ITILとは(全体像)
ITIL(アイティル)は、「Information Technology Infrastructure Library」の略。ITのサービスを、上手に提供・運営していくための「お手本集」のことだ。英国で生まれ、いまは世界中で使われている定番になっている。
ここで一番おさえたいのが、ITILは「規格(必ず守るべきルール)」ではないこと。あくまでベストプラクティス集=うまくいくやり方の見本であって、参考にして取り入れるものだ。「ITILは守らないといけない規格」と思い込むと誤りになる。
そして、最新版はITIL 4。2019年に大きく改訂された版だ。「ITIL 3が最新」と思い込むのも誤りなので、ここは押さえておこう。
詳しく:ITIL 4の中身と「規格ではない」
ここが心臓部。ITIL 4で出てくる言葉を、やさしく見ておこう。
ITIL 4のキーワード
| 言葉 | やさしい意味 |
|---|---|
| ベストプラクティス集 | うまくいくやり方を集めたお手本(強制ではない) |
| SVS(サービスバリューシステム) | 価値を生み出すための全体の枠組み |
| プラクティス | 「○○管理」といった管理のしかた(取り組みの項目) |
| 継続的な改善 | くり返し見直して、少しずつ良くしていく考え方 |
ITIL 4では、SVS(サービスバリューシステム)という「全体の枠組み」を中心に、サービスで価値を生み出す流れを整理している。そして、「○○管理」といったプラクティス(管理のしかた)がいくつもまとめられている。
大事な考え方が、継続的な改善。一度作って終わりではなく、くり返し見直して、少しずつ良くしていくことを重視する。最近の進め方(開発と運用が協力するDevOpsなど)とも組み合わせて使える。
ここで2つ、注意点を確認しておこう。
1つ目。ITILは規格ではなく、ベストプラクティス集。守らないと違反になるルールではなく、参考にして取り入れる見本だ。
2つ目。最新版はITIL 4(2019年)。版数を問う問題が出るので、ITIL 3ではなくITIL 4が最新、と覚えておこう。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
ITILは、「お店をうまく回すための、名店の段取りをまとめた運営の手引き集」のイメージ。世界中でうまくいったやり方が、ぎゅっとまとまっている。つまり、サービス運営のお手本だ。
「規格ではない」というのは、守らないと罰せられるルールではなく、参考にする手引きだということ。要するに、取り入れるかどうかは自分たちで選ぶ。
ITIL 4が最新、というのは、手引きが2019年に新しく改訂されたということ。つまり、古い版(ITIL 3)ではなく新しい版だ。
試験のツボ
🔴 一番出る:ITILの正体
①ITサービスを上手に提供・運営するためのお手本集(ベストプラクティス集)
②英国発祥で、いまは世界中で使われている
🔴 次に出る:規格ではない
①ITILは守るべき規格ではない
②参考にして取り入れる、ベストプラクティス集(推奨)
🟡 押さえると安定:最新版はITIL 4
①最新版はITIL 4(2019年の大きな改訂)
②SVSや継続的な改善を重視する
よくある間違い
①「ITILは、必ず守らなければならない規格だ」→ ✗ ITILはベストプラクティス集(お手本)。参考にして取り入れるもので、強制ではない。
②「ITILの最新版は、ITIL 3だ」→ ✗ 最新版はITIL 4(2019年の大きな改訂)。ITIL 3ではない。
③「ITILは、特定の製品(ソフト)の商品名だ」→ ✗ ITILは製品名ではなく、サービス運営のお手本集(考え方のまとめ)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(ITILの正体)
ITILに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- ITサービスを上手に運営するためのお手本集(ベストプラクティス集)である
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指しているものだ
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動のことである
解答は 2 だ。
ITILは、ITサービスを上手に運営するためのお手本集(ベストプラクティス集)である。世界中でうまくいったやり方をまとめたものなのだ。
選択肢1は給与計算、選択肢3は請求書の事務、選択肢4は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✓ | サービス運営のお手本集で正しい |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(規格ではない)
ITILの性格に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 必ず守らなければならない規格で、守らないと違反になってしまうとされている
- 社員の給与を計算するためだけに使う、経理専用のしくみのことである
- 取引先へ請求書を郵送する事務作業だけを指す言葉のことであるとされる
- 守るべき規格ではなく、参考にして取り入れるベストプラクティス集である
解答は 4 だ。
ITILは、守るべき規格ではなく、参考にして取り入れるベストプラクティス集である。強制されるルールではないのだ。
選択肢1の「規格」、選択肢2の給与計算、選択肢3の請求書の事務は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 守るべき規格ではない |
| 2 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 3 | ✗ | 請求書の事務ではない |
| 4 | ✓ | 参考にするお手本集で正しい |
オリジナル問題3(最新版)
ITILの版に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 最新版はITIL 2で、それより新しい版は出ていないとされている
- 最新版はITIL 1で、その後は改訂されていないものだとされている
- 最新版はITIL 4で、2019年に大きく改訂された版のことである
- 最新版はITIL 3で、ITIL 4はまだ存在しないものだとされている
解答は 3 だ。
ITILの最新版は、ITIL 4(2019年に大きく改訂された版)である。ITIL 3ではなく、ITIL 4が最新なのだ。
選択肢1・2・4は、いずれも版数が違っていて誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | ITIL 2が最新ではない |
| 2 | ✗ | ITIL 1が最新ではない |
| 3 | ✓ | ITIL 4が最新で正しい |
| 4 | ✗ | ITIL 4は存在する |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 ITIL = ITサービスを上手に提供・運営するための、お手本集(ベストプラクティス集)。
- 🔴 規格ではない = 守るべきルールではなく、参考にして取り入れる見本(推奨)。
- 🟡 最新版はITIL 4 = 2019年の大きな改訂。SVSや継続的な改善を重視する。
次に学ぶ
- ITSM(ITサービスマネジメント) ── ITサービスを管理する活動全体。ITILは、そのお手本集にあたる。
執筆: SikakuQuest編集部