雇用保険では何がもらえる?理解する3つの軸
雇用保険給付の話は、3つの軸で整理できます。
- 5本柱の給付: 失業等給付・育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付・教育訓練給付
- 基本手当: 失業時の生活保障、所定給付日数は離職理由・年齢・被保険者期間で決定
- 受給手続: ハローワークでの受給資格決定→失業認定→給付の繰返し
ここがポイント。雇用保険は『失業時の生活保障と再就職支援を社会全体で支える社会保険』ということ。労働者の保険料と事業主の保険料の両方で運営されています。
それから、労災保険と並ぶ労働保険の二本柱という事実。労働者を雇う事業主は両保険への加入が義務(一部例外あり)で、労働者保護の中核制度として機能しています。
なぜそう言えるのか、3つの軸を順番に見ていきます。
どんな給付がある?——雇用保険の5本柱
雇用保険法の対象
雇用保険法は 1日4時間以上または週20時間以上勤務、31日以上の雇用見込み がある労働者を対象とします(6条)。
雇用保険の被保険者類型
5本柱の給付体系
雇用保険の5本柱の給付
保険料負担
雇用保険料は 労働者と事業主の双方が負担——労働者は給与天引き、事業主は労使ともに納付。
| 区分 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計(2024年度) |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 0.6% | 0.95% | 1.55% |
| 農林水産・清酒製造 | 0.7% | 1.05% | 1.75% |
| 建設の事業 | 0.7% | 1.15% | 1.85% |
トリビア:雇用保険法は1947年制定の失業保険法を1974年に改編、2024年改正で給付制限期間も見直し
雇用保険法は 1947年制定の失業保険法 を起源に、1974年に「雇用保険法」として改編——失業時の生活保障に加えて 再就職支援・職業訓練・能力開発支援 の総合的雇用対策法として整備されました。2017年改正 で65歳以上の高年齢被保険者制度が新設、2020年改正 で複数事業所勤務者の保険適用拡大、2024年4月改正 では 自己都合退職時の給付制限期間 が原則 2か月から1か月 に短縮(教育訓練を受けた場合は制限なし)——再就職支援とキャリア形成支援が大幅に強化されています。
失業手当はいくら?——基本手当の計算
基本手当の所定給付日数
基本手当の 所定給付日数 は 離職理由・年齢・被保険者期間 で決定。
- 特定受給資格者(会社都合等): 90〜330日(被保険者期間と年齢で決定)
- 特定理由離職者(やむを得ない自己都合): 90〜330日(特定受給資格者に準じる)
- 一般受給資格者(自己都合): 90〜150日(被保険者期間で決定)
- 就職困難者(障害者等): 150〜360日
特定受給資格者と一般受給資格者の比較
| 被保険者期間 | 特定受給資格者(30歳未満) | 一般受給資格者 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | (給付なし) |
| 1〜5年 | 90〜120日 | 90日 |
| 5〜10年 | 180日 | 90日 |
| 10〜20年 | 210日 | 120日 |
| 20年以上 | 240日 | 150日 |
会社都合(特定受給資格者)の方が 所定給付日数が大幅に多い——失業の原因が労働者にない場合の保障強化です。
基本手当日額
基本手当日額は 賃金日額 × 給付率(50〜80%) で計算。年齢区分で上限額あり。
基本手当日額の計算
待期期間と給付制限
- 7日間の待期期間: ハローワークで受給資格決定後、必須の待期
- 給付制限期間: 自己都合退職は1〜2か月(2024年改正で原則1か月)
- 教育訓練受講: 2024年改正で自己都合退職でも給付制限なし
- 特定受給資格者: 待期7日のみ、給付制限なし
私たちが取材した社会保険労務士の話では、「会社都合か自己都合かは離職票で決まる——納得できなければハローワークで異議申立て可能で、実態に応じて変更されることもある」とのこと。
