サービス移行とは(全体像)
サービス移行とは、設計したITサービスを、実際に使える「本番環境」へ、安全に移していく段階のことだ。
ITサービスの一生の流れ(ライフサイクル)でいうと、設計(デザイン)の次にくるのが、この「移行」の段階。家づくりでいえば、設計図ができたあと、「実際に建てて、住める状態にする」のがサービス移行にあたる。
ここで一番のポイント。サービス移行のねらいは、リスクを抑えながら、安全に本番化すること。いきなり本番に出してトラブルが起きないよう、手順を踏んで慎重に移すわけだ。
詳しく:複数のプロセスと「変更管理」
ここが心臓部。サービス移行は、1つのことだけをするのではなく、いくつものプロセスの集まりだ。代表的なものを表で見ておこう。
サービス移行の主なプロセス
| プロセス | やさしい意味 |
|---|---|
| 変更管理 | 変更を、勝手にせず審議してから行う(とくに重要) |
| リリース・展開管理 | 本番環境へ配る(リリースする)作業を管理する |
| 構成管理 | どの部品がどう組まれているか(構成情報)を管理する |
| 検証・テスト | 本番に出す前に、ちゃんと動くかを確かめる |
このように、いくつものプロセスが集まって「サービス移行」になっている。「本番に配る作業(デプロイ)だけ」と思い込むと誤りだ。
とくに重要なのが、変更管理。変更は、思いつきで勝手に行わず、きちんと審議してから行う。この審議の場をCAB(変更諮問委員会)と呼ぶ。「CABなしで勝手に変更してよい」と思い込むと誤りだ。なお、構成情報をまとめて管理するしくみをCMDB(構成管理データベース)という。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
サービス移行は、「設計図ができたあと、実際に店を建てて、安全に開店できる状態にする段階」のイメージ。つまり、設計を本番(営業)に移す、慎重な引っ越し作業だ。
「いくつものプロセスの集まり」というのは、配る作業だけでなく、変更の審議・動作確認・構成の管理などをまとめて行うこと。要するに、本番化まわりをひとそろい行う。
「変更は審議してから」というのは、思いつきで勝手に変えず、CAB(変更諮問委員会)でチェックを通すということ。つまり、勝手な変更で事故が起きないようにする。
試験のツボ
🔴 一番出る:サービス移行の正体
①設計したサービスを、本番環境に安全に移す段階
②ねらいは、リスクを抑えて本番化すること
🔴 次に出る:複数のプロセスの集まり
①配る作業(デプロイ)だけではない
②変更管理・リリース管理・構成管理などの集まり
🟡 押さえると安定:変更管理(CAB)
①変更は勝手にせず、CAB(変更諮問委員会)で審議してから
②構成情報はCMDB(構成管理データベース)で管理
よくある間違い
①「サービス移行とは、本番に配る作業(デプロイ)だけのことだ」→ ✗ 配る作業だけではない。変更管理や構成管理など、複数のプロセスの集まり。
②「変更は、CABの審議なしで、勝手に行ってよい」→ ✗ 通常の変更は、CAB(変更諮問委員会)で審議してから行う。
③「サービス移行は、ライフサイクルのいちばん最初の段階だ」→ ✗ いちばん最初は企画(戦略)。移行は、設計の次にくる段階。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(サービス移行の正体)
サービス移行に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指す
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動である
- 設計したサービスを、本番環境に安全に移していく段階のことである
解答は 4 だ。
サービス移行は、設計したサービスを、本番環境に安全に移していく段階である。設計の次にくる、慎重な引っ越しなのだ。
選択肢1は給与計算、選択肢2は請求書の事務、選択肢3は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 3 | ✗ | 広告活動ではない |
| 4 | ✓ | 本番に安全に移す段階で正しい |
オリジナル問題2(複数のプロセス)
サービス移行の構成に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 本番に配る作業だけをする、たった1つのプロセスのことである
- 変更管理やリリース管理など、いくつものプロセスの集まりである
- 社員の給与を計算するプロセスだけが集まったものだとされている
- 取引先へ請求書を郵送するプロセスだけが集まったものだとされる
解答は 2 だ。
サービス移行は、変更管理やリリース管理など、いくつものプロセスの集まりである。配る作業だけをする段階ではないのだ。
選択肢1の「1つのプロセス」、選択肢3の給与計算、選択肢4の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 1つのプロセスではない |
| 2 | ✓ | いくつものプロセスの集まりで正しい |
| 3 | ✗ | 給与計算のプロセスではない |
| 4 | ✗ | 請求書の事務のプロセスではない |
オリジナル問題3(変更管理とCAB)
変更管理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 通常の変更は、CAB(変更諮問委員会)で審議してから行うものである
- 変更は、CABの審議なしで、だれでも勝手に行ってよいものだとされる
- 変更管理とは、社員の給与を計算することだけを指す作業のことである
- 変更管理とは、取引先へ請求書を郵送する事務だけを指すものである
解答は 1 だ。
通常の変更は、CAB(変更諮問委員会)で審議してから行うものである。勝手な変更で事故が起きないようにするのだ。
選択肢2の「勝手に行ってよい」、選択肢3の給与計算、選択肢4の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | CABで審議してから行うで正しい |
| 2 | ✗ | 勝手に行ってよいわけではない |
| 3 | ✗ | 給与計算の作業ではない |
| 4 | ✗ | 請求書の事務ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 サービス移行 = 設計したサービスを、本番環境に安全に移す段階。設計(デザイン)の次。
- 🔴 複数のプロセスの集まり = 配る作業だけでなく、変更管理・リリース管理・構成管理などの集まり。
- 🟡 変更管理(CAB) = 変更は勝手にせず、CABで審議してから。構成情報はCMDBで管理。
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執筆: SikakuQuest編集部