数字で見る難易度——合格率はおよそ50%
まず、いちばん分かりやすい指標である合格率から。
iパスの合格率は、ここ数年、おおむね50%前後で推移しています。受験した人のおよそ半分が合格している、という計算です。国家試験のなかでは、かなり通りやすい部類に入ります。
ここで一つ、知っておくと安心できる話を。同じ「情報処理技術者試験」の仲間である基本情報技術者は、合格率が30〜40%台のことが多い。さらに上の応用情報技術者になると、20%前後まで下がります。こうして並べてみると、iパスが「入口」として設計されていることがよく分かります。
情報処理技術者試験の合格率(おおよその目安)
| 試験 | 合格率の目安 | 位置づけ |
|---|---|---|
| ITパスポート | およそ50%前後 | 入口・基礎 |
| 基本情報技術者 | 30〜40%台 | エンジニアの登竜門 |
| 応用情報技術者 | 20%前後 | 一段上の応用 |
ただし、合格率50%という数字を「簡単」と早合点するのは、少し気をつけたいところ。この数字には、しっかり勉強して臨んだ人も、ほとんど準備せずに受けた人も、両方が含まれています。つまり、きちんと対策をした人だけで見れば、合格はもっと現実的な範囲に入ってくる、ということなんですよね。
付け加えると、近年はiパスの受験者数そのものが増え続けていて、社会人だけでなく学生の受験も広がっています。多くの人が「まず受けてみよう」と手を伸ばしている資格、という事実も、ハードルの高さを考えるうえでの一つの参考になります。
なお、合格率や受験者数は年度によって動きます。最新の数字は、受験する年度の公式案内(IPAの公式サイト)で確認しておくと確実です。
勉強時間の目安——未経験で100〜180時間ほど
次に、合格までにどれくらいの勉強が必要か、という話です。
一般的によく言われるのは、IT未経験の人で 100〜180時間 ほど。すでにITの仕事をしている人や、学校で基礎を学んだ人なら、もっと短く済むこともあります。
100〜180時間と聞くと身構えるかもしれませんが、ならしてみると、そこまで重くはありません。1日1時間なら3〜6か月、1日2時間とれるなら2〜3か月といったところ。通勤時間や寝る前のスキマ時間を積み上げていけば、無理なく届く範囲です。
未経験で100〜180時間が目安。1日1時間なら3〜6か月/1日2時間なら2〜3か月。まとまった時間より、毎日少しずつのほうが続きやすく、結果的に近道になります(必要時間には個人差があります)。
正直なところ、iパスは「短期集中で一気に」よりも、「少しずつ続けて、習慣にする」ほうが向いている試験だと思います。範囲が広く浅いので、毎日少しずつ触れて、知識を地層のように重ねていくのが結局いちばんの近道なんですよね。
ちなみに、CBT方式で通年受けられるので、「この日までに仕上げなければ」という一発勝負のプレッシャーがありません。自分の準備が整ったタイミングで予約すればいい。この気楽さも、難易度を体感的に下げてくれる要素だと思います。
学習の進め方としては、いきなりテキストを通読するより、早い段階で4択問題に触れてみるのがおすすめです。問題を解くと、「何が問われるのか」「どのくらいの深さで聞かれるのか」が体でつかめる。そこを起点に、分からなかったところをテキストで補っていく。この「問題から入る」やり方のほうが、広い範囲を効率よくカバーできることが多いんですよね。机に向かう時間がまとめて取れなくても、5分あれば数問は解ける。その積み重ねが、気づけば100時間になっている、という感覚です。
文系・未経験から見た「本当のハードル」
「難易度」を語るとき、いちばん気になるのは「自分にもできるか」だと思います。とくに、文系で機械が苦手という人にとっては。
先に答えを言ってしまうと、文系・未経験でも十分に手が届きます。実際、合格者には文系出身の社会人や学生がたくさんいます。iパスはプログラムを書かせる試験ではなく、ITを「使う側」の知識を問う試験だからです。
とはいえ、まったくつまずかないわけでもありません。多くの人が「ここはちょっと苦手だな」と感じるのが、テクノロジ系の一部の計算問題です。たとえば2進数の変換や、アルゴリズムの考え方。ここで身構えてしまう人は少なくありません。
