売買とは?手付と危険の移転

公開: 更新: カテゴリ: 民法

30秒で結論

売買とは(全体像)

売買とは、売る人(売主)が財産を相手に移すことを約束し、買う人(買主)が代金を払うことを約束する契約のこと。物とお金を交換する、もっとも基本的な契約。

性質を3つの言葉で押さえる。

身近に言うと、「この自転車を1万円で売るよ」「買うよ」と合意すれば、それだけで売買は成立する。契約書がなくても成立する点が、よく問われる。


詳しく:手付と危険の移転

ここが心臓部。売買で試験に出るのは、契約のはじめに渡す「手付」と、引渡し後の「危険」の扱い。

手付(解約手付と推定される)

誰が解除する?どうする?いつまで?
買主から手付を放棄する相手(売主)が履行に着手する前まで
売主から手付を倍にして返す(倍返し)相手(買主)が履行に着手する前まで

手付は、特に約束がなければ「解約手付」と推定される。つまり、相手がまだ動き出していない(履行に着手していない)うちは、買主は手付を捨てて、売主は倍返しして、契約から抜けられる。ただし相手が履行に着手したあとは、もう手付による解除はできない

次に「危険の移転」。

引渡しの前後で危険はどちらが負う?

時点双方に責任なく物が壊れたら代金は?
引渡し前売主の負担(買主は代金を拒める)払わなくてよい
引渡し後買主の負担(危険は買主に移っている)払わなければならない

引渡しを境に、危険は売主から買主へ移る。だから引渡し後に、地震など双方に責任のない事情で物が壊れても、買主は代金を払わなければならない。これは2020年改正で明文化された考え方。

なお、渡された物が契約の中身と違っていたときの売主の責任は「契約不適合責任」として別に整理されている(売買の最重要テーマ)。

わかりやすく言い換えると

要するに、売買は「物とお金の交換の約束」。契約書がなくても、合意すれば成立する。

手付は「本気度のしるしのお金」。お互いまだ動いていないうちは、買主は手付をあきらめて、売主は倍にして返して、抜けられる。でも相手が準備を始めたら、もう手付では抜けられない。

危険は「引渡しでバトンタッチ」。渡す前は売主、渡したあとは買主が、物が壊れるリスクを負う、と覚えるとラク。


試験のツボ

🔴 一番出る:手付は解約手付と推定

①買主は手付を放棄して解除できる

②売主は手付を倍返しして解除できる

③ただし相手が履行に着手したあとはできない

🔴 次に出る:危険は引渡しで買主に移る

引渡し後に双方の責任なく物が壊れても、買主は代金を払う。

🟡 押さえると安定:売買は諾成契約

合意だけで成立し、書面は不要。有償・双務の典型でもある。


よくある間違い

「売買契約は書面がないと成立しない」→ ✗  諾成契約なので、合意だけで成立する。書面は不要。

「相手が履行に着手したあとでも、手付で解除できる」→ ✗  相手が履行に着手する前まで。着手後は手付による解除はできない。

「引渡し後に物が壊れたら、買主は代金を払わなくてよい」→ ✗  引渡し後は危険が買主に移っているので、代金を払う必要がある。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(売買の性質)

📝 オリジナル問題 1 売買の性質

売買契約の性質に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 売買契約は、契約書という書面を作成しなければ成立しない要式の契約とされている
  2. 売買契約は、財産を移す約束と代金を払う約束の合意があれば、口約束でも成立するとされる
  3. 売買契約は売主だけが義務を負う契約であり、買主はとくに義務を負わないものとされている
  4. 売買契約は対価のやりとりがない無償の契約であり、贈与と同じ性質をもつものとされている
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 2 である。

売買は、財産を移す約束と代金を払う約束の合意があれば、口約束でも成立する契約なのだ。書面はいらぬ諾成契約なのだよ。

選択肢1の「書面が必須」は誤りだ。選択肢3は、売主と買主の双方が義務を負う(双務)点で誤り。選択肢4の「無償」も誤りで、売買は対価のある有償契約だ。

選択肢判定理由
1諾成契約で書面は不要
2合意があれば口約束でも成立で正しい
3売主・買主の双方が義務を負う
4売買は有償。無償なのは贈与

オリジナル問題2(手付)

📝 オリジナル問題 2 手付

売買の手付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 手付は特約がなければ解約手付と推定され、相手が履行に着手する前なら解除のために使える
  2. 手付を交付しても契約からは一切抜けられず、必ず最後まで履行しなければならないとされる
  3. 買主が手付で解除するには、交付した手付を倍にして売主へ返さなければならないとされている
  4. 手付による解除は、相手がすでに履行に着手したあとであっても自由にできるものとされている
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 1 だ。

手付は、特約がなければ解約手付と推定されるのだ。相手がまだ履行に着手していなければ、買主は放棄、売主は倍返しで解除に使えるのだよ。

選択肢2は「一切抜けられない」とする点が誤りだ。選択肢3は買主と売主の役割が逆(倍返しは売主側)。選択肢4も誤りで、相手が履行に着手したあとは手付で解除できない。

選択肢判定理由
1解約手付と推定され着手前なら使えるで正しい
2解約手付なら解除に使える
3倍返しは売主側。買主は放棄
4履行着手後は手付で解除できない

オリジナル問題3(危険の移転)

📝 オリジナル問題 3 危険の移転

売買における危険の移転に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 引渡しの前後を問わず、物が壊れたときの危険は常に売主が負担し続けるものとされている
  2. 引渡し後に物が壊れても、買主は常に代金の支払いを拒むことができるものとされている
  3. 引渡し後に双方の責任なく物が壊れても、危険は買主に移っており代金を支払う必要がある
  4. 危険は契約の成立と同時に買主へ移り、引渡しがあったかどうかは関係ないとされている
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 3 である。

引渡しを境に、危険は売主から買主へ移るのだ。だから引渡し後に双方の責任なく物が壊れても、買主は代金を払わねばならぬのだよ。

選択肢1の「常に売主が負う」、選択肢2の「常に拒める」は誤りだ。選択肢4も誤りで、危険が移るのは契約成立時ではなく引渡しのとき。

選択肢判定理由
1引渡し後は買主が危険を負う
2引渡し後は代金を払う必要がある
3引渡し後は危険が買主に移るで正しい
4危険が移るのは引渡しのとき

まとめ

押さえどころ

次に学ぶ


執筆: SikakuQuest編集部

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