ITガバナンスとは(全体像)
ITガバナンスとは、会社のITの投資や運用を、経営の戦略に合わせて、正しい方向へ舵取りするしくみのことだ。ITにお金や人を使うとき、「経営の方針に沿っているか」「ちゃんと価値を生んでいるか」を、経営の立場から統治する。
ここで一番のポイント。ITガバナンスは「戦略レベル」の話で、前に学んだITIL(日々の運用のお手本)は「運用レベル」の話だ。階層が違う。ITガバナンスが「どの方向へ進むか」を決め、ITILが「日々どう運用するか」を支える、という関係になる。「ITガバナンス=ITIL」と思い込むと誤りになる。
詳しく:ITILとの違いとフレームワーク
ここが心臓部。まず、ITガバナンスとITILの階層の違いを表で押さえよう。
ITガバナンスとITILの階層
| 区分 | レベル | 役割 |
|---|---|---|
| ITガバナンス | 戦略レベル | ITを経営戦略に合わせて舵取りする |
| ITIL | 運用レベル | 日々のITサービス運用のお手本 |
ITガバナンスは戦略レベルで、会社全体のITの方向づけを担う。ITILは運用レベルで、日々の運用を支える。上に方向づけ(ガバナンス)、下に運用(ITIL)、という関係だ。
そして、ITガバナンスの代表的な枠組み(フレームワーク)が、COBIT(コビット)だ。COBITは、ITガバナンスをうまく進めるためのまとめ。最新はCOBIT 2019で、「COBITは古い」と思い込むと誤りだ。このほか、国際規格のISO/IEC 38500などもある。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
ITガバナンスは、「会社のITを、経営の方針に沿って、正しい方向へ導く舵取り」のイメージ。つまり、IT全体の向きを決める、経営レベルの話だ。
ITILとの違いは、「方向を決める舵取り(ガバナンス)」と「日々の運用作業のお手本(ITIL)」。要するに、戦略の階層か、運用の階層か、だ。
COBITは、「ITガバナンスをうまく進めるための、まとめ(枠組み)」。つまり、舵取りの参考にする手引きだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:ITガバナンスの正体
①ITを経営戦略に合わせて、正しく舵取りするしくみ
②経営(取締役会)レベルの関心事
🔴 次に出る:ITILとの違い
①ITガバナンスは戦略レベル
②ITILは運用レベル(階層が違う)
🟡 押さえると安定:フレームワーク
①代表はCOBIT(最新はCOBIT 2019)
②国際規格のISO/IEC 38500などもある
よくある間違い
①「ITガバナンスとITILは、まったく同じものだ」→ ✗ ITガバナンスは戦略レベル、ITILは運用レベル。階層が違う。
②「COBITは、もう古くて使われていない」→ ✗ COBITは最新版(COBIT 2019)があり、ITガバナンスの代表的な枠組み。
③「ITガバナンスは、現場の担当者だけで決めるものだ」→ ✗ ITガバナンスは、経営(取締役会)レベルの関心事として進める。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(ITガバナンスの正体)
ITガバナンスに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 社員の出退勤を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- ITを経営戦略に合わせて、正しく舵取りするしくみのことである
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指す
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための広告活動である
解答は 2 だ。
ITガバナンスは、ITを経営戦略に合わせて、正しく舵取りするしくみである。経営レベルで、IT全体の向きを決めるのだ。
選択肢1は給与計算、選択肢3は請求書の事務、選択肢4は広告で、どれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 2 | ✓ | ITを経営戦略に合わせ舵取りで正しい |
| 3 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 4 | ✗ | 広告活動ではない |
オリジナル問題2(ITILとの違い)
ITガバナンスとITILの違いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- ITガバナンスは運用レベルで、ITILは戦略レベルだとされているものだ
- ITガバナンスもITILも、社員の給与を計算するためのものである
- ITガバナンスは戦略レベル、ITILは運用レベルで、階層が違うのだ
- ITガバナンスもITILも同じで、呼び名が違うだけだとされている
解答は 3 だ。
ITガバナンスは戦略レベル、ITILは運用レベルで、階層が違う。上で方向づけ、下で運用、という関係なのだ。
選択肢1は説明が逆、選択肢2は給与計算、選択肢4は「同じ」が誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 戦略と運用が逆になっている |
| 2 | ✗ | 給与計算のものではない |
| 3 | ✓ | ガバナンスは戦略・ITILは運用で正しい |
| 4 | ✗ | 両者には違いがある |
オリジナル問題3(フレームワーク)
ITガバナンスの代表的なフレームワークとして、最も適切なものはどれか。
- 社員の給与を計算することだけを目的とした枠組みだとされている
- 取引先へ請求書を郵送することだけを行う枠組みだとされているものだ
- 完成したシステムを宣伝して、より多く売るための枠組みだとされる
- 代表はCOBITで、最新はCOBIT 2019という枠組みである
解答は 4 だ。
代表的な枠組みは、COBITで、最新はCOBIT 2019。ITガバナンスを進める枠組みである。古くなっているわけではないのだ。
選択肢1の給与計算、選択肢2の請求書、選択肢3の宣伝は、いずれも違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 給与計算の枠組みではない |
| 2 | ✗ | 請求書の事務の枠組みではない |
| 3 | ✗ | 宣伝の枠組みではない |
| 4 | ✓ | COBIT(最新2019)で正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 ITガバナンス = ITを経営戦略に合わせて、正しく舵取りするしくみ。経営(取締役会)レベルの関心事。
- 🔴 ITILとの違い = ITガバナンスは戦略レベル、ITILは運用レベル。階層が違う。
- 🟡 フレームワーク = 代表はCOBIT(最新はCOBIT 2019)。国際規格のISO/IEC 38500などもある。
次に学ぶ
- ITIL 4 ── 日々のITサービス運用のお手本。ITガバナンス(戦略)の下で、運用を支える。
- 内部統制(J-SOX) ── 業務を正しく保つしくみ。ITガバナンスとあわせ、信頼できる経営を支える。
執筆: SikakuQuest編集部