相互保証主義とは(全体像)
相互保証主義は、国家賠償法の特則だ。外国人が被害者となった場合に、その外国人の本国が、日本人に対して国家賠償を認めている場合に限って、日本の国賠法を適用する、という考え方をいう。
つまり、「お互いさま」の関係があるかどうかで決まる。
- 相手の国が、日本人にも国家賠償を認める国 → 日本の国賠法を適用する。
- 相手の国が、日本人に国家賠償を認めない国 → 日本の国賠法を適用しない。
これは、自国民(日本人)の保護を重視した立法政策だ。
詳しく:外国人にも適用されうること、適用の場面
ここが心臓部。「一切適用なし」ではないこと、外国人被害者に限られることを押さえる。
相互保証の有無による違い
| 相手国の制度 | 日本の国賠法 |
|---|---|
| 日本人に国家賠償を認める国 | 適用される |
| 日本人に国家賠償を認めない国 | 適用されない |
まず、「外国人には一切適用されない」わけではないこと。相互保証があれば、外国人にも日本の国賠法は適用される。「外国人だから国賠法は使えない」と決めつけないことが大切だ。
次に適用の場面だ。
相互保証主義が問題になる場面
| 被害者 | 相互保証主義 |
|---|---|
| 外国人 | 問題になる |
| 日本人 | 関係ない |
相互保証主義が問題になるのは、外国人が被害者の場合だけ。日本人が被害者であれば、相互保証は関係なく、ふつうに国賠法が適用される。「すべての国家賠償に相互保証主義が当てはまる」わけではない、という点を押さえる。
わかりやすく言い換えると
つまり相互保証主義は「外国人が被害者のとき、相手の国が日本人に国賠を認めるなら、日本も国賠法を適用する」という、お互いさまのルール。外国人にも適用されうるし、日本人が被害者なら関係ない。
要するに押さえどころは2つ。①外国人が被害者でも、相互保証があれば国賠法は適用される(一切適用なし、ではない)、②相互保証主義が問題になるのは外国人が被害者の場合だけで、日本人被害者には関係ない。
試験のツボ
🔴 一番出る:相互保証があれば外国人にも適用
①外国人が被害者でも、相互保証があれば国賠法は適用される
②「外国人には一切適用なし」ではない
🔴 次に出る:外国人が被害者の場合に限る
相互保証主義が問題になるのは外国人が被害者の場合だけ。日本人被害者には関係ない。
🟡 押さえると安定:立法政策
自国民(日本人)の保護を重視した立法政策に基づく特則。
よくある間違い
①「外国人には、国家賠償法が一切適用されない」→ ✗ 相互保証があれば、外国人にも国賠法は適用される。
②「相互保証主義は、すべての国家賠償の関係に適用される」→ ✗ 外国人が被害者の場合だけ。日本人が被害者なら関係ない。
③「日本人が被害者でも、相互保証主義が当てはまる」→ ✗ 日本人被害者には関係ない。問題になるのは外国人被害者の場合。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(相互保証主義の意味)
相互保証主義に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相互保証主義とは、日本人どうしの賠償に適用される原則をいうとされる
- 相互保証主義とは、外国人には国賠法を一切適用しない原則をいうとされる
- 相互保証主義とは、私人間の契約に適用される原則をいうものとされる
- 相互保証主義は、本国が日本人に国賠を認める外国人にだけ国賠法を適用
解答は 4 だ。
相互保証主義は、外国人が被害者のとき、その本国が日本人に国家賠償を認める場合に限って、日本の国賠法を適用する特則だ。
選択肢1の「日本人どうし」、選択肢2の「一切適用しない」、選択肢3の「私人間の契約」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 外国人被害者の場面の話 |
| 2 | ✗ | 相互保証があれば適用される |
| 3 | ✗ | 私人間の契約とは別 |
| 4 | ✓ | 相互保証がある外国人に適用で正しい |
オリジナル問題2(外国人への適用)
外国人への国家賠償法の適用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 外国人にも、相互保証があれば国家賠償法が適用されるものとされる
- 外国人には、相互保証があっても国賠法は一切適用されないものとされる
- 外国人には、どんな場合でも国賠法が適用されるものとされる
- 外国人への国賠法の適用に、相互保証はまったく関係ないとされる
解答は 1 だ。
外国人にも、相互保証があれば国家賠償法が適用される。「外国人には一切適用なし」ではないぞ。
選択肢2の「一切適用されない」、選択肢3の「どんな場合でも」、選択肢4の「関係ない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 相互保証があれば適用され正しい |
| 2 | ✗ | 相互保証があれば適用される |
| 3 | ✗ | 相互保証が必要 |
| 4 | ✗ | 相互保証が適用の条件 |
オリジナル問題3(適用の場面)
相互保証主義が問題になる場面に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 相互保証主義は、日本人が被害者の場合にも当然に適用されるとされる
- 相互保証主義は、すべての国家賠償の関係に適用されるものとされる
- 相互保証主義が問題になるのは、外国人が被害者の場合に限られる
- 相互保証主義は、加害者が外国人のときだけ適用されるとされる
解答は 3 だ。
相互保証主義が問題になるのは、外国人が被害者の場合に限られる。日本人が被害者なら関係ないぞ。
選択肢1の「日本人被害者にも」、選択肢2の「すべての関係に」、選択肢4の「加害者が外国人」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 日本人被害者には関係ない |
| 2 | ✗ | 外国人被害者の場合だけ |
| 3 | ✓ | 外国人が被害者の場合に限られ正しい |
| 4 | ✗ | 被害者が外国人の場合の話 |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 外国人が被害者のとき、その本国が日本人に国賠を認める場合に限り国賠法を適用する特則。
- 🔴 外国人にも適用されうる = 相互保証があれば、外国人にも国賠法は適用される(一切適用なし、ではない)。
- 🟡 適用の場面 = 問題になるのは外国人が被害者の場合だけ。日本人被害者には関係ない。
次に学ぶ
- 国家賠償法1条 ── 相互保証主義の特則がかかる、国家賠償の中核規定。
- 国家賠償法2条 ── 営造物の瑕疵による無過失責任。国家賠償の全体像を押さえる。
- 損失補償 ── 適法な行為による損失をてん補する、国家賠償とならぶ救済。
執筆: SikakuQuest編集部