サービス運用とは(全体像)
サービス運用(Service Operation)は、作り上げたITサービスを、日々止めずに提供し続けるための活動のこと。新しく作る・大きく変える段階ではなく、「できあがったものを毎日きちんと回す」段階を指す。
ここで覚えるのは、サービス運用が「5つのプロセス」と「4つの機能」で成り立っているという形。
- プロセス=「どんな仕事の流れがあるか」(やること)
- 機能=「その仕事を担う組織・チーム」(やる人)
試験は、この「5プロセス+4機能」というセットと、なかでもインシデント管理と問題管理の違いをよく問う。
詳しく:5プロセスと4機能
ここが心臓部。まず5つのプロセス(仕事の流れ)を表で押さえる。
サービス運用の5プロセス
| プロセス | 役割 | かみくだくと |
|---|---|---|
| ①インシデント管理 | とにかく早く復旧 | 止まったらまず動かす(応急処置でも可) |
| ②問題管理 | 根本原因をなくす | 二度と起きないよう原因を断つ |
| ③要求実現 | 定型の依頼に応える | パスワード再設定など決まった頼みごと |
| ④アクセス管理 | 権限の付与・取消 | 入れる人・入れない人を管理する |
| ⑤イベント管理 | 監視とアラート | いつもと違う動きを見張って知らせる |
とくに大事なのが①インシデント管理と②問題管理の違い。
- インシデント管理は「復旧優先」。原因がわからなくても、まずサービスを動かすのが目的(応急処置=ワークアラウンドでもよい)。
- 問題管理は「根本原因をなくす」。落ち着いてから、なぜ起きたかを調べて二度と起きないようにするのが目的。
たとえるなら、インシデント管理は火事の初期消火(まず火を消す)、問題管理は出火原因の調査と再発防止(なぜ燃えたかを突き止める)。役割が違う。
次に、4つの機能(仕事を担う組織)。
サービス運用の4機能
| 機能 | 役割 |
|---|---|
| ①サービスデスク | 利用者の問い合わせ窓口(単一の窓口=SPOC) |
| ②技術管理 | サーバーやネットワークなど技術の専門部隊 |
| ③IT運用管理 | 日々の運用作業(バックアップ・監視など) |
| ④アプリケーション管理 | 業務アプリの面倒を見る |
なかでもサービスデスクは、利用者が困ったときのたった一つの窓口(SPOC=Single Point of Contact)として働く。あちこちに連絡せず「まずここ」に集約するのがポイント。
そして注意。サービス運用は「5プロセスだけ」ではなく、4機能も合わせて成り立つ。「プロセスが全部」と思い込むと取りこぼす。
わかりやすく言い換えると
要するに、サービス運用は「ITサービスというお店の毎日の営業」だとイメージするとラク。
つまり、5プロセスは「接客の手順」(トラブル対応・依頼対応・見回りなど)、4機能は「店を回す担当(人・部署)」。手順と担当の両方そろって、お店は毎日まわる。
そして一番の覚えどころは、「インシデント=まず復旧/問題=原因をなくす」。困りごとが起きたら、最初に動かすのがインシデント管理、あとで原因を断つのが問題管理、という順番で押さえる。
試験のツボ
🔴 一番出る:インシデント管理と問題管理の違い
①インシデント管理=復旧優先(応急処置でもまず動かす)
②問題管理=根本原因をなくす(二度と起きないようにする)
🔴 次に出る:5プロセス+4機能のセット
①5プロセス=インシデント・問題・要求実現・アクセス・イベント
②4機能=サービスデスク・技術管理・IT運用管理・アプリケーション管理
🟡 押さえると安定:サービスデスクは単一窓口
サービスデスクは利用者の問い合わせを一つにまとめる窓口(SPOC=Single Point of Contact)。
よくある間違い
①「インシデント管理と問題管理は同じもの」→ ✗ インシデント管理は復旧優先、問題管理は根本原因をなくすのが目的で、役割が違う。
②「サービス運用は5つのプロセスだけで成り立つ」→ ✗ 5プロセスに加えて4つの機能(サービスデスクなど)も合わせて成り立つ。
③「サービスデスクは用件ごとに別々の窓口がある」→ ✗ サービスデスクは単一の窓口(SPOC)として問い合わせを一つにまとめる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(インシデント管理と問題管理)
インシデント管理と問題管理に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- インシデント管理は根本原因の調査を最優先し、原因が判明するまでサービスを復旧させないものとされる
