まず、iパス合格を祝わせてほしい
次の資格の話に入る前に、編集部として一つだけ伝えておきたいことがあります。
ITパスポートに合格したという事実は、それだけで十分に価値のある到達点です。受験資格のない試験とはいえ、合格率はおおむね50%前後。受けた人の半分が届かない年もある中で、あなたは3分野をまんべんなく押さえ、ちゃんと基準を超えてきた。これは「通過点」などという軽い言葉で片づけていいものではありません。
世の中には「iパスなんて簡単」「すぐ基本情報へ行くべき」といった声もあります。でも、そういう声に急かされて次へ走り出す必要はまったくないんです。今のままiパスで得た知識を仕事や生活に活かしていく、という選び方も、立派な一つの道です。
そのうえで、「もう少しITを深く知りたくなった」「次の目標があると勉強が続けやすい」と感じたなら——そのときに、この先を読んでもらえればと思います。次の資格は、急ぐためではなく、あなたが進みたくなったときのための地図です。
王道その1:基本情報技術者試験(FE)
iパスの次として、いちばんよく名前が挙がるのが基本情報技術者試験です。略して「FE」と呼ばれます。
iパスが「ITを使う側」の基礎教養だとすれば、FEは「ITを作る側・支える側」に一歩踏み込んだ試験、というイメージが近いです。エンジニアやプログラマーの登竜門として位置づけられることが多い国家試験ですね。
iパスと同じく3分野(ストラテジ・マネジメント・テクノロジ)から出題されますが、テクノロジ系の比重がぐっと上がります。とくに特徴的なのが、アルゴリズムや擬似言語を読み解く問題。iパスでは「言葉の意味が分かればよい」レベルだったところが、FEでは「実際に処理の流れを追って答えを出す」レベルに変わります。
身構えてしまうかもしれませんが、ここで朗報があります。FEもiパスと同じCBT方式で通年受験でき、科目A(旧・午前にあたる知識問題)と科目Bの2部構成です。試験時間はおおむね、科目Aが90分、科目Bが100分。合格基準は、科目A・科目Bのどちらも一定点(おおむね6割ライン)以上を取ること、とされています。このあたりの問題数や時間は見直されることがあるので、受験する年度の公式案内(IPAの公式サイト)で確認しておくと安心です。
注目してほしいのは、知識を問う科目Aのほうです。ここで出てくるストラテジ・マネジメント・テクノロジの用語は、iパスで一度触れたものと地続き。たとえば経営や法律、ネットワークやセキュリティの基礎用語は、iパスの貯金がそのまま効いてきます。一方、科目Bはアルゴリズムやプログラミングの読解が中心で、ここが「作る側」への踏み込みどころ。iパスとの差が大きいのは、主にこの科目Bの部分です。
私たちが取材した範囲でも、「iパスで全体像をつかんでいたから、FEの科目Aは思ったより取っつきやすかった」という声は少なくありませんでした。逆に科目Bは別物として腰を据えて取り組んだ、という人も多い。難しくなるのは事実ですが、要するに、半分は土台がある状態から始められる、というわけです。ゼロからの再スタートではないんですね。
王道その2:情報セキュリティマネジメント試験(SG)
もう一つ、iパスの隣にある道が情報セキュリティマネジメント試験、通称「SG」です。
こちらはFEとは方向性が少し違います。プログラミング寄りではなく、「組織の情報セキュリティを守り、運用する側」の知識に特化した試験です。サイバー攻撃が日々ニュースになる今、需要が高まっている分野ですね。
iパスでもセキュリティの基礎は学びますが、SGではそれをより実務に近い形で深掘りします。たとえば情報セキュリティ10大脅威のような、最新の脅威動向への対処を問う問題が中心。わかりやすく言い換えると、「技術でガリガリ作る」より「ルールと運用で守る」ことに関心がある人には、FEよりSGのほうが合うこともあります。
難度の感覚でいうと、SGはiパスとFEの中間あたり、と語られることが多い試験です。プログラミングの読解が必須ではないぶん、文系・非エンジニアの社会人にとっては、FEより心理的なハードルが低く感じられることもあります。「いきなり作る側は気が重いけれど、守る側なら興味が持てる」という人にとっては、無理のない次の一歩になりやすい一枚です。SGもCBT方式での通年受験に対応していますが、出題構成は変わることがあるので、こちらも受験年度の公式案内で確認しておきましょう。
費用の面でも、iパスからの延長線として考えやすいのがこの2つです。FE・SGの受験料は、iパスと同じ水準で設定されていることが多く、いずれもCBT会場で都合のよい日を予約して受ける形。新しく特別な手続きが要るわけではありません。具体的な金額は改定されることがあるため、申し込みの前に公式案内で確認しておくと確実です。
iパスの次・代表的な2つの道
どちらが「上」ということはありません。作る方向に興味があるならFE、守る方向に関心があるならSG。あなたの「面白そう」がどちらを向いているかで選んでいい、というのが編集部の見方です。
「資格を増やす」以外の道もある
ここまで二つの試験を紹介してきましたが、念のため言い添えておきたいことがあります。つまり、次の一歩は、必ずしも新しい資格でなくてもいい、ということです。
たとえば、iパスで学んだ知識を実際の仕事で使ってみる。会議で出てくるIT用語を意識して拾う、社内のDXの話に一歩踏み込んで関わってみる——こうした「使ってみる」も、立派な次の一歩です。資格は知識を証明する手段ですが、知識を活かす場は資格の外にもたくさんあります。
