育児・介護休業で何ができる?理解する3つの軸
育児・介護休業の話は、3つの軸で整理できます。
- 育児休業: 原則子が1歳になるまで(最長2歳まで延長可、夫婦交互取得可)
- 産後パパ育休: 2022年新設、出生後8週間以内に4週間まで(通常育休と併用可)
- 介護休業: 対象家族1人につき通算93日、3回まで分割可
ここがポイント。育児・介護休業法は『仕事と家庭の両立を支援する法律』ということ。労働者の 権利 として法的に保障されており、事業主は申出を拒否できません(一定要件下を除く)。
それから、2022年改正で男性育休が大きく前進したという事実。産後パパ育休の新設・分割取得の拡大・取得促進措置義務化により、男性の育休取得率向上が期待されています。
なぜそう言えるのか、3つの軸を順番に見ていきます。
育休はいつまで・誰が取れる?——期間と取得要件(5条以下)
育児休業の基本(5条)
労働者は 1歳に満たない子 を養育するため、事業主に申し出て育児休業を取得できます(5条1項)。
育児休業の主な特徴
期間延長の特例
子が1歳に達する時点で 保育所に入れない 等の事情があれば、1歳6か月まで 延長可(5条3項)。さらに 2歳まで の再延長も可能(同条4項)。
パパ・ママ育休プラス(9条の6)
夫婦両方が育児休業を取得する場合、1歳2か月まで の取得が可能(9条の6)。これにより夫婦の 交互取得 ・ 重複取得 がしやすくなりました。
| 制度 | 期間 |
|---|---|
| 基本の育休 | 子が1歳まで |
| 保育所入所不可等 | 1歳6か月まで |
| 再延長 | 2歳まで |
| パパ・ママ育休プラス | 夫婦両方なら1歳2か月まで |
取得要件(6条等)
- 継続雇用1年以上 (有期契約は別要件、2022年改正で緩和)
- 子が1歳6か月までの間に契約終了予定でない(有期契約労働者)
- 週所定労働日数3日以上
- 事業主は申出を拒否できない(労使協定で除外できる場合あり)
トリビア:育児休業法は1991年制定、2022年4月・10月の改正で産後パパ育休(出生時育児休業)を新設
育児・介護休業法は 1991年5月公布・1992年4月施行——当時の「育児休業等に関する法律」として誕生しました。介護休業は 1995年改正 で追加、現名称「育児・介護休業法」となりました。2022年4月 の改正では 取得促進措置の義務化(21条)・有期雇用労働者の取得要件緩和、2022年10月 には 産後パパ育休(出生時育児休業) の新設・育児休業の分割取得(2回まで)等、男性の育休取得促進と柔軟性向上が図られました。男性の育休取得率は 2022年度17.13% から 2023年度30.1% に上昇——制度改正の効果が現れています。
産後パパ育休とは?給付金は?——9条の2以下
産後パパ育休(出生時育児休業、2022年10月新設)
男性労働者は、子の出生後8週間以内に最大4週間まで 産後パパ育休を取得できます(9条の2)。
産後パパ育休の主な特徴
産後パパ育休の取得イメージ
例: 子の出生後すぐに2週間取得、その後職場復帰、6週目あたりで再度2週間取得、という分割パターンも可能。
| 取得パターン例 | 内容 |
|---|---|
| 一括取得 | 出生後すぐから4週間連続 |
| 分割取得 | 出生後2週間+6-8週目に2週間 |
| 就業併用 | 育休中も労使協定の範囲内で就業 |
| 通常育休併用 | 産後パパ育休後に通常の育児休業 |
育児休業給付金(雇用保険法61条の7)
育児休業中は 雇用保険から給付金 が支給されます。
- 育休開始から180日まで: 賃金の 67%
- 181日以降: 賃金の 50%
- 産後パパ育休中: 賃金の 67%(育休給付金と同水準)
- 支給上限: 月額上限あり(例: 67%なら31万円程度)
介護休業給付金
介護休業中も 雇用保険から介護休業給付金 が支給され、賃金の 67% が支給されます(雇用保険法61条の4)。
