L3ルーティングとは(全体像)
L3ルーティングとは、ルータが宛先のIPアドレスを見て、パケットを次のどこへ渡すかを決めるしくみである。その判断に使う一覧表が「ルーティングテーブル」だ。
身近にたとえると、宛先の案内係のようなもの。「この行き先なら、次はこちらへ」と道を示す——それがルータの仕事だ。案内表には、行き先・次の渡し先(ネクストホップ)・距離(メトリック)などが書かれている。
押さえるのは、複数の経路から1つを選ぶ最長一致ルールと、プロトコルの優先度を表す管理距離(AD)である。
詳しく:最長一致と管理距離だけ覚えれば戦える
ここが記事の心臓部。まず最長一致ルールを見ていくのだ。
最長一致ルール(Longest Prefix Match)
| 状況 | 選び方 |
|---|---|
| 複数の経路が当てはまる | より具体的(プレフィックスが長い)な経路を優先 |
| どれにも当てはまらない | デフォルトルート(0.0.0.0/0)へ |
ここでひっかけが「最短距離の経路を選ぶ」という誤解である。L3ルーティングは、まず最も具体的(プレフィックスが長い)な経路を優先する。たとえば「東京都」行きと「東京都新宿区」行きの両方があれば、より細かい「新宿区」を選ぶイメージだ。
次に、管理距離(AD)である。
管理距離(AD)とメトリック
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 管理距離(AD) | どのルーティングプロトコルを優先するかの目安(小さいほど優先) |
| メトリック | その経路の距離・コストを表す指標 |
ここでもう1つのひっかけが「管理距離(AD)はメトリックと同じ」という誤解だ。ADは「どのプロトコルを信用するか」の優先度、メトリックは「距離」で、別ものである。
わかりやすく言い換えると
要するに、宛先の案内でイメージするとよい。
①最長一致 … 「東京都」行きと「東京都新宿区」行きがあれば、より具体的な「新宿区」を選ぶ
②管理距離(AD) … どの案内係(プロトコル)の情報を信用するかの優先順位
③メトリック … その道の実際の距離・コスト
つまり、最長一致は「具体的な経路を優先」、ADは「プロトコルの優先度」(メトリックの距離とは別)。ここが試験の急所である。
試験のツボ
🔴 一番出る:最長一致ルール
①複数の経路が当てはまったら、より具体的(プレフィックスが長い)な経路を優先
②最短距離を選ぶのではない
🔴 次に出る:管理距離(AD)とメトリックの違い
①AD = どのプロトコルを優先するかの目安
②メトリック = その経路の距離・コスト
🟡 押さえると安定:デフォルトルート
①どの経路にも当てはまらないときの行き先
②0.0.0.0/0 で表す
よくある間違い
①「ルータは最短距離の経路を最優先する」→ ✗ まず最長一致(より具体的でプレフィックスが長い経路)を優先する。
②「管理距離(AD)とメトリックは同じものである」→ ✗ ADはプロトコルの優先度、メトリックは距離。別もの。
③「どの経路にも当てはまらないとパケットは必ず消える」→ ✗ デフォルトルート(0.0.0.0/0)があれば、そこへ送られる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(最長一致)
ルーティングの経路選択に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ルータは画面の明るさを段階で決めるための専用の設定だとされているものなのである
- ルータは音の大きさを段階で決めるための専用の機能だとされているものなのである
- ルータは保存した文字を全部消す専用の命令だとされているもの
- 複数の経路が当てはまるとき、より具体的でプレフィックスが長い経路を優先する
解答は 4 である。
複数の経路が当てはまるとき、より具体的でプレフィックスが長い経路を優先する。これが最長一致ルールである。「東京都」より「東京都新宿区」のような細かい指定を選ぶイメージなのだ。
選択肢1・2・3の「明るさ」「音の大きさ」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面の明るさの設定ではない |
| 2 | ✗ | 音の大きさの機能ではない |
| 3 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
| 4 | ✓ | より具体的(長いプレフィックス)を優先 |
オリジナル問題2(管理距離とメトリック)
管理距離(AD)とメトリックに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ADもメトリックも、画面を必ず点滅させる専用の設定だとされているもの
- ADはどのプロトコルを優先するかの目安、メトリックはその経路の距離を表す
- ADもメトリックも、音を必ず二重に鳴らす専用の機能だとされているものなのである
- ADもメトリックも、保存した文字を全部消す専用の命令だとされているものなのである
解答は 2 である。
ADはどのプロトコルを優先するかの目安、メトリックはその経路の距離(コスト)を表す。役割がちがう別ものなのだ。「AD=メトリック」と思い込まないことが大事である。
選択肢1・3・4の「点滅」「二重に鳴らす」「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面を点滅させる設定ではない |
| 2 | ✓ | ADはプロトコル優先度・メトリックは距離 |
| 3 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
| 4 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
オリジナル問題3(デフォルトルート)
デフォルトルートに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- デフォルトルートは画面を必ず点滅させるためだけに使う専用の設定だとされているものなのである
- デフォルトルートは音を必ず二重に鳴らす専用の機能だとされているものなのである
- デフォルトルートは、どの経路にも当てはまらないときの行き先で、0.0.0.0/0で表す
- デフォルトルートは保存した文字を全部消す専用の命令だとされているものなのである
解答は 3 である。
デフォルトルートは、どの経路にも当てはまらないときの行き先で、0.0.0.0/0で表す。これがあれば、当てはまる経路がなくてもパケットを送れるのだ。
選択肢1・2の「点滅」「二重に鳴らす」、選択肢4の「全部消す」はどれも誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 画面を点滅させる設定ではない |
| 2 | ✗ | 音を鳴らす機能ではない |
| 3 | ✓ | 当てはまらないときの行き先・0.0.0.0/0 |
| 4 | ✗ | 文字を消す命令ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 最長一致 = 複数の経路が当てはまったら、より具体的(プレフィックスが長い)な経路を優先(最短距離ではない)。
- 🔴 管理距離(AD)とメトリック = ADはプロトコルの優先度、メトリックは距離。別もの。
- 🟡 デフォルトルート = どの経路にも当てはまらないときの行き先。0.0.0.0/0で表す。
次に学ぶ
- ルーティングプロトコル(OSPF・BGP) ── 経路情報をルータ同士が交換するしくみ。
- サブネット・CIDR(VLSM) ── プレフィックス長で区切りを決めるしくみ。最長一致の土台。
- OSI参照モデル(7層) ── ルーティングが動くネットワーク層(L3)を含む全体像。
執筆: SikakuQuest編集部