- インシデント管理も問題管理もまったく同じ活動で、目的にも進め方にも違いはないものとされている
- インシデント管理はまず復旧を優先し、問題管理は根本原因を調べて再発を防ぐもので、役割が異なる
- 問題管理はとにかく早い復旧だけを目的とし、原因の調査や再発防止はいっさい行わないものとされる
解答は 3 だ、わが子よ。
インシデント管理はまず復旧を優先し(応急処置でもよい)、問題管理は根本原因を調べて再発を防ぐ。火事でいえば「初期消火」と「出火原因の調査」のように役割が異なる。
選択肢1は復旧と原因調査が逆、選択肢2は「同じ活動」が誤り、選択肢4は問題管理の説明が誤りぞ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 復旧を優先するのがインシデント管理 |
| 2 | ✗ | 目的が異なる別の活動 |
| 3 | ✓ | 復旧優先と根本原因で役割が異なり正しい |
| 4 | ✗ | 早い復旧が目的なのはインシデント管理 |
オリジナル問題2(5プロセスと4機能)
サービス運用の構成に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- サービス運用は5つのプロセスと4つの機能で成り立ち、機能の代表例にサービスデスクが含まれている
- サービス運用は5つのプロセスだけで成り立ち、サービスデスクなどの機能は含まれないものとされる
- サービス運用は4つのプロセスと5つの機能で構成され、インシデント管理は機能のひとつとされている
- サービス運用にはプロセスという考え方はなく、すべては1つの大きな機能にまとめられているとされる
解答は 1 だ。
サービス運用は、5つのプロセス(仕事の流れ)と4つの機能(担う組織)で成り立ち、機能の代表がサービスデスクである。「5プロセス+4機能」のセットで覚えるがよい、わが子よ。
選択肢2は「機能を含まない」が誤り、選択肢3は数とインシデントの分類が誤り、選択肢4は「プロセスがない」が誤りぞ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 5プロセス+4機能でサービスデスクは機能で正しい |
| 2 | ✗ | 4機能も合わせて成り立つ |
| 3 | ✗ | 5プロセス+4機能でインシデントはプロセス |
| 4 | ✗ | プロセスという考え方は存在する |
オリジナル問題3(サービスデスク)
サービス運用の機能であるサービスデスクに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- サービスデスクは社員の給与計算だけを担う部署で、利用者からの問い合わせには対応しないとされる
- サービスデスクは用件ごとに窓口が分かれており、利用者は内容に応じて別々の窓口へ連絡するとされる
- サービスデスクはサーバーを物理的に冷やす空調設備のことで、人による問い合わせ対応はしないとされる
- サービスデスクは利用者からの問い合わせを受ける単一の窓口(SPOC)として働く機能のことである
解答は 4 だ、わが子よ。
サービスデスクは、利用者からの問い合わせを受ける単一の窓口(SPOC=Single Point of Contact)として働く機能である。「困ったらまずここ」と一つに集約するのが役目ぞ。
選択肢1は「給与計算だけ」が誤り、選択肢2は「窓口が分かれる」が単一窓口に反し誤り、選択肢3は「空調設備」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 問い合わせ対応を担う機能である |
| 2 | ✗ | 単一の窓口にまとめるのが役目 |
| 3 | ✗ | 空調設備ではない |
| 4 | ✓ | 単一窓口SPOCとして働く機能で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 インシデント管理と問題管理の違い … インシデント=まず復旧(応急処置可)、問題=根本原因をなくす(再発防止)。役割が逆。
- 🔴 5プロセス+4機能 … 5プロセス(インシデント・問題・要求実現・アクセス・イベント)+4機能(サービスデスク・技術管理・IT運用管理・アプリケーション管理)。
- 🟡 サービスデスクは単一窓口 … 問い合わせを一つにまとめる窓口(SPOC)。
次に学ぶ
- ITIL 4(34プラクティス・SVS) ── サービス運用は、ITサービスのお手本集ITILの一部。全体像を押さえると位置づけがわかる。
- SOC・CSIRT(インシデント対応) ── セキュリティ事故への対応チーム。インシデント管理と合わせて押さえると整理しやすい。
執筆: SikakuQuest編集部