贈与とは(全体像)
贈与とは、あげる人(贈与者)が「ただで財産をあげます」と意思表示し、もらう人(受贈者)が受け取ることで成立する契約のこと。
大切なのは次の2つ。
- 無償 … 見返り(対価)がない。もらう側はお金を払わない。
- 口約束でも成立 … 特別な形式は要らず、申し出と受諾の合意だけで成立する(諾成契約)。
身近に言うと、「この絵をあげるよ」「ありがとう、もらうね」と言い合えば、それだけで贈与契約は成立する。ただし、口約束のままだとまだ渡していない分は後から解除できる――ここが贈与の最大の特徴。
詳しく:書面の有無と贈与の種類
ここが心臓部。まず「書面によらない贈与は解除できる」という基本ルール、次に贈与の種類を押さえる。
贈与を解除できるか(書面の有無)
| 区分 | 解除できる? |
|---|---|
| 書面によらない贈与(まだ渡していない部分) | できる(渡す前なら解除可) |
| 書面によらない贈与(すでに渡した部分) | できない |
| 書面でした贈与 | できない |
つまり、「書面がない」かつ「まだ渡していない」部分だけが解除できる。一度渡してしまえば取り戻せないし、書面にしていれば軽い気持ちでの撤回は許されない。あげる人が軽はずみで約束して苦しまないよう配慮しつつ、もらう人の信頼も守るバランス。
次に、贈与には特別なタイプがある。
贈与の特別なタイプ
| タイプ | 内容(やさしく言うと) |
|---|---|
| 死因贈与 | あげる人が亡くなったときに効力が生じる贈与。あくまで「契約」 |
| 負担付贈与 | もらう人も一定の義務(負担)を負う贈与。例:家をあげる代わりに親の介護をする |
特に出るのが、死因贈与と遺贈の違い。どちらも「死んだときに効く」点は同じだが、死因贈与は契約(あげる人ともらう人の合意)、遺贈は遺言による単独行為(あげる人が一人で決める)。死因贈与には遺贈のルールが準用される、という関係も押さえておく。
わかりやすく言い換えると
要するに、贈与は「ただであげる約束」。口だけでも約束は成立するけれど、書面にしていない約束は、渡す前なら「やっぱりやめた」ができる。
死因贈与は「死んだら渡すね、という生前の約束(契約)」。似ている遺贈は「遺言で一方的に決める」もの。つまり、相手との合意がいるのが死因贈与、いらないのが遺贈、と区別するとラク。
試験のツボ
🔴 一番出る:書面によらない贈与は解除できる
ただし「まだ渡していない部分」だけ。渡し終えた部分や書面でした贈与は解除できない。
🔴 次に出る:死因贈与と遺贈の違い
①死因贈与 = 契約(あげる人ともらう人の合意)
②遺贈 = 遺言による単独行為(あげる人が一人で決める)
🟡 押さえると安定:贈与の基本性質と負担付贈与
贈与は無償で、口約束でも成立する。負担付贈与は、もらう人も一定の義務を負う。
よくある間違い
①「書面によらない贈与は無効」→ ✗ 無効ではなく有効。ただし、まだ渡していない部分は解除できる。
②「すでに渡した物も、書面がなければ取り戻せる」→ ✗ 渡し終えた部分は解除できない。
③「死因贈与は遺言と同じで、相手の合意はいらない」→ ✗ 死因贈与は契約なので、もらう人との合意が必要。合意がいらないのは遺贈。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(贈与の成立)
贈与の成立に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 贈与はもらう人がお金などの対価を支払って初めて成立する、有償の契約とされている
- 贈与は必ず書面で契約しなければ成立せず、口約束だけでは効力が生じないものとされている
- 贈与はもらう人の受諾がなくても、あげる人が一方的に申し出れば当然に成立するものとされる
- 贈与は、あげる人の申し出ともらう人の受諾という合意があれば、口約束でも成立するとされる
解答は 4 である。
贈与は、あげる人の申し出ともらう人の受諾という合意があれば、口約束でも成立する契約なのだ。見返りのいらない無償の契約なのだよ。
選択肢1は「有償」とする点が誤りだ。選択肢2の「書面が必須」、選択肢3の「受諾がなくても成立」も誤り。贈与はもらう人の受諾があって成立する。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 贈与は無償の契約 |
| 2 | ✗ | 口約束でも成立する |
| 3 | ✗ | もらう人の受諾が必要 |
| 4 | ✓ | 合意があれば口約束でも成立で正しい |
オリジナル問題2(書面によらない贈与)
書面によらない贈与に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 書面によらない贈与は、効力をまったく生じない無効な契約として扱われるものとされている
- 書面によらない贈与は、すでに渡し終えた部分も含めて、自由に解除できるものとされる
- 書面によらない贈与は、まだ渡していない部分であれば解除することができるものとされている
- 書面によらない贈与は、いったん成立すると一切解除できず、必ず履行しなければならないとされる
解答は 3 だ。
書面によらない贈与は、まだ渡していない部分なら解除できるのだ。渡し終えた部分や、書面でした贈与は解除できないのだよ。
選択肢1は「無効」とする点が誤りで、有効に成立している。選択肢2は「渡し終えた部分も解除できる」とする点が誤り。選択肢4の「一切解除できない」も誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 無効ではなく有効に成立する |
| 2 | ✗ | 渡し終えた部分は解除できない |
| 3 | ✓ | 渡す前の部分は解除できるで正しい |
| 4 | ✗ | 渡す前なら解除できる |
オリジナル問題3(死因贈与と遺贈)
死因贈与に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 死因贈与は、あげる人ともらう人の合意により成立する契約であり、遺贈の規定が準用される
- 死因贈与は遺言によって一人で決める単独行為であり、もらう人の合意は不要とされている
- 死因贈与は、あげる人が生きている間に必ず財産を渡し終えなければ無効になるものとされる
- 死因贈与は、あげる人が亡くなっても効力が生じず、別途あらためて契約が必要とされている
解答は 1 である。
死因贈与は、あげる人ともらう人の合意で成立する契約で、遺贈の規定が準用されるのだ。亡くなったときに効力が生じる点が遺贈と似ているからなのだよ。
選択肢2は「単独行為」とする点が誤りで、それは遺贈の説明だ。選択肢3の「生前に渡し終えないと無効」、選択肢4の「死亡しても効力が生じない」も誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 契約で、遺贈の規定が準用されるで正しい |
| 2 | ✗ | 単独行為なのは遺贈。死因贈与は契約 |
| 3 | ✗ | 生前に渡し終える必要はない |
| 4 | ✗ | あげる人の死亡で効力が生じる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 書面によらない贈与は解除できる = ただし「まだ渡していない部分」だけ。渡し終えた部分・書面でした贈与は解除できない。
- 🔴 死因贈与と遺贈の違い = 死因贈与は契約(合意が必要)、遺贈は遺言による単独行為(一人で決める)。死因贈与には遺贈の規定が準用される。
- 🟡 贈与は無償で、口約束でも成立する。負担付贈与は、もらう人も一定の義務を負う。
次に学ぶ
- 債務不履行 ── 約束を果たさないとどうなるか。贈与でも「渡す約束」を守る・守らない場面の土台になる。
- 解除 ── 契約を解消するしくみ。書面によらない贈与の「解除」と、契約一般の解除を整理する。
- 契約不適合責任 ── 渡した物に問題があったときの責任。負担付贈与でも関わってくる考え方。
執筆: SikakuQuest編集部