労働契約承継法とは(全体像)
会社分割は、会社が事業の一部や全部を切り分けて他の会社に承継させる再編の手法。このとき、その事業で働く人の労働契約がどうなるかが問題になる。会社分割を円滑に進めることと、働く人を守ることを両立させるのがこの法律。
押さえるのは2点。
- 会社分割では承継される … 対象になる人の労働契約は、分割に伴って自動的に新しい会社へ移る(承継)。
- だから保護の手続を置く … 会社は分割計画書等に対象者を書き、2週間前までに事前通知。本人は納得できなければ異議を申し出られる。
これと対比されるのが事業譲渡で、こちらは労働契約を移すのに本人の個別の同意が必要。
詳しく:手続と事業譲渡との違いを表でつかむ
ここが心臓部。「会社分割で何が起き、どんな手続があり、事業譲渡とどう違うか」は次の表に全部つまっている。
会社分割の承継と手続
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 会社分割に伴う労働契約の承継 |
| 承継 | 労働契約は分割の効力に伴って承継される |
| 記載 | 分割計画書・分割契約書に承継させる労働者の氏名等を記載 |
| 事前通知 | 対象労働者へ2週間前までなどに通知 |
| 異議申出権 | 労働者は承継に納得できなければ異議を申し出られる |
会社分割と事業譲渡の違い
| 区分 | 会社分割 | 事業譲渡 |
|---|---|---|
| 労働契約の移り方 | 分割に伴って承継 | 移すには個別の同意が必要 |
押さえどころは、①会社分割では労働契約が承継される、②会社は記載と2週間前までの事前通知、労働者には異議申出権、③事業譲渡は個別の同意が必要で枠組みが違う、の3つ。
わかりやすく言い換えると
要するに「会社が事業を切り分けて別会社に渡すとき、その事業で働く人の雇用を守る」法律。
つまり、会社分割では対象者の労働契約が自動で新しい会社に移る(承継)。ただ放置すると不利益が出かねないので、会社には「対象者を書く・2週間前までに知らせる」義務、本人には「異議を申し出る」権利がある。引っかけられやすいのは事業譲渡との混同で、事業譲渡は労働契約を移すのに本人の個別の同意が必要。
試験のツボ
🔴 一番出る:会社分割では労働契約が承継される
①対象者の労働契約は分割の効力に伴って承継される
②会社は分割計画書等に氏名等を記載し、2週間前までなどに事前通知
🔴 次に出る:労働者には異議申出権がある
①承継に納得できなければ異議を申し出られる
②異議が認められると承継・不承継が調整される
🟡 押さえると安定:事業譲渡との違い
①会社分割は承継(個別の同意は前提としない枠組み)
②事業譲渡は労働契約を移すのに労働者の個別の同意が必要
よくある間違い
①「会社分割でも労働契約を移すには個別の同意が必要」→ ✗ 会社分割では分割の効力に伴って承継される。個別の同意が必要なのは事業譲渡。
②「事前通知や異議申出の仕組みはない」→ ✗ 会社は2週間前までなどに事前通知し、労働者には異議申出権がある。
③「会社分割と事業譲渡は同じ枠組みで労働契約が移る」→ ✗ 会社分割は承継、事業譲渡は個別の同意が必要で、枠組みが異なる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(法律の趣旨)
労働契約承継法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働契約承継法は、最低賃金の額の具体的な決定方法を定める法律であるものとされている
- 労働契約承継法は、会社分割に伴う労働者の保護を定め、2001年4月に始まったものとされている
- 労働契約承継法は、労働組合の結成や運営の手続のみを定める法律であるものとされている
- 労働契約承継法は、労働者災害補償保険の保険給付の詳細な内容を定める法律であるものとされている
解答は 2 だよ。
労働契約承継法は、会社分割に伴う労働契約の承継について働く人を守る法律で、2001年4月に始まったんだ。
選択肢1の「最低賃金」、選択肢3の「労働組合の結成」、選択肢4の「労災給付」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 最低賃金の決定方法を定める法律ではない |
| 2 | ✓ | 会社分割の労働者保護・2001年4月開始で正しい |
| 3 | ✗ | 労働組合の結成手続を定める法律ではない |
| 4 | ✗ | 労災保険の給付内容を定める法律ではない |
オリジナル問題2(手続)
労働契約承継法の手続に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働者への通知はいっさい不要で、会社は労働者に何も知らせずに承継を進めてよいものとされている
- 労働者には異議を申し出る権利は認められず、承継にそのまま従うほかないものとされているものである
- 会社は、分割計画書等への記載や労働者への事前通知を、いっさい行う必要はないものとされている
- 会社は、分割計画書等に労働者の氏名等を記載し、対象労働者へ事前に通知を行うものとされている
解答は 4 だっ。
会社は、分割計画書等に承継させる労働者の氏名等を記載し、対象労働者へ2週間前までなどに事前通知を行うんだっ。本人には異議申出権もあるっ。
選択肢1の「通知不要」、選択肢2の「異議申出権なし」、選択肢3の「記載・通知不要」は、いずれも誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 対象労働者への事前通知が必要である |
| 2 | ✗ | 労働者には異議申出権が認められている |
| 3 | ✗ | 分割計画書等への記載や事前通知が必要である |
| 4 | ✓ | 氏名等の記載と対象労働者への事前通知を行う |
オリジナル問題3(事業譲渡との違い)
会社分割と事業譲渡の労働契約の扱いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 会社分割では労働契約が承継され、事業譲渡では個別の同意が必要であり、枠組みが異なるものとされている
- 会社分割も事業譲渡も、まったく同一の枠組みで労働契約が当然に移転するものと整理されているものである
- 会社分割では、労働契約はいっさい承継されず、必ず消滅するものとして扱われるものとされているものである
- 事業譲渡では、労働者の同意はいっさい不要で、当然に労働契約が移転するものとされているものである
解答は 1 である。
会社分割では労働契約が分割に伴って承継され、事業譲渡では労働契約を移すのに個別の同意が必要で、枠組みが異なる。
選択肢2の「同一の枠組み」、選択肢3の「必ず消滅」、選択肢4の「同意不要」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 会社分割は承継・事業譲渡は個別の同意で枠組みが違う |
| 2 | ✗ | 会社分割と事業譲渡は同一の枠組みではない |
| 3 | ✗ | 会社分割で労働契約が必ず消滅するわけではない |
| 4 | ✗ | 事業譲渡では労働者の個別の同意が必要である |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 趣旨と承継 = 会社分割のときに働く人の雇用を守る法律(2001年4月に始まった)。会社分割では労働契約が分割に伴って承継される。
- 🔴 手続 = 分割計画書等への氏名等の記載、2週間前までなどの事前通知、労働者の異議申出権。
- 🟡 事業譲渡との違い = 会社分割は承継。事業譲渡は労働契約を移すのに労働者の個別の同意が必要で、枠組みが異なる。
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執筆: SikakuQuest編集部