私たちが取材した社会保険労務士の話では、「育児休業給付金は実質手取りで賃金の8割程度——社会保険料免除と所得税非課税で目減りが少ない」とのこと。
介護休業はどれくらい取れる?——介護休業と不利益取扱い禁止(11条以下)
介護休業の基本(11条)
労働者は 要介護状態の対象家族 を介護するため、事業主に申し出て介護休業を取得できます(11条1項)。
介護休業の主な特徴
介護のための短時間勤務等(23条)
介護休業の他、短時間勤務・所定外労働の制限・時間外労働の制限・深夜業の制限 等の措置も法定されています(23-26条)。事業主は 対象家族1人につき選択的措置義務 を負います。
不利益取扱いの禁止(10条・16条)
事業主は、育児休業・介護休業を 申し出たこと・取得したこと を理由に 不利益取扱い をしてはならない(10条・16条)。
| 禁止される不利益取扱い |
|---|
| 解雇・雇止め |
| 配置転換・降格・減給 |
| 査定での不利益扱い |
| 自宅待機命令・退職勧奨 |
違反時の効果
事業主の不利益取扱いは 無効——労働者は 損害賠償請求(民法709条)も可能。労働局からの 助言・指導・勧告 があり、勧告無視で 企業名公表 の制裁も。
実務家の視点から言えば、育児・介護休業は『取得は権利・事業主の不利益取扱いは違法』 という原則を理解しておくことが、安心して取得するための前提です。
- 育児・介護休業の核心は 育休・産後パパ育休・介護休業 の3軸
- 1991年公布・1992年施行、1995年介護休業追加、2022年大改正
- 育児休業: 子が1歳まで(最長2歳まで延長可、男女・配偶者問わず権利者)
- パパ・ママ育休プラスで 1歳2か月まで の夫婦交互取得可
- 育児休業の 分割取得 が2022年改正で2回まで可能
- 取得要件: 継続雇用1年以上(2022年改正で有期契約者の要件緩和)
- 産後パパ育休(出生時育児休業、2022年10月新設): 出生後8週間以内に最大4週間
- 産後パパ育休は 2回分割可・就業併用可・通常育休と併用可
- 申出期限: 通常育休は1か月前、産後パパ育休は2週間前
- 育児休業給付金: 開始から180日は賃金の 67%、181日以降は 50%
- 産後パパ育休給付金も 67% 水準
- 社会保険料免除 + 所得税非課税で 実質手取り賃金の8割程度
- 介護休業: 対象家族1人につき 通算93日、3回分割可
- 介護のための 短時間勤務等の措置義務(23-26条)
- 不利益取扱い禁止(10条・16条): 解雇・降格・配置転換等の禁止
- 違反は 無効、損害賠償請求・行政指導の対象
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。
育児休業の期間について、正しい説明はどれか。
- 育児休業は女性のみが取得可能で男性は対象外となる仕組みの扱い
- 育児休業は子が1歳まで、最長2歳まで延長可能となる仕組み
- 育児休業は申出の翌日から自動的に開始される仕組みの原則扱い
- 育児休業は子が3歳になるまでの間にいつでも取得できる仕組み
解答は 2 である。
育児・介護休業法5条により、労働者は 1歳に満たない子を養育するため 育児休業を取得できる。男女問わず・配偶者の有無問わず 権利者となる。保育所に入れない等の事情 があれば 1歳6か月 まで(5条3項)、さらに 2歳 まで(同4項)延長可。パパ・ママ育休プラス で夫婦両方が取得する場合は 1歳2か月 まで延長(9条の6)。2022年改正 で 分割取得2回まで 可能になった。申出期限は 開始予定日の1か月前まで——事業主は申出を拒否できない(一部労使協定除外あり)。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 男女問わず |
| 2 | ✓ 正解 | 5条の正しい期間 |
| 3 | ✗ 誤り | 1か月前申出 |
| 4 | ✗ 誤り | 1歳まで原則 |
