CBT方式とは——パソコンで受ける試験
iパスの試験は、CBT(Computer Based Testing)という方式で行われます。聞き慣れない言葉かもしれませんが、要するに「会場のパソコンに向かって、画面の問題に答えていく試験」のこと。
紙のマークシートを鉛筆で塗りつぶす、という昔ながらのスタイルではありません。画面に問題が表示され、マウスやキーボードで選択肢を選んでいきます。操作そのものは、ネットショッピングで「次へ」を押していく感覚に近く、特別なパソコンスキルは要りません。
ここがiパスの受けやすいところで、全国各地に試験会場(テストセンター)があり、年間を通して試験が実施されています。つまり、「次の試験まで半年待つ」ということがなく、思い立った時期から準備して、準備が整った頃に予約して受けられるんです。
正直なところ、この「自分のタイミングで受けられる」というしくみは、働きながら勉強する社会人や、学業と両立する学生にとって、かなり大きな利点だと思います。
それにCBTには、紙の試験にはない便利さもあります。たとえば、解いている途中で「あとで見直したい問題」に印(フラグ)を付けておき、時間が余ったら戻って確認する、といった操作ができます。前の問題に戻って答えを直すこともできるので、「マークシートを1つずらして塗ってしまった」というような、紙ならではの事故も起きにくい。
ちなみに、CBT方式での受験が初めてでも、試験本番の前に操作の練習画面(チュートリアル)が用意されているのが一般的です。いきなり本番、というわけではないので、パソコンが苦手な人も身構えなくて大丈夫だと思います。
出題のかたち——100問・120分・4択
次に、試験そのものの中身を見ていきましょう。
iパスは、原則として 100問 が出題され、試験時間は 120分。すべて4択(または多肢選択)のマーク式で、記述やプログラミングの入力はありません。1問あたりにかけられる時間は、単純計算で1分ちょっと。テンポよく解いていくイメージです。
出題は3つの分野から、まんべんなく出されます。
3分野からの出題(イメージ)
たとえばテクノロジ系では、2進数のような計算の基礎や、フィッシングのようなセキュリティの話題が問われます。マネジメント系なら、アジャイル・スクラムといった開発手法も出題範囲です。
言い換えると、特定の分野だけを深掘りするのではなく、ITとビジネスの全体像を「広く薄く」問う試験、という性格なんですね。
なお、100問のうち一部は、今後の出題のための「評価用」の問題が含まれており、これらは採点対象外とされています。受験者からはどれが評価用か分からないので、結局はすべての問題に普通に取り組めば大丈夫です。
問題の中身としては、用語の意味を問うもの、短い場面を読んで適切な対応を選ぶもの、簡単な計算をするものなど、いくつかのタイプが混ざっています。とはいえ、難しい数式をこねくり回すようなものは多くありません。むしろ、「言葉の意味を正しく理解しているか」「ITやビジネスの基本的な考え方を知っているか」を確かめる問題が中心です。
ですから、勉強の方向としては、難問対策よりも「基本用語をひととおり、広く押さえる」ほうが点につながりやすい。ここはiパスの素直なところだと思います。
受験料と、申し込みに必要なもの
受験を考えるうえで気になるのが、費用ですよね。
iパスの受験料は、近年は 7,500円(税込) とされています。ただし、受験料は過去に改定された経緯があり、今後も変わる可能性があります。申し込む前に、受験する年度の公式案内(IPAの公式サイト)で最新の金額を確認しておくと安心です。
支払い方法は、クレジットカードやコンビニ払い、バウチャー(前売り券のようなもの)など、複数から選べるのが一般的。また、申し込みには事前の利用者登録(マイページの作成)が必要になります。メールアドレスがあれば登録できるので、難しい準備はいりません。
正直なところ、国家資格の受験料としては、iパスは手の届きやすい部類だと思います。万一うまくいかなくても、CBTなら期間を空けて再挑戦できる道も用意されています(再受験のルールは公式案内で確認を)。
合格の基準——総合600点と、3分野それぞれ300点
iパスでつまずきやすいのが、合格基準の理解です。ここは少していねいに押さえておきましょう。
iパスの採点は、1000点満点で評価されます。合格に必要なのは、まず 総合評価点で600点以上。ここまでは多くの人が知っているところです。
でも、条件はもう一つあります。
合格には、総合600点に加えて、3分野(ストラテジ・マネジメント・テクノロジ)それぞれで300点以上を取ることが必要です。総合点が600点を超えていても、どれか1分野が300点に届かないと合格になりません(配点や基準の詳細は受験年度の公式案内で確認を)。
要するに、「得意な分野で大量に稼いで、苦手分野はゼロでもいい」という作戦が通用しない、ということ。3分野をバランスよく、それぞれ最低ラインは超えておく必要があります。
最初は「苦手分野も捨てられないのか…」と気が重くなるかもしれません。でも逆に考えると、どれか一つで満点を狙う必要はない、ということでもあります。それぞれを6割ちょっと、安定して取れれば届く。そう思うと、ぐっと現実的に見えてきます。
この「3分野それぞれに最低ライン」という設計には、じつは理由があります。iパスは、IT人材としての偏りのない基礎を確かめる試験だからです。経営の話だけ、技術の話だけ、という人ではなく、ビジネスとITの両方を見渡せる土台を求めている。だからこそ、どこか一つを完全に切り捨てる受け方は想定されていないわけです。
とはいえ、ここで身構えすぎる必要もありません。3分野それぞれ3割という最低ラインは、決して高いハードルではないからです。まったく手を付けなかった分野があると危ういけれど、ひととおり目を通しておけば、自然と超えていける水準。要するに「全部に少しずつ触れておく」ことが、いちばんの近道になります。
申込みから当日までの流れ