どう受給する?——各種給付と受給手続(59条以下)
教育訓練給付(60条の2)
厚労大臣指定の 教育訓練講座 を受講した場合、費用の一部が支給されます。
教育訓練給付の3区分
高年齢雇用継続給付(61条)
60歳以降に賃金が60歳時点の 75%未満 に低下した場合の給付。
| 給付の種類 | 内容 |
|---|---|
| 高年齢雇用継続基本給付金 | 60〜65歳の雇用継続中の賃金低下を補う |
| 高年齢再就職給付金 | 60〜65歳の再就職時の賃金低下を補う |
| 給付率 | 賃金低下率に応じて最大15%(賃金の) |
育児休業給付・介護休業給付
別記事で詳述しているが、雇用保険法の給付として位置づけられる重要制度。
| 給付 | 要件 | 給付率 |
|---|---|---|
| 育児休業給付(61条の7) | 子が1歳まで(最長2歳) | 開始180日まで67%、以降50% |
| 産後パパ育休給付(同) | 出生後8週間以内に最大4週間 | 67% |
| 介護休業給付(61条の4) | 対象家族1人通算93日 | 67% |
受給手続の流れ
基本手当の受給手続
実務家の視点から言えば、雇用保険は『失業時の所得保障+再就職支援+キャリア形成支援』 の三層構造で、ライフイベント時の重要な経済的サポートとなる制度です。
- 雇用保険給付の核心は 5本柱・基本手当・受給手続 の3軸
- 1947年失業保険法→1974年雇用保険法に改編、2024年4月改正で給付制限期間短縮
- 5本柱: 失業等給付・育児休業給付・介護休業給付・高年齢雇用継続給付・教育訓練給付
- 被保険者類型: 一般・高年齢(65歳以上)・短期雇用特例・日雇労働
- 加入要件: 1日4時間以上または週20時間以上、31日以上雇用見込み
- 保険料は 労働者と事業主の双方負担(労働者は給与天引き)
- 一般事業の労使合計保険料率は 1.55%(2024年度)
- 基本手当の所定給付日数: 離職理由・年齢・被保険者期間 で決定
- 特定受給資格者(会社都合): 90〜330日、給付制限なし
- 一般受給資格者(自己都合): 90〜150日、給付制限あり
- 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)、年齢別上限あり
- 待期期間7日、自己都合の 給付制限期間 は2024年改正で原則 1か月 に短縮
- 教育訓練給付の3区分: 一般20%・特定一般40%・専門実践50〜70%
- 高年齢雇用継続給付: 60歳以降の賃金低下(75%未満)を補う
- 育児休業給付(67%、180日経過後50%)・介護休業給付(67%)も雇用保険の給付
- 受給手続: 離職票→ハローワーク→受給資格決定→待期→給付制限→失業認定→支給
- 失業認定は 4週間ごと、求職活動報告が必要
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。
雇用保険の給付について、正しい説明はどれか。
- 雇用保険は失業手当のみで他の給付制度は存在しない仕組みの扱い
- 雇用保険給付は基本手当と教育訓練のみの2本柱が法定された仕組み
- 失業等・育休・介護休業・高年齢継続・教育訓練の5本柱の給付
- 雇用保険の保険料は事業主のみが負担し労働者負担はない仕組み
解答は 3 である。
雇用保険は 5本柱の給付体系: ①失業等給付(10条以下)——基本手当・就業手当・再就職手当等。②育児休業給付(61条の7)——子が1歳まで(最長2歳)の所得保障、開始180日67%・以降50%。③介護休業給付(61条の4)——対象家族1人通算93日、67%。④高年齢雇用継続給付(61条)——60歳以降の賃金低下(75%未満)を最大15%で補う。⑤教育訓練給付(60条の2)——厚労大臣指定講座の費用補助(一般20%・特定一般40%・専門実践50〜70%)。保険料は労働者と事業主の双方負担——一般事業で労使合計1.55%(2024年度)。労災保険と並ぶ労働保険の二本柱として、労働者保護の中核を担う社会保険制度。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 5本柱あり |
| 2 | ✗ 誤り | 5本柱 |
| 3 | ✓ 正解 | 雇用保険の正しい給付体系 |
