率は10年超で、併用できる |
| 4 | ✗ | いっさい使えないわけではない |
オリジナル問題3(買換え特例)
居住用財産の買換え特例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 買換え特例は、3000万円特別控除や軽減税率と何の制限もなくすべて併用できるとされている
- 買換え特例は所有期間にかかわらず使え、ほかの特例より必ず有利になるとされている
- 買換え特例は売るときには関係なく、買うときの住宅ローン控除と同じものだとされている
- 買換え特例は、3000万円特別控除や軽減税率の特例とは併用できず、どちらかを選ぶ
解答は 4 である。
買換え特例は、3000万円特別控除や軽減税率の特例とは併用できない。どちらか一方を選ぶ。
選択肢1の「制限なく併用できる」は誤りで、選択になる。選択肢2の「必ず有利」も誤りで、比べて選ぶ。選択肢3の「住宅ローン控除と同じ」も誤りで、買換え特例は譲渡(売却)の特例である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 3000万円控除・軽減税率とは選択 |
| 2 | ✗ | 必ず有利とは限らず比べて選ぶ |
| 3 | ✗ | 買換え特例は譲渡の特例 |
| 4 | ✓ | 3000万円控除・軽減税率とは併用不可 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 4つの特例 = 住宅ローン控除(取得)・3000万円特別控除・軽減税率・買換え特例(譲渡)。
- 🔴 併用と選択 = 3000万円控除+軽減税率(10年超)は併用可。買換え特例はこれらと選択。
- 🟡 軽減税率 = 所有期間10年超の居住用財産で使える。最新の内容は受験年度で確認。
次に学ぶ
- 3000万円特別控除 ── 譲渡益から3000万円を引く特例のしくみをくわしく押さえる。
- 居住用財産の軽減税率 ── 所有期間10年超で使える軽減税率の要件を理解する。
- 住宅ローン控除の2024年改正 ── 取得時の控除。性能区分ごとの借入限度額とあわせて整理する。
執筆: SikakuQuest編集部