成文法と不文法とは(全体像)
法源(裁判のよりどころになる法)は、文書になっているかで2つに分かれる。
- 成文法 … 国会の議決などの手続きを経て、文書になった法。
- 不文法 … 文書にはなっていないが、ルールとして働く法。慣習法・判例法・条理。
日本は成文法主義が基本(文書になった法を中心に使う)で、不文法は補う役を果たす。ここでは、とくに不文法の一つひとつの性質を押さえる。
詳しく:不文法の3つを正確に
ここが記事の心臓部。成文法と不文法は、「不文法の慣習法・判例法・条理の性質」を正確に押さえる。
不文法の3つ
| 種類 | 中身 | 注意点 |
|---|---|---|
| 慣習法 | 社会のならわしが法として定着したもの | 公序良俗に反せず一定の要件を満たす場合に、法律と同じ効力をもつことがある |
| 判例法 | 裁判所(とくに最高裁)の判断が先例として働く | 日本では事実上の先例で、法律と同じ法的拘束力ではない |
| 条理 | 信義則・公平など物事の筋道 | 明文のルールがない場面を補う |
まず慣習法。社会のならわしが法として働くものだが、つねに法律と同じ効力になるわけではない。公序良俗に反しないことなどの一定の要件を満たした場合に、はじめて法律と同じ効力をもつ。「すべての慣習が法律同等」ではない点が狙われる。
次に判例法。日本では、最高裁の判断が事実上の先例として重んじられる。ただし、英米のように判例そのものが法律と同じ法的拘束力をもつわけではない。「重い」けれど「法律と同じ強さの拘束」ではない、という区別が大事である。
最後に条理。信義則や公平といった物事の筋道で、明文のルールがない場面の判断のよりどころになる。
わかりやすく言い換えると
要するに、不文法は「書かれていないけれど効くルール」で、種類ごとに効き方がちがうと考えるとわかりやすい。
①慣習法 … ならわしも、つまり条件を満たせば法律と同じ効力。ただし無条件ではない。
②判例法 … 過去の裁判がお手本になる。でも「法律と同じ強さで縛る」わけではない。
③条理 … ルールがない場面の筋道。最後のよりどころになる。
試験のツボ
🔴 一番出る:慣習法は条件つきで法律と同じ効力
①原則 = すべての慣習法が法律と同じ効力ではない
②要件 = 公序良俗に反せず一定の要件を満たす場合に法律と同じ効力
🔴 次に出る:判例法は事実上の先例
①日本では = 最高裁の判断が事実上の先例として働く
②注意 = 法律と同じ法的拘束力をもつわけではない
🟡 押さえると安定:成文法は文書になった法、不文法は文書になっていない法(慣習法・判例法・条理)
よくある間違い
①「すべての慣習法が当然に法律と同じ効力をもつ」→ ✗ 公序良俗に反せず一定の要件を満たした場合に限られる。
②「日本の判例法は法律と同じ法的拘束力をもつ」→ ✗ 事実上の先例として働くにとどまる。
③「不文法には慣習法しかない」→ ✗ 慣習法・判例法・条理がある。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(成文法と不文法の区別)
成文法と不文法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 成文法は文書になっていない法のことで、不文法は文書になった法のことを指すものとされている
- 成文法も不文法も、いずれも文書になった法のことで、両者を区別する意味はないものとされている
- 成文法は決められた手続きを経て文書になった法で、不文法は文書になっていない法のことをいう
- 不文法とは法律になる前の草案のことで、正式に成立すると成文法に変わるものとされている
解答は 3 である。
成文法は決められた手続きを経て文書になった法、不文法は文書になっていない法(慣習法・判例法・条理)である。
選択肢1は成文法と不文法が逆で誤り。選択肢2の「区別する意味がない」も誤りである。選択肢4の「不文法は草案のこと」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 成文法と不文法の説明が逆である |
| 2 | ✗ | 不文法は文書になっていない法である |
| 3 | ✓ | 成文法=文書、不文法=文書でない法で正しい |
| 4 | ✗ | 不文法は草案のことではない |
オリジナル問題2(慣習法の効力)
慣習法の効力に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 慣習法は、社会のならわしであればどのようなものでも、つねに法律と同じ効力をもつとされている
- 慣習法は、たとえ公序良俗に反する内容であっても、法律と同じ効力をもつものとされている
- 慣習法は、社会のならわしであっても、法律と同じ効力をもつことはまったくないとされている
- 慣習法は、公序良俗に反せず一定の要件を満たした場合に限り、法律と同じ効力をもつことがある
解答は 4 である。
慣習法は、公序良俗に反せず一定の要件を満たす場合に、法律と同じ効力をもつことがある。すべての慣習法が当然に法律と同じ効力をもつわけではない。
選択肢1の「どのようなものでもつねに」は誤り。選択肢2の「公序良俗に反しても」も誤りである。選択肢3の「まったく効力をもたない」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | すべての慣習法が当然に法律と同じ効力ではない |
| 2 | ✗ | 公序良俗に反する慣習は効力をもたない |
| 3 | ✗ | 要件を満たせば法律と同じ効力をもつことがある |
| 4 | ✓ | 公序良俗に反せず要件を満たす場合に効力で正しい |
オリジナル問題3(判例法の性格)
日本の判例法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 日本の判例法は法律よりも上の効力をもち、国会もこれに反する法律を作れないとされている
- 日本の判例法は事実上の先例として働くもので、法律と同じ強い法的拘束力をもつわけではない
- 日本では過去の判例にはまったく意味がなく、裁判官は判例を考慮することはないとされている
- 日本の判例法は、どのような場合でも下級審を法的に拘束する強い効力をもつものとされている
解答は 2 である。
日本の判例法は、最高裁の判断が事実上の先例として働くものである。ただし、法律と同じ法的拘束力をもつわけではない。
選択肢1の「法律より上の効力」は誤り。選択肢3の「判例に意味がない」も誤りである。選択肢4の「どのような場合でも法的に拘束する」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 判例法が法律より上の効力をもつわけではない |
| 2 | ✓ | 事実上の先例で、法律と同じ法的拘束力ではない |
| 3 | ✗ | 判例は先例として重んじられる |
| 4 | ✗ | つねに法的に拘束する強い効力ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 慣習法 = 公序良俗に反せず一定の要件を満たす場合に、法律と同じ効力をもつことがある(無条件ではない)。
- 🔴 判例法 = 日本では事実上の先例。法律と同じ法的拘束力ではない。
- 🟡 基本 = 成文法は文書になった法、不文法は文書になっていない法(慣習法・判例法・条理)。
次に学ぶ
- 法源 ── 成文法源の効力順位(憲法>条約>法律>命令>条例)まで含めた全体像。あわせて押さえると基礎法学が固まる。
- 法の分類 ── 公法・私法など、法をいろいろな見方で整理した区分。法源・成文法と対にして整理すると混ざらない。
執筆: SikakuQuest編集部