ふたつは「役割」が違う
まず、ITパスポートと基本情報技術者は、そもそも役割が違う試験です。どちらが優れている、という関係ではありません。
ITパスポートは、ITを使うすべての人に向けた「リテラシー」の試験です。IT技術だけでなく、経営やお金、仕事の進め方まで、広く浅く扱います。職種を問わず、社会人なら知っておきたい「ITとのつきあい方」を証明するもの、と考えると分かりやすいでしょう。
もう少し具体的に言うと、iパスの出題は、ストラテジ(経営・お金)、マネジメント(仕事の進め方)、テクノロジ(IT技術)の3分野です。IT技術は、そのうちの一部にすぎません。だから、プログラミングの経験がなくても、社会人としての常識や仕事の感覚で解ける問題も、たくさんあるんです。
ITパスポートは「ITを使う人」全般のための、広く浅い入口の資格。基本情報技術者は「ITを作る人・支える人」に一歩近づくための、より技術寄りの資格です。狙う方向が、そもそも違うんです。
一方、基本情報技術者は、IT技術者の登竜門とされる試験です。プログラミングの考え方やアルゴリズムなど、ITを「作る・支える」側に必要な知識を、iパスより深く問われます。エンジニアやIT専門職を目指す人にとっての、第一歩という位置づけです。
つまり、iパスは「ITとどうつきあうか」、基本情報は「ITをどう作るか」。同じIT系の資格でも、見ている方向が違う。だから、優劣ではなく「自分はどっちの方向に進みたいか」で考えるのが、いちばん自然なんです。
難易度と範囲を、正直に比べる
次に、気になる難易度と範囲を、正直に見ていきましょう。ここは、はっきり差があります。
ITパスポートと基本情報技術者の比較
| 項目 | ITパスポート | 基本情報技術者 |
|---|---|---|
| 位置づけ | ITリテラシー | IT技術者の登竜門 |
| 範囲 | 広く浅く | より深く技術寄り |
| 勉強時間の目安 | 100〜180時間ほど | iパスより長め |
| 出題形式 | 4択中心 | 4択+アルゴリズム等 |
範囲の広さは似ていますが、深さが違います。基本情報技術者では、擬似言語を使ったプログラムの読み解きや、データ構造、フローチャートを使った処理の組み立てなど、iパスより一段踏み込んだ内容が問われます。
その分、必要な勉強時間も、基本情報のほうが長めになります。iパスが100〜180時間ほどの目安に対し、基本情報はさらに時間がかかるのが一般的です。とくに、プログラミングや計算が苦手な人にとっては、基本情報のアルゴリズム分野が、最初の壁になりやすいところです。基本情報では、知識を広く問う科目Aと、プログラミングなどの考え方を問う科目Bに分かれているのも、iパスとの違いの一つです。
とはいえ、基本情報も「天才向け」というわけではありません。多くの人が、しっかり対策すれば合格しています。ただ、iパスに比べて準備に時間がかかる分、生活との両立や、学習計画の立て方が、より大切になってきます。
ただ、難しい=悪いということではありません。深く学ぶ分、得られる技術力も大きい。要するに、どちらを選ぶかは「難易度」だけでなく、「自分がどこまで踏み込みたいか」で決めるのがいいんです。背伸びしすぎても、物足りなくても、続かなくなってしまいますから。
どっちから?タイプ別に考える
では、本題の「どっちから受けるべきか」です。これは、あなたのタイプによって変わります。二人の例で考えてみましょう。
タイプ別の選び方
たとえば、Aさんは文系出身で、ITはほとんど初めて。仕事で少しITに関わるようになり、基礎から学びたいと考えています。こういう人には、まずiパスがおすすめです。広く浅くITの全体像をつかめるので、無理なく土台ができ、その後の学びもスムーズになります。
一方、Bさんは情報系の学生で、将来はエンジニアを目指しています。プログラミングにもすでに少し触れている。こういう人なら、iパスを飛ばして、直接基本情報を狙うのも十分にアリです。目標が技術職とはっきりしているなら、その方向の資格に直接挑むのが、近道になることもあります。
このように、正解は一つではありません。大事なのは、自分の現在地と、進みたい方向。ITが初めてなら土台づくりからでいいし、すでに技術寄りの目標があるなら、直接踏み込む道もある。どちらも、間違いではないんです。
iパスは「踏み台」ではない
最後に、一つだけ、大切なことをお伝えします。iパスを、基本情報への「とりあえずの踏み台」とは考えないでください。
たしかに、iパスから基本情報へとステップアップする人は多くいます。でも、それは「iパスに価値がないから次へ行く」のではありません。iパスで得たITリテラシーは、それ自体が、仕事でも暮らしでも、ずっと役立つ確かな力です。
考えてみてください。英語を学んだ人が、次に別の言語を学んだからといって、英語の学習が「無駄だった」とはならないはずです。それと同じで、iパスで身につけたITの土台は、次に何を学んでも、あなたの中で生き続けます。
iパスはiパスとして、ITを使うすべての人に役立つ完結した資格です。基本情報へ進む人にとっても、iパスは「無駄な通過点」ではなく、しっかりした土台。そして、iパスで満足して、そこで活かしていく道も、まったく正しい選択です。