| 4 | ✗ 誤り | 労使双方負担 |
5本柱の給付体系——これが雇用保険の核心なのである。
基本手当の所定給付日数について、正しい説明はどれか。
- 所定給付日数は離職理由・年齢・被保険者期間で90〜330日と幅
- 所定給付日数は全員一律で365日と固定される原則ルールの扱い
- 自己都合退職は給付制限なしで7日後すぐ支給開始される仕組み
- 会社都合と自己都合で所定給付日数は完全に同じ仕組み扱い
解答は 1 である。
基本手当の所定給付日数は 離職理由・年齢・被保険者期間 で決定。特定受給資格者(会社都合等)は 90〜330日、特定理由離職者(やむを得ない自己都合)も準じる範囲、一般受給資格者(自己都合)は 90〜150日、就職困難者(障害者等)は 150〜360日。会社都合の方が 所定給付日数が大幅に多い——失業の原因が労働者にない場合の保障強化。待期期間7日は全受給者共通だが、給付制限期間は自己都合のみ(2024年改正で原則1か月に短縮、教育訓練受講なら制限なし)。離職理由は離職票で決まる——納得できなければハローワークで異議申立て可能で、実態に応じて変更されることもある。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 所定給付日数の正しい仕組み |
| 2 | ✗ 誤り | 90〜330日 |
| 3 | ✗ 誤り | 給付制限あり |
| 4 | ✗ 誤り | 大幅に異なる |
離職理由・年齢・期間で90〜330日——これが所定給付日数の核心なのである。
教育訓練給付と高年齢雇用継続給付について、正しい説明はどれか。
- 教育訓練給付の3区分と60歳以降の賃金低下を補う高年齢継続給付
- 教育訓練給付は1区分のみで給付率も一律10%固定の仕組み扱い
- 高年齢雇用継続給付は60歳になれば賃金低下と無関係に支給される
- 両給付は相互に併給制限なく完全自由に併用できる原則ルール扱い
解答は 1 である。
教育訓練給付(60条の2)は3区分: ①一般教育訓練給付(受講費用の20%、上限10万円、雇用安定化目的)②特定一般教育訓練給付(40%、上限20万円、速やかな再就職目的)③専門実践教育訓練給付(50〜70%、上限168万円、中長期キャリア形成)。対象は 雇用保険被保険者期間3年以上(初回は1年以上)。高年齢雇用継続給付(61条)は 60歳以降に賃金が60歳時点の75%未満に低下 した場合の給付——高年齢雇用継続基本給付金(雇用継続中)と 高年齢再就職給付金(再就職時)の2種類で、賃金低下率に応じて最大15%。両給付は併給制限あり——専門実践教育訓練と高年齢給付の同時受給は調整される。2024年4月改正で給付制限期間短縮等、再就職支援とキャリア形成支援が強化されている。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 両給付の正しい仕組み |
| 2 | ✗ 誤り | 3区分・率は異なる |
| 3 | ✗ 誤り | 75%未満低下要件 |
| 4 | ✗ 誤り | 併給制限あり |
教育訓練3区分+高年齢75%未満低下——これが両給付の核心なのである。
おわりに
雇用保険給付は、知っているか知らないかでライフイベント時の経済的サポートが大きく変わる典型例です。今日見た3つの基本——5本柱・基本手当・受給手続——を覚えておけば、失業時から再就職まで、キャリアの転換点での判断軸が手に入ります。
自分の権利を知るというのは、誰かに任せきりにするのではなく、自分で判断できる材料を持つこと。法律はそのための道具です。
雇用保険は、労働法・社会保険法・雇用政策が交錯する分野。ハローワーク・労働基準監督署・労働局・社会保険労務士・キャリアコンサルタント・法テラス——相談先や活用のサポートは意外と多くあります。気になることがあれば、まず話を聞いてもらうところから始めるのがおすすめです。
法律の論点はパターン化しやすい分野。スキマ時間で1問ずつ感触を掴みたい方は、シカクエのアプリも選択肢のひとつです。
1日10分から、通勤の往復だけでも知識が積み上がります。シカクエアプリ
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