1歳まで+最長2歳延長——これが育休期間の核心なのである。
2022年新設の産後パパ育休について、正しい説明はどれか。
- 出生後8週間以内に最大4週間まで、2回分割取得可能となる仕組み
- 産後パパ育休は通常育休と併用不可となる仕組みとなる原則扱い
- 産後パパ育休中は一切就業できない仕組みとなる原則ルール扱い
- 産後パパ育休は女性のみが取得可能となる仕組みとなる扱い
解答は 1 である。
産後パパ育休(出生時育児休業) は2022年10月新設。育児・介護休業法9条の2により、男性労働者は 子の出生後8週間以内に最大4週間(28日) まで取得可能で、2回に分割 できる。通常の育児休業とは別枠 で、産後パパ育休後に通常育休を取得することも可能。労使協定があれば一定範囲内で就業も可——通常育休は原則就業不可なのと対照的。申出期限は2週間前 で、通常育休(1か月前)より短い。給付金は 賃金の67%(雇用保険法)。男性の育休取得促進が目的で、改正後 男性育休取得率は2022年度17.13%→2023年度30.1% に大幅上昇。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 9条の2の正しい仕組み |
| 2 | ✗ 誤り | 併用可 |
| 3 | ✗ 誤り | 労使協定で就業可 |
| 4 | ✗ 誤り | 男性のみ |
8週間以内+4週間+2回分割——これが産後パパ育休の核心なのである。
介護休業と不利益取扱い禁止について、正しい説明はどれか。
- 介護休業は対象家族1人につき通算1年間取得できる仕組みの扱い
- 介護休業を理由とした解雇は事業主の裁量で常に有効となる扱い
- 介護休業は対象家族1人93日・3回分割可、不利益取扱いは禁止
- 介護休業の対象家族は配偶者と子のみに限定される仕組み扱い
解答は 3 である。
育児・介護休業法11条により、介護休業は 対象家族1人につき通算93日——3回まで分割可(2017年改正)。対象家族 は配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫と幅広い。短時間勤務・所定外労働制限・時間外労働制限・深夜業制限 等の措置義務もあり(23-26条)。16条 で 不利益取扱い禁止——介護休業の申出・取得を理由とした解雇・配置転換・降格・減給は禁止で、違反は 無効。労働者は 損害賠償請求(民法709条)も可能、労働局からの 助言・指導・勧告、勧告無視で 企業名公表 の制裁も。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 93日 |
| 2 | ✗ 誤り | 不利益取扱い禁止 |
| 3 | ✓ 正解 | 11条・16条の正しいルール |
| 4 | ✗ 誤り | 7類型 |
93日3回+不利益取扱い禁止——これが介護休業の核心なのである。
おわりに
育児・介護休業法は、知っているか知らないかでライフイベント時の対応が大きく変わる典型例です。今日見た3つの基本——育休・産後パパ育休・介護休業——を覚えておけば、仕事と家庭の両立を考えるときの判断軸が手に入ります。
自分の権利を知るというのは、誰かに任せきりにするのではなく、自分で判断できる材料を持つこと。法律はそのための道具です。
育児・介護休業法は、労働法・雇用保険法・実務が交錯する分野。労働基準監督署・労働局・労働問題専門弁護士・社会保険労務士・労働組合・ハローワーク——相談先や活用のサポートは意外と多くあります。気になることがあれば、まず話を聞いてもらうところから始めるのがおすすめです。
法律の論点はパターン化しやすい分野。スキマ時間で1問ずつ感触を掴みたい方は、シカクエのアプリも選択肢のひとつです。
1日10分から、通勤の往復だけでも知識が積み上がります。シカクエアプリ
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