請負とは(全体像)
請負とは、請負人が仕事を完成させると約束し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を払う契約のこと。家の建築、洋服のオーダー、物の製造などがこれにあたる。
押さえる入口は2つ。
- 仕事の完成が目的 … 請負人は「ちゃんと仕上げて納める」ことに責任を負う。途中までやっただけでは、原則として報酬はもらえない。
- 報酬は後払いが原則 … 仕事を完成させ、目的物を引き渡すのと引き換えに報酬を受け取る。
身近に言うと、大工さんに家の建築を頼む場合、「家を完成させる」のが請負人の義務で、注文者は完成した家に対してお金を払う、という関係。
詳しく:委任との違いと2つの解消ルール
ここが心臓部。請負は「委任」と比べると性質がはっきりする。そして完成物の不備と、注文者からの解除がよく問われる。
請負と委任の違い
| 観点 | 請負 | 委任 |
|---|---|---|
| 負う義務 | 仕事の完成 | 事務の処理(結果は問わない) |
| 報酬の発生 | 完成した結果に対して | 事務を処理したことに対して |
| 典型例 | 建築・製造 | 弁護士や代理人への依頼 |
請負人は「結果(完成)」に責任を負う。これに対し委任は「頼まれた事務をきちんと処理する」のが義務で、結果そのものは約束しない。ここが両者の根本的な違い。
次に、完成物に不備があったときと、注文者がやめたいときのルール。
2つの解消・救済ルール
| 場面 | どうなる |
|---|---|
| 完成物に契約不適合があった | 売買のルールを使う(追完・減額・損害賠償・解除) |
| 注文者が完成前にやめたい | 損害を賠償すれば解除できる |
完成した物が契約の中身と違っていたら、売買の「契約不適合責任」のルールが使える(2020年改正で、請負だけの古い瑕疵担保の規定はなくなり、売買のルールに統合された)。また、注文者は仕事が完成する前なら、請負人に生じる損害を賠償して契約を解除できる。注文者の都合で頼んだ仕事だから、やめる自由を認めつつ、請負人の損は埋める、というバランス。
わかりやすく言い換えると
つまり、請負は「仕上げてナンボ」の契約。途中までではなく、完成させて初めて報酬になる。
委任との違いは「結果まで約束するか」。請負は完成という結果に責任を負い、委任は手続きをきちんとやることに責任を負う。要するに「ゴールを約束するのが請負、過程を約束するのが委任」と覚えるとラク。
試験のツボ
🔴 一番出る:請負人は仕事の完成に責任を負う
報酬は完成のあとに払うのが原則。途中まででは原則として報酬は発生しない。
🔴 次に出る:委任との違い
①請負 = 仕事の完成(結果に責任)
②委任 = 事務の処理(結果は問わない)
🟡 押さえると安定:完成物の不備と注文者の解除
不備は売買のルールで救済。注文者は完成前なら損害賠償して解除できる。
よくある間違い
①「請負人は途中まで作業すれば報酬をもらえる」→ ✗ 原則は仕事の完成が必要。報酬は完成のあとに払う。
②「請負と委任は同じで、どちらも結果に責任を負う」→ ✗ 結果(完成)に責任を負うのは請負。委任は事務の処理が義務。
③「注文者は仕事が完成する前でも、まったく解除できない」→ ✗ 完成前なら、損害を賠償して解除できる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(請負の基本)
請負に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 請負では、請負人は仕事の完成までは求められず、途中の作業だけで報酬を得られるとされている
- 請負は、請負人が仕事の完成を約束し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を払う契約とされる
- 請負では、注文者が仕事を完成させる義務を負い、請負人は報酬を払う立場にあるとされている
- 請負の報酬は、仕事の完成より前にあらかじめ全額を支払うのが原則とされている
解答は 2 である。
請負は、請負人が仕事の完成を約束し、注文者がその結果に報酬を払う契約なのだ。仕上げて納めることに責任を負うのだよ。
選択肢1は「途中の作業だけで報酬」とする点が誤りだ。選択肢3は請負人と注文者の役割が逆。選択肢4も誤りで、報酬は完成のあとに払うのが原則。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 原則は仕事の完成が必要 |
| 2 | ✓ | 完成を約束し結果に報酬を払う契約で正しい |
| 3 | ✗ | 完成義務は請負人、報酬を払うのは注文者 |
| 4 | ✗ | 報酬は完成のあとに払うのが原則 |
オリジナル問題2(委任との違い)
請負と委任の違いに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 請負も委任も、どちらも仕事の完成という結果に対して責任を負う契約とされている
- 請負は事務の処理が義務であり、委任は仕事の完成が義務だという関係にあるものとされる
- 請負も委任も、結果を問わず過程をきちんと行えばよい点で完全に同じだとされている
- 請負は仕事の完成に責任を負い、委任は事務の処理が義務であって結果までは約束しない
解答は 4 だ。
請負は仕事の完成に責任を負い、委任は事務の処理が義務で結果までは約束しないのだ。ゴールを約束するのが請負、過程を約束するのが委任なのだよ。
選択肢1は「どちらも完成に責任」とする点が誤りだ。選択肢2は請負と委任が逆。選択肢3の「完全に同じ」も誤りで、両者は責任の対象が違う。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 完成に責任を負うのは請負 |
| 2 | ✗ | 請負と委任の説明が逆 |
| 3 | ✗ | 両者は責任の対象が異なる |
| 4 | ✓ | 請負は完成・委任は事務処理で正しい |
オリジナル問題3(注文者の解除)
請負における注文者の解除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 注文者は、仕事が完成する前であれば、生じる損害を賠償して契約を解除することができる
- 注文者は、いったん請負契約を結ぶと、どのような場合も途中で解除できないものとされている
- 注文者は、損害を賠償しさえすれば、仕事の完成後でも自由に解除できるものとされている
- 注文者が解除するには、必ず請負人の同意を得なければならないものとされている
解答は 1 である。
注文者は、仕事が完成する前なら、請負人に生じる損害を賠償して契約を解除できるのだ。やめる自由を認めつつ、請負人の損は埋めるのだよ。
選択肢2の「どのような場合も解除できない」は誤りだ。選択肢3の「完成後でも自由に解除」、選択肢4の「請負人の同意が必要」も誤り。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 完成前なら損害賠償して解除できるで正しい |
| 2 | ✗ | 完成前なら解除できる |
| 3 | ✗ | この任意解除は完成前の話 |
| 4 | ✗ | 請負人の同意は不要 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 請負人は仕事の完成に責任を負う = 報酬は完成のあとに払うのが原則。途中まででは原則もらえない。
- 🔴 委任との違い = 請負は完成(結果)に責任、委任は事務の処理(結果は問わない)。
- 🟡 完成物の不備と注文者の解除 = 不備は売買のルールで救済。注文者は完成前なら損害賠償して解除できる。
次に学ぶ
- 契約不適合責任 ── 完成物に不備があったときに使うルール。請負にも準用される考え方。
- 売買 ── 請負の不備の救済が準用される元のルール。あわせて押さえると理解が深まる。
- 債務不履行 ── 仕事を完成させないとどうなるか。請負の責任の土台になる。
執筆: SikakuQuest編集部