ルーティングプロトコルとは(全体像)
ルーティングプロトコルとは、ルータ同士が「目的地までの道順(経路)」を教え合うための約束ごとである。ルータはこの情報をもとに、荷物(データ)を次にどこへ渡すかを決めるのだ。
身近にたとえると、荷物を目的地まで運ぶ「道順の決め方」のようなもの。手で道順を決める方法(静的)もあれば、状況を見て自動で最適な道を選ぶ方法(動的)もある。
押さえるのは、動的ルーティングの代表であるOSPF(企業内で主流)とBGP(インターネットの基幹)、そしてIGPとEGPの分類である。
詳しく:OSPFとBGPの役割だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。まず代表的な3つのプロトコルを見ていくのだ。
主なルーティングプロトコル
| 名前 | 道の選び方 | 使いどころ |
|---|---|---|
| RIP | 通る機器の数(ホップ数)で選ぶ | 小規模のみ(最大15まで) |
| OSPF | 道のコストを計算して最短を選ぶ | 企業内で主流 |
| BGP | 組織と組織の間をつなぐ | インターネットの基幹 |
OSPFは企業内で主流で、各経路のコスト(かかりやすさ)を計算して最短の道を選ぶ賢い方式である。一方、RIPは通る機器の数だけで選ぶ古い方式で、いまは小規模でしか使われない。
そしてBGPは、組織と組織の間(AS間)をつなぐ、インターネットの基幹を支えるプロトコルである。ここでひっかけが「BGPは社内用」という誤解だ。BGPは社内ではなく、大きな組織のネット同士をつなぐ役割なのだ。
IGP と EGP の分類
| 分類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| IGP | 組織の「中」の道案内 | RIP・OSPF |
| EGP | 組織と組織の「間」の道案内 | BGP |
わかりやすく言い換えると
要するに、荷物の道順の決め方でイメージするとよい。
①RIP … 「通る信号機の数が少ない道」を選ぶ(単純・小規模向け)
②OSPF … 「実際にかかる時間(コスト)」で最短を選ぶ(賢い・会社の中で主流)
③BGP … 「会社と会社の間」をつなぐ国道のような幹線(インターネット全体)
つまり、IGPは「組織の中」、EGPは「組織と組織の間」。OSPFは組織内で主流、BGPは組織間の基幹。ここが試験の急所である。
試験のツボ
🔴 一番出る:OSPFは企業内で主流
①OSPF = 道のコストを計算して最短を選ぶ(企業内の主流)
②RIP = 通る機器の数で選ぶ古い方式(小規模のみ)
🔴 次に出る:BGPは組織間の基幹
①BGP = 組織と組織の間(AS間)をつなぐ
②インターネットの基幹を支える(社内用ではない)
🟡 押さえると安定:IGPとEGPの分類
①IGP = 組織の中の道案内(RIP・OSPF)
②EGP = 組織と組織の間の道案内(BGP)
よくある間違い
①「BGPは社内(組織内)で使うプロトコルである」→ ✗ BGPは組織と組織の間(AS間)をつなぐEGP。インターネットの基幹を支える。
②「RIPが現代の主流である」→ ✗ 現代の企業内で主流なのはOSPF。RIPは小規模でしか使われない。
③「ルーティングプロトコルは画面の見た目を整えるしくみである」→ ✗ ルータ同士が経路情報を交換するための約束。見た目とは関係ない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(RIPとOSPF)
ルーティングプロトコルに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ルーティングプロトコルは画面の明るさを決めるための専用の設定だとされているのだ
- ルーティングプロトコルは音の大きさを段階で決めるための専用の機能だとされているのである
- OSPFは道のコストを計算して最短を選ぶ方式で、企業内のルーティングで主流である
- ルーティングプロトコルは保存した文字を全部消すための専用の命令だとされているのである
解答は 3 である。
OSPFは道のコストを計算して最短を選ぶ方式で、企業内のルーティングで主流である。RIPは通る機器の数だけで選ぶ古い方式で、いまは小規模専用なのだ。
選択肢1・2・4の「明るさ」「音の大きさ」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面の明るさの設定ではない |
| 2 | ✗ | 音の大きさの機能ではない |
| 3 | ✓ | OSPFはコスト計算で最短・企業内で主流 |
| 4 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
オリジナル問題2(BGP)
BGPに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- BGPは組織と組織の間(AS間)をつなぐEGPで、インターネットの基幹を支える
- BGPは1台の社内のパソコンだけで完結する、画面の明るさを決める設定だとされているのだ
- BGPは音を必ず二重に鳴らすための専用の機能だとされているものである
- BGPは保存した文字を必ず全部消すための専用の命令だとされているもの
解答は 1 である。
BGPは、組織と組織の間(AS間)をつなぐEGPであり、インターネットの基幹を支える。社内用ではない点に注意するのだ。
選択肢2の「社内のパソコンだけで完結」は誤りである。選択肢3・4の「二重に鳴らす」「全部消す」も関係ない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 組織間(AS間)をつなぐEGPで基幹を支える |
| 2 | ✗ | 社内用ではない・明るさの設定でもない |
| 3 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
| 4 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
オリジナル問題3(IGPとEGP)
IGPとEGPに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- IGPもEGPも画面を必ず点滅させるためだけに使う専用の設定だとされているものなのだといえるのだ
- IGPもEGPも音を必ず二重に鳴らすための専用の機能だとされているものである
- IGPもEGPも保存した文字を必ず全部消すための専用の命令だとされているものである
- IGPは組織の中の道案内(RIP・OSPF)、EGPは組織と組織の間の道案内(BGP)である
解答は 4 である。
IGPは組織の中の道案内(RIP・OSPFなど)、EGPは組織と組織の間の道案内(BGP)である。「中か、間か」で見分けるとよいのだ。
選択肢1・2・3の「点滅」「二重に鳴らす」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面を点滅させる設定ではない |
| 2 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
| 3 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
| 4 | ✓ | IGPは組織内・EGPは組織間の道案内 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 OSPF = 道のコストを計算して最短を選ぶ。企業内で主流(RIPは小規模のみ)。
- 🔴 BGP = 組織と組織の間(AS間)をつなぐ。インターネットの基幹(社内用ではない)。
- 🟡 IGPとEGP = IGPは組織の中(RIP・OSPF)、EGPは組織と組織の間(BGP)。
次に学ぶ
- OSI参照モデル(7層) ── ルーティングが動くネットワーク層(L3)を含む、通信の全体像。
- ネットワークIF(10GbE・Wi-Fi 7) ── 実際に通信を担う部品。経路の先で動くしくみ。
執筆: SikakuQuest編集部