受け方の全体像も、ざっくりつかんでおきましょう。
まず、受験者向けのマイページ(利用者登録)を作り、受けたい会場と日時を選んで予約します。空いている枠から選べるので、平日の夜や土日を選ぶこともできます。
受験料を支払えば申込みは完了。当日は、本人確認書類を持って会場へ向かいます。会場では、案内に従って指定の席に座り、画面の指示どおりに進めるだけ。私物は基本的にロッカーに預けるので、手ぶらで席に着くイメージです。
CBTは会場のパソコンで受けるため、筆記用具やテキストは基本的に使いません(メモ用紙が貸し出される場合があります)。最も大事なのは、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類。受験する年度・会場の案内で、有効な書類の種類を必ず確認しておきましょう。
このあたりの細かいルール(持ち込めるもの、再受験のルール、当日の流れ)は、年度や会場によって変わることがあります。最新の案内は、受験する年度の公式情報(IPAの公式サイト)で確認しておくのが確実です。
結果が出るタイミングと、その後
CBTのうれしいところは、結果が分かるのが早いこと。
試験が終わると、その場で点数(スコアレポート)が表示されます。総合点と分野別の点数が出るので、自分が合格ラインを越えたかどうか、おおよそその場で見当がつきます。
ただし、これはあくまで速報的な扱いで、正式な合格発表は後日、別途行われます。合格すると、後日あらためて合格証書が交付されます。
この「その場で点数が出る」というのは、受験者にとってけっこう心強い仕組みだと思います。紙の試験だと、結果が届くまで何週間も悶々と待つことになりますが、iパスはおおよその手応えを当日のうちに持ち帰れる。万一届かなかった場合も、どの分野が弱かったのかが点数で見えるので、次に向けた立て直しがしやすいんです。
そして合格後は、その実績を履歴書に書いたり、社内の評価につなげたり、あるいは基本情報技術者といった次の資格へ進む足がかりにしたり——使い道は人それぞれ。試験のしくみを知っておくと、その先の使い方まで見通しやすくなります。
- iパスはCBT方式。全国の会場で通年実施、自分の都合に合わせて予約して受ける
- 出題は原則100問・120分・4択。3分野からまんべんなく出される
- 合格は総合600点かつ3分野それぞれ300点以上(1000点満点)
- 当日の中心は本人確認書類。筆記用具は基本不要
- 試験後にその場で点数が表示され、正式な発表は後日
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたか確かめてみましょう。
ITパスポート試験の実施方式について、正しいものはどれか。
- 年に1回だけ実施される全国一斉の筆記試験である
- 全国の会場でパソコンを使い、通年で受けられるCBT方式
- 自宅のパソコンから、好きな時間に受けるオンライン試験である
- 指定された大学でのみ、年2回実施される試験である
解答は 2 である。
iパスはCBT方式で、全国のテストセンターに置かれたパソコンで受ける。年に一度の一斉試験ではなく、通年で予約して受けられるのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 一斉の筆記試験ではない |
| 2 | ✓ 正解 | 会場のパソコンで通年実施 |
| 3 | ✗ 誤り | 会場で受けるのが原則 |
| 4 | ✗ 誤り | 大学限定・年2回ではない |
自分の都合に合わせて日を選べるのが、CBTの利点なのだ。
ITパスポート試験の出題形式について、正しいものはどれか。
- プログラムを実際に書いて提出する記述式が中心となっている
- 面接官との口頭試問によって合否が判定される
- 原則100問・120分の4択中心のマーク式である
- 全問が記述式で、文章を書いて答える方式である
解答は 3 である。
iパスは原則100問・120分で、すべて4択などの選択式。記述やプログラミングの入力は求められぬ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | プログラムは書かせない |
| 2 | ✗ 誤り | 口頭試問はない |
| 3 | ✓ 正解 | 100問・120分の選択式 |
| 4 | ✗ 誤り | 記述式ではない |
1問あたり1分ちょっと。テンポよく解き進めるのである。
ITパスポート試験の合格基準について、正しいものはどれか。
- 総合600点に加え、3分野それぞれ300点以上が必要
- 総合評価点が600点以上であれば、それだけで合格となる
- テクノロジ系で900点以上を取れば、他分野は不問となる
- 全分野の合計が500点を超えていれば合格と認められる
解答は 1 である。
総合600点だけでなく、3分野それぞれで300点以上が必要だ。総合点が足りても、1分野が低いと合格にならぬ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 総合600点かつ各分野300点以上 |
| 2 | ✗ 誤り | 分野別の基準も満たす必要がある |
| 3 | ✗ 誤り | 1分野だけでは合格にならない |
| 4 | ✗ 誤り | 基準は500点合計ではない |
3分野をバランスよく、それぞれ最低ラインを超えるのが近道なのだ。
「ITパスポート、受けるイメージがつかめてきたかも」と思ってもらえたなら、編集部としては嬉しいです。
CBTを予約する前に、4択を解く感覚を一度つかんでおきたい人は、シカクエのアプリで肩慣らしをしておくのも一つの方法です。1日10問、5分のスキマ時間から試せます。
もちろん、市販のテキストや問題集で進めるのもまったく問題ありません。大事なのは、自分に合うやり方で無理なく続けることだと思います。
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