育児休業等保険料免除(厚年)とは(全体像)
子育てで仕事を離れている間は収入が下がる。それなのに保険料の負担だけ続くと、育休をとりにくい。そこで、育休中は厚生年金の保険料を免除し、しかもその期間を年金額の計算に入れて将来の年金が減らないようにしたのがこの制度。
押さえるのは2点。
- 誰の何を免除するか … 3歳未満の子の育休中、本人と会社の保険料を両方免除(会社が申し出る)。
- 将来の年金はどうなるか … 免除された期間も被保険者期間に算入され、老齢厚生年金額に反映される=払ったものとして扱われ、不利益はない。
健康保険の保険料にも同じしくみがあり、厚年とセットで同時に動く。
詳しく:免除される保険料と要件を表でつかむ
ここが心臓部。「どの保険料が・どんなときに免除されるか」は次の表に全部つまっている。
育児休業等保険料免除(厚年)の全体像
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 3歳未満の子を養育するための育児休業等 |
| 免除される者 | 本人(被保険者)と会社(事業主)の双方 |
| 手続 | 会社が申し出る |
| 月額保険料の要件 | 月末が育休中 または 同一月内に14日以上の育休 |
| 賞与保険料の要件 | 1か月を超える連続育休のときだけ |
| 年金額への効果 | 免除期間も被保険者期間に算入=年金は減らない |
大事なのは、①免除されるのは本人と会社の両方(本人分だけではない)、②月額は14日要件でOKだが、賞与は1か月超の連続育休でないと免除されない、③免除期間も年金額に反映されるので将来の年金は目減りしない、という点。
「同一月内に14日以上」というのは、月末をまたがない月中の短い育休でも、その月に14日以上あればその月の月額保険料が免除される、という意味(2022年に加わった要件)。
わかりやすく言い換えると
要するに「3歳未満の子の育休中は、本人と会社が払う厚生年金の保険料が両方タダになる。しかも将来の年金は減らない」しくみ。
月の保険料は「月末に育休中」か「その月に14日以上育休」のどちらかでタダ。つまり月末をねらわなくても、14日以上まとめてとればその月は免除される。ボーナスの保険料だけは別で、1か月を超えて連続して休んだときだけタダになる。
試験のツボ
🔴 一番出る:誰の何が免除されるか
①対象は3歳未満の子の育児休業等
②本人と会社の保険料を両方免除(本人分だけではない)
🔴 次に出る:月額と賞与で要件が違う
①月額保険料 = 月末育休 または 同一月内14日以上
②賞与保険料 = 1か月を超える連続育休のときだけ
🟡 押さえると安定:免除期間も年金額に反映される
①免除された期間も被保険者期間に算入される
②将来の老齢厚生年金は減らない(払ったものとして扱う)
よくある間違い
①「免除されるのは本人の負担分だけ」→ ✗ 本人と会社の負担分を両方免除する。会社の分も止まる。
②「賞与の保険料も14日以上の育休で免除」→ ✗ 14日要件は月額保険料の話。賞与は1か月を超える連続育休のときだけ免除。
③「免除された期間は年金額の計算から外される」→ ✗ 免除期間も被保険者期間に算入され、年金額に反映される。将来の年金は減らない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(誰の何が免除されるか)
育児休業等保険料免除(厚年)の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 育児休業等の期間中は本人の負担分だけが免除され、会社の負担分は通常どおり徴収されるものとされる
- 3歳未満の子の育児休業等の期間中は、本人と会社の双方の厚生年金保険料が免除される取扱いである
- 育児休業等保険料免除は、小学校就学前の子を養育する全期間にわたって広く対象とされるものである
- 育児休業等保険料免除は、本人からの請求があってはじめて月単位で適用されることになるものとされる
解答は 2 だよ。
対象は3歳未満の子の育休で、免除されるのは本人と会社の両方の保険料。手続きは会社が申し出るんだ。
選択肢1の「本人分だけ」、選択肢3の「就学前まで」、選択肢4の「本人の請求が必要」は、いずれも誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 本人と会社の双方を免除する |
| 2 | ✓ | 3歳未満・本人と会社の双方免除が正しい |
| 3 | ✗ | 対象は3歳未満で就学前までではない |
| 4 | ✗ | 会社の申出によるもので本人の請求ではない |
オリジナル問題2(月額と賞与の要件の違い)
育児休業等保険料免除(厚年)の要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 月額保険料は、その月の末日が育児休業中である場合に限ってのみ免除されるものとされている
- 賞与の保険料は、同一月内に14日以上の育児休業があればその月の分が免除されるものとされる
- 月額保険料は月末が育休中の場合のほか、同一月内に14日以上の育休でも免除されるものとされる
- 月額保険料も賞与の保険料も、いずれも1か月を超える連続育休がなければ免除されないものとされる
解答は 3 だっ。
月額保険料は「月末が育休中」か「同一月内に14日以上の育休」のどちらかで免除されるんだっ。14日要件は2022年に加わったものだっ。賞与の保険料だけは別で、1か月を超える連続育休のときだけ免除されるっ。
選択肢1は「月末だけ」、選択肢2は「賞与も14日でOK」、選択肢4は「月額も1か月超が必要」がそれぞれ誤りだっ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 月末のほか14日要件でも免除される |
| 2 | ✗ | 賞与は1か月超の連続育休のときだけ |
| 3 | ✓ | 月末または同一月内14日以上で免除される |
| 4 | ✗ | 月額は14日以上の育休でも免除される |
オリジナル問題3(免除期間と年金額)
育児休業等保険料免除を受けた期間の取扱いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 免除を受けた期間は被保険者期間から除かれ、将来の老齢厚生年金額には反映されないものとされる
- 免除を受けた期間は被保険者資格そのものが消滅し、資格の再取得の手続が必要となるものとされる
- 免除を受けた期間は、会社が後日その全額をさかのぼって納付する義務を負うことになるものとされる
- 免除を受けた期間も被保険者期間に算入され、将来の老齢厚生年金額に反映されるものとされている
解答は 4 である。
免除された期間も被保険者期間に算入され、将来の老齢厚生年金額の計算に反映される。保険料を払ったものとして扱われるので、給付の上で不利益はない。
選択肢1の「年金額に反映されない」、選択肢2の「資格が消滅」、選択肢3の「後日納付が必要」は、いずれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 被保険者期間に算入され年金額に反映される |
| 2 | ✗ | 被保険者資格は休業中も継続する |
| 3 | ✗ | 後日さかのぼって納付する必要はない |
| 4 | ✓ | 期間に算入され年金額に反映されるのが正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 対象と免除範囲 = 3歳未満の子の育休中、本人と会社の厚生年金保険料を両方とも免除(会社が申出)。
- 🔴 月額と賞与で要件が違う = 月額は「月末育休または同一月内14日以上」、賞与は「1か月を超える連続育休」のときだけ。
- 🟡 年金額への効果 = 免除期間も被保険者期間に算入され、将来の老齢厚生年金は減らない。
次に学ぶ
- 育児休業等保険料免除(健保) ── 健康保険料の同じしくみ。厚年とセットで同時に動く。
- 厚生年金保険の被保険者 ── 免除の前提。育休中も被保険者資格は続く。
- 保険料率(厚年) ── 免除されるのは、この率で計算された保険料。
執筆: SikakuQuest編集部