でも、ここで知っておいてほしいのは——こうした計算問題は、出題全体のごく一部にすぎないということ。iパスは3分野からまんべんなく出るので、計算が苦手でも、ストラテジ系(経営・法律)やマネジメント系で着実に得点すれば、十分に合格ラインを越えられます。
つまり、「苦手分野をゼロにする」必要はないんです。広く浅く、取れるところで確実に取る。これが、文系・未経験の人にとっての現実的な戦い方になります。
計算問題は出題の一部。苦手分野を完璧にしようとせず、得意な分野で着実に得点するほうが、合格には近い。プログラムを書かせる試験ではないので、「理系じゃないと無理」という思い込みは、まず手放して大丈夫です。
「簡単」と「意外と大変」の声、どちらも本当
冒頭でビズラビが言っていた、「簡単」派と「意外と大変」派の食い違い。これには、ちゃんと理由があります。
「簡単だった」と言う人の多くは、もともとITに触れる機会が多かったり、勉強の習慣がある人。彼らにとっては、馴染みのある内容が中心なので、軽く感じられます。
一方、「意外と大変だった」と言う人は、IT未経験から始めた人や、範囲の広さに面食らった人。iパスは出題範囲がとにかく広いので、「思っていたより覚えることが多い」と感じることがあるんです。
どちらの声も、嘘ではありません。立場が違えば、同じ試験でも見え方が変わる。だから、他人の「簡単/大変」をそのまま自分に当てはめず、「自分はどの分野に馴染みがあって、どこが初めてか」を考えるほうが、ずっと役に立ちます。
個人的には、iパスは「正しく準備すれば、誰にでも手が届く難易度」だと思っています。地頭やセンスで決まる試験ではなく、続けた人から順に受かる。そういう、努力が報われやすいタイプの試験なんですよね。
「落ちにくい」だけでなく「立て直しやすい」
iパスの難易度を語るうえで見落とされがちなのが、「もしうまくいかなくても、すぐにやり直せる」という点です。CBT方式なので、一度残念な結果でも、期間を空けて再挑戦できます(再受験できる時期は受験年度の公式案内で確認を)。
一発勝負の年1回試験だと、「落ちたら次は1年後」というプレッシャーが、体感的な難易度を大きく押し上げます。でもiパスには、その重さがありません。受験のたびに、その場で総合点と分野別の結果が分かるので、「次はどこを補強すればいいか」が、はっきり見える。
つまり、iパスは「一度で完璧に決めなければならない試験」ではなく、「試しながら仕上げていける試験」なんです。この立て直しやすさは、難易度を考えるときに、地味だけれど大きな安心材料になります。
要するに、本当に手ごわいのは「難しさ」そのものよりも、「失敗が許されない」という思い込みのほうだったりする。iパスのしくみは、その思い込みからあなたを解き放ってくれます。最初の一回を、肩の力を抜いて受けられる——これも立派な「やさしさ」だと思うんです。
CBT方式で通年受けられ、試験後すぐに総合点と分野別の結果が分かる。だから「次はどこを補強するか」が見えやすい。一発勝負で抱える重圧が小さいことも、体感的な難易度を下げてくれます(再受験できる時期は受験年度の公式案内で確認を)。
基本情報技術者とのレベル差
iパスの難易度を測るうえで、よく比較されるのが基本情報技術者です。ここも触れておきましょう。
基本情報は、iパスの一段上に位置づけられる試験です。ITエンジニアの登竜門とも言われ、出題はより専門的で、深さもあります。プログラミングやアルゴリズムの比重も大きい。
iパスが「ITを使う人・関わる人のための基礎」だとすれば、基本情報は「ITを作る側に一歩踏み込むための試験」というイメージです。たとえば、仕事の進め方を表すPDCAサイクルのような考え方は両方に出てきますが、基本情報ではそれをより実践的に問われます。
だから、「iパスは簡単すぎるから、いきなり基本情報を受けよう」と考える人もいます。それも一つの選び方です。ただ、IT未経験なら、まずiパスで土台を固めてから基本情報へ進むほうが、結局はなめらかに登れることが多い。急がば回れ、というやつですね。
どちらから受けるかは、あなたの今の知識量と目的しだい。どちらが上ということではなく、自分に合った入口を選べばいいんです。
