EVM(出来高管理)とは(全体像)
EVMは、「Earned Value Management」の略で、日本語では出来高管理。プロジェクトが「予定どおり進んでいるか」「予算内か」を、お金(コスト)と作業量で数字にして管理する手法だ。
「だいたい順調」と感覚で言うのではなく、数字で「予定よりこれだけ進んでいる/遅れている」とはっきりさせるのがねらい。そのために、3つの基本の値を使う。
- PV(計画値)… 計画上、今の時点でできているはずの作業を、金額で表した予定額。
- EV(出来高)… 実際にできた作業を、計画の金額で表した値。
- AC(実コスト)… 実際にかかった費用。
ここで一番の勘違いポイント。EVは「実際にかかったお金」ではないこと。EVは出来高(できた作業の計画額)で、実際にかかった費用はAC。ここを混同しないことが大切だ。
詳しく:差異の出し方と符号の見方
ここが心臓部。3つの値を使って、差異(ズレ)を出す。
EVMの差異の見方
| 差異 | 計算 | マイナス(0未満)のとき |
|---|---|---|
| SV(スケジュール差異) | EV − PV | 予定より遅れている |
| CV(コスト差異) | EV − AC | 予算をオーバーしている |
SV(スケジュール差異)= EV − PV。これがマイナス(0未満)なら、予定より遅れている。たとえば、できた作業(EV)が予定(PV)に届いていなければ、SVはマイナスになる。
CV(コスト差異)= EV − AC。これがマイナスなら、予算をオーバーしている。できた作業(EV)より、かかった費用(AC)のほうが多ければ、CVはマイナスになる。
ここで一番のひっかけが符号の向き。マイナス(0未満)が「悪い(遅れ・超過)」で、プラスが「良い」。「SVがプラスで遅れ」と思い込むと逆になる。マイナス=注意、と覚えるのが安全だ。
わかりやすく言い換えると
身近なたとえで整理しよう。
EVMは、旅行の「予定と実際を、数字で見比べる」イメージ。「今日はここまで進む予定(PV)」「実際にここまで来た(EV)」「いくら使った(AC)」を数字で比べて、進み具合とお金の使い具合を確かめる。
EVとACの違いは、「できた分(EV)」と「使ったお金(AC)」。要するに、成果と費用は別、ということだ。EVを「使ったお金」と混同しないのが大事。
符号の見方は、「マイナスは赤信号」と覚えるとよい。つまり、SVやCVがマイナスなら、遅れや予算オーバーのサイン、ということだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:3つの基本の値
①PV=計画値(予定額)・EV=出来高(できた作業の計画額)
②AC=実コスト(実際にかかった費用)
🔴 次に出る:EVとACの区別
①EVは「できた作業を計画の金額で表した値」
②実際にかかった費用はAC。EVと混同しない
🟡 押さえると安定:差異の符号
①SV=EV−PV(マイナスで遅れ)・CV=EV−AC(マイナスで超過)
②マイナス(0未満)が「悪い」サイン
よくある間違い
①「EVとは、実際にかかった費用のことだ」→ ✗ EVは出来高(できた作業の計画額)。実際にかかった費用はAC。
②「SVがプラスのとき、スケジュールが遅れている」→ ✗ SV=EV−PVがマイナス(0未満)のときに遅れている。プラスは順調。
③「EVMは、感覚で『だいたい順調』と判断する手法だ」→ ✗ EVMは、お金と作業量で数字にして、ズレをはっきりさせる手法。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(EVMの正体)
EVM(出来高管理)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 取引先へ毎月の請求書を郵送する、決まった事務作業のことを指している
- プロジェクトの進み具合を、お金と作業量で数字にして管理する手法である
- 社員の出退勤の時刻を記録して、毎月の給与を計算するためのしくみである
- 完成したシステムの不具合を、運用しながら直していく日々の作業である
解答は 2 だよ。
EVMは、プロジェクトの進み具合を、お金と作業量で数字にして管理する手法だよ。感覚ではなく数字でズレをはっきりさせるんだ。
選択肢1は請求書の事務、選択肢3は給与計算、選択肢4は運用中の修正で、どれも違うよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 請求書の事務の話 |
| 2 | ✓ | お金と作業量で数字管理する手法で正しい |
| 3 | ✗ | 給与計算のしくみではない |
| 4 | ✗ | 運用中の不具合修正の話 |
オリジナル問題2(EVとACの区別)
EVMのEVとACに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- EVは実際にかかった費用、ACはできた作業の計画額で、逆の意味である
- EVもACも、社員の給与を計算することだけを目的にした同じ値である
- EVはできた作業を計画の額で表した値、ACは実際にかかった費用である
- EVもACも同じ意味で、呼び名が2つあるだけで違いはないとされている
解答は 3 だよ。
EVはできた作業を計画の金額で表した値(出来高)、ACは実際にかかった費用だよ。EVを「使ったお金」と混同しないのが大事なんだ。
選択肢1は説明が逆、選択肢2は給与計算、選択肢4は「違いはない」が誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | EVとACの説明が逆 |
| 2 | ✗ | 給与計算の値ではない |
| 3 | ✓ | EVは出来高・ACは実コストで正しい |
| 4 | ✗ | 両者には違いがある |
オリジナル問題3(差異の符号)
スケジュール差異SVに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- SVはEV−PVで求め、プラス(0より大きい)のときに遅れているとされる
- SVはPV−ACで求め、給与の差を表すための計算式のことを指している
- SVは計算とは関係がなく、感覚で遅れを判断するためのものだとされる
- SVはEV−PVで求め、マイナス(0未満)のときに遅れていると判断する
解答は 4 だよ。
SVはEV−PVで求め、マイナス(0未満)のときに遅れていると判断するよ。「マイナスは赤信号」と覚えてね。
選択肢1は「プラスで遅れ」が逆、選択肢2は式が違い給与の話、選択肢3は「感覚で判断」が誤りだよ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | マイナスで遅れ。プラスは順調 |
| 2 | ✗ | 式が違い、給与とも関係ない |
| 3 | ✗ | 数字で計算して判断する |
| 4 | ✓ | EV−PVがマイナスで遅れで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3つの値 = PV(計画値)・EV(出来高=できた作業の計画額)・AC(実コスト=実際の費用)。
- 🔴 EVとAC = EVはできた作業の計画額、ACは実際にかかった費用。混同しない。
- 🟡 差異の符号 = SV=EV−PV、CV=EV−AC。マイナス(0未満)が「遅れ・超過」のサイン。
次に学ぶ
- PMBOK ── プロジェクトマネジメントの知識体系。EVMは進捗とコストの管理に使う。
- PERT/CPM・クリティカルパス ── スケジュールを管理する手法。EVMと合わせて進み具合を見る。
執筆: SikakuQuest編集部