あるいは、興味のある分野を独学で掘り下げるのもいい。生成AIをもっと使いこなしたい、データの読み方を学びたい、という具体的な関心があるなら、その方向の本やオンライン講座に進むほうが、次の資格より役に立つこともあります。
- 作る側に興味がある → 基本情報技術者(FE)
- 守る側に興味がある → 情報セキュリティマネジメント(SG)
- まず実務で活かしたい → 資格より、仕事や独学で使ってみる
- 特に急がない → 今のままiパスの知識を育てるのも正解
大事なのは、「次に進まなければ」という焦りで選ばないこと。進みたくなったときに進む。それで十分間に合います。
いつ始めるかは、あなたが決めていい
最後に、タイミングの話を少しだけ。
「iパスの記憶が新しいうちに次へ」という考え方には一理あります。3分野の土台が頭に残っているうちにFEやSGの勉強を始めると、立ち上がりがスムーズなのは確かです。
ただ、これも「だから今すぐ始めなければ」という話ではありません。半年後でも、一年後でも、必要になったときに始めればいい。仕事や生活の状況は人それぞれで、勉強に向ける時間も変わります。自分の生活のリズムに無理なく乗る形で、次を選んでいくのがいちばん長続きします。
私たちが見てきた中でも、iパス合格からしばらく間を置いて、仕事で必要に迫られてからFEに進んだ人はたくさんいました。回り道に見えても、目的がはっきりしてからのほうが勉強は身につく、ということなのかもしれません。
- iパス合格はそれ自体がゴール。次へ進むかは急がず決めてよい
- 代表的な次の道は、基本情報技術者(FE)と情報セキュリティマネジメント(SG)
- FEは「作る・支える側」、SGは「守る側」。優劣ではなく方向の違い
- 資格を増やす以外に、実務で活かす・独学で掘る道もある
- 始めるタイミングは、あなたの生活に合わせて決めてよい
理解度チェック
ここまでの内容を、軽く確かめてみましょう。
ITパスポートの次に挙げられる「基本情報技術者試験(FE)」の特徴として、最も適切なものはどれか。
- プログラミングを一切扱わず、経営戦略とマーケを問う試験である
- ITを使う側から、作る側・支える側へ踏み込む試験である
- 受験資格として三年以上の実務経験が必ず必要となる試験である
- iパスよりやさしく、おさらい目的で受ける試験である
解答は 2 である。
FEは、iパスの「使う側」から一歩進み、ITを「作る側・支える側」に踏み込む試験だ。アルゴリズムや擬似言語にも踏み込む。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | テクノロジ系の比重がむしろ上がる |
| 2 | ✓ 正解 | 作る・支える側へ踏み込む |
| 3 | ✗ 誤り | 実務経験は受験要件ではない |
| 4 | ✗ 誤り | iパスより難度は上がる |
iパスの土台があれば、立ち上がりは速いのである。
情報セキュリティマネジメント試験(SG)の方向性として、正しいものはどれか。
- プログラムを書く速さだけを競う実技中心の試験である
- ITとはまったく無関係の、一般常識の教養だけを問う試験である
- iパス合格者へ自動的に与えられる称号である
- 組織の情報セキュリティを守り運用する側に特化した試験である
解答は 4 である。
SGは、ITを「守る側・運用する側」に特化した試験だ。最新の脅威動向への対処などが問われる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 速さを競う実技試験ではない |
| 2 | ✗ 誤り | セキュリティの専門知識を問う |
| 3 | ✗ 誤り | 別途受験して合格する試験だ |
| 4 | ✓ 正解 | 守る・運用する側に特化 |
作るFE、守るSG。関心の向きで選べばよい。
iパス合格後、次の資格へ進むタイミングの考え方として、最も適切なものはどれか。
- 自分が進みたくなったときに進めばよく、急ぐ必要はない
- 合格した当日中に次の参考書を買わなければ手遅れになってしまう
- 周囲が勧める順に、迷わず従うのが最善である
- 一度立ち止まると二度と再開できないので休んではいけない
解答は 1 である。
次へ進むかどうか、進むならいつか——それは君が決めてよい。焦りで選ぶ必要はないのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 進みたくなったときでよい |
| 2 | ✗ 誤り | 当日に決める必要はない |
| 3 | ✗ 誤り | 周囲でなく自分の関心で選ぶ |
| 4 | ✗ 誤り | 間を置いてから再開する人も多い |
目的がはっきりしてからのほうが、勉強は身につくものだ。
iパス合格、あらためておめでとうございます。次の一歩を考え始めたあなたに、編集部から一つだけ。
次に進むかどうかを迷っている段階なら、まず4択問題に軽く触れて、今の自分がどの分野を面白いと感じるか確かめてみるのも一つの方法です。シカクエのアプリなら、1日10問から、スキマ時間で手応えを試せます。
もちろん、市販の参考書でじっくり次の試験を調べるのも、今はあえて立ち止まるのも、どれも正解です。あなたのペースで選んでいきましょう。
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