可用性管理とは(全体像)
可用性管理とは、ITサービスが「使える状態」を、どれだけ保てているかを管理する活動のことだ。「可用性」とは、使いたいときに使える度合いのこと。
サービスが止まっている時間が長いと、利用者は困る。だから、できるだけ止まらず、止まっても早く復旧できるように管理する。そのために使うのが、これから見るMTBF・MTTR・稼働率という指標だ。
ここで一番のポイント。MTBFとMTTRは、良し悪しの向きが逆。MTBFは大きいほど良く、MTTRは小さいほど良い。混同しやすいので、しっかり区別しよう。
詳しく:MTBF・MTTRと稼働率の計算
ここが心臓部。3つの指標を表で押さえよう。
可用性の3つの指標
| 指標 | 意味 | 良いのは |
|---|---|---|
| MTBF(平均故障間隔) | 故障から次の故障までの平均時間(壊れずに動く長さ) | 大きいほど良い |
| MTTR(平均修復時間) | 故障してから直すまでの平均時間(直す速さ) | 小さいほど良い |
| 稼働率 | 使える時間の割合 | 高いほど良い |
- MTBF … 故障から次の故障までの平均時間。長く動き続けられるほど良いので、大きいほど良い。
- MTTR … 故障してから、直すまでの平均時間。早く直せるほど良いので、小さいほど良い。
- 稼働率 … 使える時間の割合。次の式で求める。
稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)
たとえば、MTBFが90時間、MTTRが10時間のとき。稼働率は、90 ÷(90 + 10)= 90 ÷ 100 = 0.9、つまり90%となる。「壊れずに動く時間」を「全体の時間」で割る、というイメージだ。
なお、稼働率は「9の数」でよく表される。99.9%なら年に約8.76時間、99.99%なら年に約52.6分の停止にあたる。9が1つ増えるだけで、止まる時間がぐっと短くなる。「99%も99.9%も大差ない」と思い込むと誤りだ(停止時間は約10倍ちがう)。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
MTBFは、「車が、故障せずに走り続けられる平均の長さ」のイメージ。長く走れるほど良いので、大きいほど良い。
MTTRは、「故障した車を、直すのにかかる平均の時間」のイメージ。早く直るほど良いので、小さいほど良い。
稼働率は、「全体のうち、ちゃんと使えていた時間の割合」。つまり、壊れずに動いた時間を、全体で割ったものだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:MTBFとMTTRの向き
①MTBF(平均故障間隔)は大きいほど良い
②MTTR(平均修復時間)は小さいほど良い
🔴 次に出る:稼働率の計算式
①稼働率 = MTBF ÷(MTBF + MTTR)
②例:MTBF90・MTTR10なら、90÷100=90%
🟡 押さえると安定:9の数
①99.9%は年に約8.76時間の停止
②9が増えるほど、止まる時間はぐっと短くなる
よくある間違い
①「MTBFもMTTRも、大きいほど良い指標だ」→ ✗ MTBFは大きいほど良いが、MTTR(修復時間)は小さいほど良い。向きが逆。
②「稼働率は、MTBFをMTTRで割って求める」→ ✗ 稼働率=MTBF÷(MTBF+MTTR)。合計で割るのが正しい。
③「稼働率99%と99.9%は、ほとんど同じだ」→ ✗ 止まる時間は約10倍ちがう。9が1つ増えると停止時間はぐっと短くなる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(MTBFとMTTRの向き)
MTBFとMTTRの良し悪しに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- MTBFもMTTRも、ともに小さいほど良い指標だとされているものだ
- MTBFは大きいほど良く、MTTRは小さいほど良い指標のことである
- MTBFもMTTRも、ともに大きいほど良い指標だとされているものだ
- MTBFは小さいほど良く、MTTRは大きいほど良い指標のことである
解答は 2 だ。
MTBFは大きいほど良く、MTTRは小さいほど良い指標である。長く動けるほど良く、早く直せるほど良い、というわけだ。
選択肢1・3・4は、向きが違っていて誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | MTBFは大きいほど良い |
| 2 | ✓ | MTBF大・MTTR小で正しい |
| 3 | ✗ | MTTRは小さいほど良い |
| 4 | ✗ | 向きが逆になっている |
オリジナル問題2(稼働率の計算式)
稼働率の求め方として、最も適切なものはどれか。
- 稼働率は、MTTRを、MTBFとMTTRの合計で割って求めるものである
- 稼働率は、MTBFをMTTRで割るだけで求められるものだとされている
- 稼働率は、MTBFとMTTRを足すだけで求められるものだとされている
- 稼働率は、MTBFを、MTBFとMTTRの合計で割って求めるものである
解答は 4 だ。
稼働率は、MTBFを、MTBFとMTTRの合計で割って求めるものである。式にすると、MTBF÷(MTBF+MTTR)だ。
選択肢1はMTTRを割っており誤り、選択肢2・3も式が違って誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 割るのはMTBF |
| 2 | ✗ | MTTRで割るのは誤り |
| 3 | ✗ | 足すだけでは求まらない |
| 4 | ✓ | MTBF÷(MTBF+MTTR)で正しい |
オリジナル問題3(稼働率の計算)
MTBFが90時間、MTTRが10時間のときの稼働率として、最も適切なものはどれか。
- 稼働率は90%である。MTBFを、MTBFとMTTRの合計で割って求める
- 稼働率は10%である。MTTRを、MTBFとMTTRの合計で割って求める
- 稼働率は50%である。MTBFとMTTRを足して2で割って求めるとされる
- 稼働率は9倍になる。MTBFをMTTRで割って求めるとされているものだ
解答は 1 だ。
稼働率は、90 ÷(90 + 10)= 90 ÷ 100 = 0.9、つまり90%である。MTBFを、合計で割って求めるのだ。
選択肢2・3・4は、計算のしかたが違っていて誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 90÷100=90%で正しい |
| 2 | ✗ | 割るのはMTBF |
| 3 | ✗ | 足して2で割るのは誤り |
| 4 | ✗ | MTTRで割るのは誤り |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 可用性管理 = サービスが使える状態を、どれだけ保てているかを管理する活動。
- 🔴 MTBFとMTTRの向き = MTBF(平均故障間隔)は大きいほど良い、MTTR(平均修復時間)は小さいほど良い。
- 🟡 稼働率の計算 = MTBF÷(MTBF+MTTR)。9の数が増えるほど、止まる時間はぐっと短くなる。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部