ひとつの目安として、こんな考え方があります。「ITの言葉に、まだほとんど馴染みがない」という人は、iパスから始めると、用語の壁でつまずかずに済みます。逆に、「仕事でシステムに触れていて、用語もだいたい分かる」という人なら、iパスを軽くおさらいしつつ、早めに基本情報を視野に入れてもいい。どちらにしても、iパスで身につけた土台は、その先でずっと効いてきます。だから、最初の一段としてのiパスは、決して遠回りにはならないんですよね。
- 合格率はおよそ50%。国家試験のなかでは通りやすい部類
- 勉強時間の目安は未経験で100〜180時間(1日1時間で3〜6か月)
- 文系・未経験でも十分に届く。計算問題は一部、苦手でも他分野で補える
- 「簡単/大変」の声の差は、もともとのIT経験の差から生まれる
- 基本情報技術者は一段上。未経験はiパスから土台を固めると登りやすい
理解度チェック
ここまでの話、どれくらい整理できたか確かめてみましょう。
ITパスポートの合格率について、本文の説明に合うものはどれか。
- 合格率は一桁台で、ごく一部の人しか受からない試験である
- おおむね50%前後で、国家試験のなかでは通りやすい部類
- 合格率は毎年ちょうど90%で固定されており変わらない
- 応用情報技術者よりも、合格率が大幅に低い試験である
解答は 2 である。
iパスの合格率は、近年おおむね50%前後で推移している。基本情報や応用情報より高く、入口として通りやすい設計だ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 一桁台の難関ではない |
| 2 | ✓ 正解 | 約50%で通りやすい部類 |
| 3 | ✗ 誤り | 固定の数字ではない |
| 4 | ✗ 誤り | 応用情報より合格率は高い |
ただし数字は年度で動くので、最新は公式で確認するのである。
本文が示す、ITパスポートの勉強時間の目安として正しいものはどれか。
- 未経験でも、わずか数時間の対策で確実に合格できる
- 合格には、最低でも1000時間以上の学習が必須である
- 何年も腰を据えて学ばなければ、まず合格できない試験である
- IT未経験なら、おおむね100〜180時間ほどが目安
解答は 4 である。
未経験者の目安は、おおむね100〜180時間。1日1時間なら3〜6か月で届く範囲だ。短期集中より、少しずつ続けるのが向いている。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 数時間では準備不足になる |
| 2 | ✗ 誤り | 1000時間は過大な見積もり |
| 3 | ✗ 誤り | 何年もかかる試験ではない |
| 4 | ✓ 正解 | 未経験で100〜180時間が目安 |
スキマ時間を積み上げれば、無理なく届くのである。
文系・未経験者から見たITパスポートの難易度について、本文の主張に近いものはどれか。
- 文系には不可能で、理系出身者しか合格できない
- 計算問題が全体の大半を占め、数学が必須となる
- 計算は一部で、得意な分野で補えば十分に手が届く
- プログラムを自作できないと、まず合格は認められない
解答は 3 である。
計算問題は出題のごく一部だ。苦手でも、ストラテジ系やマネジメント系で着実に取れば、合格ラインは十分に越えられる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 文系の合格者は多くいる |
| 2 | ✗ 誤り | 計算は大半ではなく一部 |
| 3 | ✓ 正解 | 一部の計算は他分野で補える |
| 4 | ✗ 誤り | プログラム自作は問われない |
苦手をゼロにせず、取れるところで取るのが現実的なのである。
「ITパスポート、自分にもちょうどいい難易度かも」と思ってもらえたなら、編集部としては嬉しいです。
難易度が自分に合うか確かめたい人は、まず4択を何問か解いて、手応えを測ってみるのも一つの方法です。シカクエのアプリなら、1日10問、5分のスキマ時間から試せます。
もちろん、市販のテキストを立ち読みして、相性を確かめるのもいい方法です。大事なのは、人の「簡単/大変」ではなく、自分の手応えで距離を測ることだと思います。
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