「iパスなんて簡単だから、すぐ基本情報へ」と急ぐ必要は、まったくありません。あなたが今、iパスを選ぼうとしているなら、それは立派な一歩。まずはその一歩を、自分のペースで踏み出せばいいんです。次に基本情報へ進むかどうかは、iパスを終えてから、ゆっくり考えても遅くありません。
つまり、二つの資格は、競わせて選ぶものではなく、自分の道に合わせて選ぶもの。どちらを選んでも、そこで学んだことは、あなたの中に確かに残ります。
迷ったら、まずiパスでも遠回りにならない
「どうしても決められない」という人もいるでしょう。そんなときは、まずiパスから始めても、まず損はありません。
なぜなら、iパスで学ぶ全体像は、その後どの道に進んでも土台になるからです。仮に「やっぱり基本情報まで進みたい」と思っても、iパスで広く浅く触れた知識が、基本情報の学習をぐっと楽にしてくれます。逆に、いきなり基本情報に挑んで、アルゴリズムの壁で立ち止まってしまう——そんなつまずきを、iパスは和らげてくれるんです。
迷ったら、まず土台のiパスから。そこで得た全体像は、どの方向に進んでも無駄になりません。回り道に見えて、実はいちばん確実な進み方になることも多いんです。
もちろん、目標がはっきりしている人は、直接基本情報でも大丈夫です。大切なのは、「決められないから動けない」より、「まず一歩、踏み出す」こと。どちらの道も、歩き出してしまえば、ちゃんと前に進めます。
- iパスとFEは優劣でなく「役割」が違う(使う人/作り支える人)
- 難易度・範囲はFEのほうが深く、勉強時間も長め
- ITが初めてならiパスから、技術職志望なら直接FEもアリ
- 正解は一つでなく、自分の現在地と進みたい方向で選ぶ
- iパスは踏み台ではなく、それ自体に確かな価値がある
理解度チェック
ここまでの話、どれくらい整理できたか確かめてみましょう。
本文の説明する、ITパスポートと基本情報技術者の関係として正しいものはどれか。
- 基本情報がつねに上位で、iパスは格下の劣った資格である
- 二つは内容が同じで、どちらを受けても違いはまったくない
- iパスに合格しないと、基本情報は受けられない決まりがある
- どちらが上下ではなく、役割と向いている人が異なる試験だ
解答は 4 である。
iパスは「ITを使う人」全般のリテラシー、基本情報は「ITを作り支える人」に近づく技術寄りの資格。優劣ではなく、見ている方向が違う。要するに、どちらが上下ではないのである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 上下・優劣の関係ではない |
| 2 | ✗ 誤り | 範囲の深さも形式も異なる |
| 3 | ✗ 誤り | iパス合格は受験の条件ではない |
| 4 | ✓ 正解 | 役割と向く人が違う |
自分の進みたい方向で選ぶのがよいのである。
本文が説明する、二つの試験の難易度・範囲の違いとして正しいものはどれか。
- iパスのほうが、基本情報よりもはるかに難しく、勉強時間も長くかかる
- 基本情報はiパスより深く技術寄りで、勉強時間も長めである
- 二つの試験は、難易度も範囲もまったく同じ水準にそろう
- 基本情報には、計算やアルゴリズムの問題は一切出てこない
解答は 2 である。
基本情報は、擬似言語やデータ構造など、iパスより一段踏み込んだ技術が問われる。その分、勉強時間も長めになる。つまり、深さの面で、基本情報のほうがより踏み込んだ試験なのである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 難しいのは基本情報のほう |
| 2 | ✓ 正解 | 深く技術寄りで時間も長め |
| 3 | ✗ 誤り | 深さに明確な差がある |
| 4 | ✗ 誤り | アルゴリズム等が問われる |
どこまで踏み込みたいかで選ぶのがよいのである。
本文が伝える、iパスの位置づけとして正しいものはどれか。
- iパスはそれ自体に価値があり、踏み台扱いするものではない
- iパスは基本情報のためだけにある、価値のない通過点である
- iパスに合格したら、すぐ基本情報へ進まなければならない
- iパスで学んだ内容は、合格したその瞬間に役に立たなくなる
解答は 1 である。
iパスで得たITリテラシーは、それ自体が仕事でも暮らしでも役立つ確かな力だ。基本情報へ進む人にとっても、しっかりした土台になる。噛み砕いて言えば、iパスは踏み台ではなく、それ自体に価値があるのである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | それ自体に確かな価値がある |
| 2 | ✗ 誤り | 価値のない通過点ではない |
| 3 | ✗ 誤り | 進む時期は自分で決めてよい |
| 4 | ✗ 誤り | 学んだ力は長く役立ち続ける |
自分のペースで、次の道を考えればよいのである。
「自分は、まずiパスから始めてみよう」と思ってもらえたなら、編集部としては嬉しいです。
ITの全体像を、4択を解きながらつかんでいきたい人は、シカクエのアプリを使ってみるのも一つの方法です。1日10問、5分のスキマ時間から、無理なく土台を作れます。
もちろん、市販のテキストでじっくり進めるのもいい方法です。大事なのは、ほかの資格と比べて焦るのではなく、自分の現在地に合った一歩を、自分のペースで選ぶことだと思います。
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