サービス戦略とは(全体像)
サービス戦略(Service Strategy)は、ITILの一番はじめ(起点)にあたる段階。「どんなITサービスを、誰に、どんな価値として提供するか」という企画・戦略を立てるところ。お店でいえば、開店前に「どんなお店にするか、誰に売るか」を決める段階にあたる。
ここで注意。サービス戦略は「企画段階」であって、日々サービスを動かす「運用」とは別。「サービス戦略=運用のこと」と思うのは誤り。サービス戦略で方針を決め、そのあとの段階(設計・移行・運用)で形にしていく。
そして、サービス戦略には主要な活動が5つある。ここが試験で問われる。
詳しく:5つの主要活動とPBA
ここが心臓部。まず5つの主要活動を表で押さえる。
サービス戦略の5つの主要活動
| 活動 | 何をする |
|---|---|
| ①サービスポートフォリオ管理 | 現行・計画中・廃止予定を含む全サービスを戦略的に管理 |
| ②需要管理 | 需要を予測し、ならす(平準化) |
| ③財務管理 | 予算・課金・会計、価値の評価 |
| ④ビジネス関係管理 | 顧客との関係を築き、期待を管理 |
| ⑤戦略管理 | 市場分析・競争優位の検討 |
ここで大事なのが、主要活動は5つあること。「4つだけ」と思いがちだが、戦略管理を含めて5つと押さえる。
なかでも試験で問われやすいのがサービスポートフォリオ管理と需要管理。
- サービスポートフォリオ管理は、今あるサービスだけでなく、これから作る計画中のものや、やめる予定のものまで含めて、全体を戦略的に管理する活動。「将来や廃止まで含めた全サービス」を見るのがポイント。
- 需要管理では、PBA(Pattern of Business Activity=業務活動のパターン)を使う。これは「いつ・どれくらい使われるか」のパターンを分析して、需要を予測し、混雑をならす(平準化する)もの。
わかりやすく言い換えると
要するに、サービス戦略は「お店を開く前の“どんな商売をするか”の作戦会議」だとイメージするとラク。
つまり、①扱う商品の全ラインナップを考え(ポートフォリオ管理)、②お客がいつどれだけ来るか読み(需要管理)、③お金の計画を立て(財務管理)、④お客との関係を築き(ビジネス関係管理)、⑤市場で勝つ作戦を練る(戦略管理)。この5つが作戦会議の中身。
そして覚えどころは、サービス戦略は「企画・作戦」の段階で、日々の営業(運用)とは別だということ。そして主要活動は4つではなく5つ、というわけ。
試験のツボ
🔴 一番出る:サービス戦略は企画段階(運用とは別)
①ITILの起点で「どんなサービスを提供するか」を企画・戦略立てする
②日々動かす運用とは別の段階
🔴 次に出る:主要活動は5つ
①ポートフォリオ・需要・財務・ビジネス関係・戦略の各管理
②「4つだけ」ではなく、戦略管理を含めて5つ
🟡 押さえると安定:ポートフォリオ管理と需要管理
サービスポートフォリオ管理=計画中・廃止予定も含む全サービスを管理。需要管理=PBA(業務活動のパターン)で需要を予測・平準化。
よくある間違い
①「サービス戦略は日々サービスを動かす運用そのものだ」→ ✗ サービス戦略は企画段階。運用とは別の段階。
②「サービス戦略の主要活動は4つだけだ」→ ✗ 戦略管理を含め、主要活動は5つある。
③「サービスポートフォリオ管理は、今あるサービスだけを管理する」→ ✗ 計画中や廃止予定のものも含めて、全サービスを管理する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(サービス戦略の位置づけ)
サービス戦略に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- サービス戦略は日々サービスを動かす運用そのもので、企画とは関係がない段階とされている
- サービス戦略はITILの起点で「どんなサービスを提供するか」を企画する段階で運用とは別だ
- サービス戦略は社員の給与計算を行う段階のことで、ITサービスとは無関係なものとされている
- サービス戦略は完成したサービスを廃止する作業だけを指し、企画は含まないものとされている
解答は 2 だ、わが子よ。
サービス戦略は、ITILの起点で「どんなサービスを提供するか」を企画・戦略立てする段階で、日々動かす運用とは別ぞ。
選択肢1は「運用そのもの」が誤り、選択肢3は「給与計算」が誤り、選択肢4は「廃止する作業だけ」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 運用とは別の企画段階である |
| 2 | ✓ | ITILの起点で企画する段階で運用とは別で正しい |
| 3 | ✗ | 給与計算の段階ではない |
| 4 | ✗ | 廃止だけでなく企画を行う段階 |
オリジナル問題2(主要活動の数)
サービス戦略の主要活動に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- サービス戦略の主要活動はポートフォリオ・需要・財務・関係・戦略の管理で、戦略管理を含め5つだ
- サービス戦略の主要活動はたった1つだけで、ほかの活動はいっさい含まないものとされているものだ
- サービス戦略の主要活動は料理のレシピを管理することだけで、需要や財務は扱わないものとされる
- サービス戦略の主要活動はネットワークの配線作業だけで、戦略や需要は対象外とされているものだ
解答は 1 だ。
サービス戦略の主要活動は、ポートフォリオ・需要・財務・ビジネス関係・戦略の管理で、戦略管理を含め5つある。「4つだけ」と思うのは誤りぞ、わが子よ。
選択肢2は「たった1つ」が誤り、選択肢3は「レシピ管理だけ」が誤り、選択肢4は「配線作業だけ」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 戦略管理を含め主要活動は5つで正しい |
| 2 | ✗ | 1つだけではなく5つある |
| 3 | ✗ | レシピ管理のことではない |
| 4 | ✗ | 配線作業だけではない |
オリジナル問題3(ポートフォリオ管理と需要管理)
サービス戦略の活動に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- サービスポートフォリオ管理は、今あるサービスだけを管理し、計画中や廃止予定は含まないとされる
- 需要管理は需要をいっさい予測せず、混雑をならすこともしない活動だとされているものである
- サービスポートフォリオ管理は計画中や廃止予定も含む全サービスを管理し、需要管理はPBAを使う
- 需要管理とは社員の出社時刻を記録する勤怠管理のことで、需要の予測とは無関係なものとされている
解答は 3 だ、わが子よ。
サービスポートフォリオ管理は計画中や廃止予定も含む全サービスを管理し、需要管理はPBA(業務活動のパターン)で需要を予測・平準化する。
選択肢1は「今あるサービスだけ」が誤り、選択肢2は「予測もならしもしない」が誤り、選択肢4は「勤怠管理」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 計画中や廃止予定も含めて管理する |
| 2 | ✗ | 需要管理は需要を予測し平準化する |
| 3 | ✓ | 全サービス管理とPBAでの需要予測で正しい |
| 4 | ✗ | 勤怠管理のことではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 サービス戦略は企画段階(運用とは別) … ITILの起点で「どんなサービスを提供するか」を企画・戦略立てする段階。
- 🔴 主要活動は5つ … ポートフォリオ・需要・財務・ビジネス関係・戦略の各管理。「4つだけ」ではなく戦略管理を含めて5つ。
- 🟡 ポートフォリオ管理と需要管理 … ポートフォリオ管理=計画中・廃止予定も含む全サービス。需要管理=PBA(業務活動のパターン)で需要を予測・平準化。
次に学ぶ
- サービスデザイン(7プロセス) ── サービス戦略の次の段階。企画したサービスを「どう作るか」を設計する。
- ITIL 4(34プラクティス・SVS) ── サービス戦略が起点となるITサービスのお手本集。全体像とあわせて押さえると位置づけがわかる。
執筆: SikakuQuest編集部