法源とは(全体像)
法源は、裁判のよりどころになるルールが、どんな形で存在しているかということである。「法のみなもと」と書くとおり、適用される規範の現れ方を指す。
押さえる軸は2つ。
- 成文法源 … 決められた手続きを経て文書になったもの。憲法・法律・命令・条約・条例・規則。
- 不文法源 … 文書になっていないが、ルールとして働くもの。慣習法・判例法・条理。
日本は成文法主義が原則(文書になった法を中心に使う)だが、不文法源も補充的に機能する、という関係を押さえる。
詳しく:成文法源の順位と不文法源
ここが記事の心臓部。法源は、「成文法源の効力順位」と「不文法源も法源になること」をセットで押さえる。
法源の全体像
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 成文法源 | 憲法・法律(国会)・命令(政令・省令など)・条約・条例(地方公共団体)・規則 |
| 効力の順位 | 憲法 > 条約 > 法律 > 命令 > 条例 |
| 不文法源 | 慣習法・判例法・条理 |
| 日本の原則 | 成文法主義(不文法源は補充的に働く) |
まず、成文法源の効力の順位。強い順に、憲法 > 条約 > 法律 > 命令 > 条例である。一番上が憲法で、条約は法律より上、命令(政令・省令など)は法律より下、という並びを押さえる。
次に、不文法源。日本は成文法主義が原則だが、文書になっていない慣習法・判例法・条理も、補充的に法源として働く。
- 慣習法 … 社会のならわしがルールとして定着したもの。
- 判例法 … 裁判所の判断(とくに最高裁)が、事実上の先例として働くもの。
- 条理 … 物事の筋道。明文のルールがない場面で、判断のよりどころになる。
「文書がない分野は、不文法源が穴をうめる」とイメージすると整理しやすい。
わかりやすく言い換えると
要するに、法源は「裁判で使えるルールがどんな形であるか」と考えるとわかりやすい。
①成文法源 … 紙に書かれたルール。憲法を頂点に、つまり憲法>条約>法律>命令>条例の順で強い。
②不文法源 … 書かれていないルール。慣習法・判例法・条理が、文書のない場面を補ってくれる。
③日本の原則 … 基本は書かれた法を使う(成文法主義)。不文法源は、それを補う脇役である。
試験のツボ
🔴 一番出る:成文法源の効力順位
①順番 = 憲法 > 条約 > 法律 > 命令 > 条例
②注意 = 条約は法律より上、命令は法律より下
🔴 次に出る:不文法源も補充的に法源になる
①種類 = 慣習法・判例法・条理
②位置づけ = 成文法主義が原則で、不文法源は補う役
🟡 押さえると安定:成文法源には憲法・法律・命令・条約・条例・規則がある
よくある間違い
①「日本では不文法は法源にならない」→ ✗ 慣習法・判例法・条理も補充的に法源として働く。
②「法律は憲法より強い」→ ✗ 効力は憲法が最も強く、法律はその下。
③「条約は法律より下の効力しかない」→ ✗ 条約は法律より上の効力をもつ。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(法源とは)
法源に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 法源とは法律を作る国会議員のことを指す言葉で、規範そのものを意味するわけではないとされている
- 法源とは法の存在形式のことで、文書化された成文法源と、それ以外の不文法源との二つに分けられる
- 法源とは文書化された成文法源だけを指し、慣習法や判例法は法源には含まれないものとされている
- 法源とは裁判官個人の考え方のことで、社会のならわしや判例とは関係がないものとされているのである
解答は 2 である。
法源とは法の存在形式のことで、文書になった成文法源と、それ以外の不文法源に分かれる。
選択肢1の「国会議員のこと」は誤り。選択肢3の「成文法源だけ」も誤りで、不文法源も含まれる。選択肢4の「裁判官個人の考え方」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 法源は人ではなく法の存在形式である |
| 2 | ✓ | 法の存在形式で成文法源と不文法源に分かれて正しい |
| 3 | ✗ | 不文法源も法源に含まれる |
| 4 | ✗ | 裁判官個人の考え方を指すものではない |
オリジナル問題2(効力の順位)
成文法源の効力の順位に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 成文法源の効力は、法律こそが最も強く、憲法は法律よりも下の効力しかもたないものとされている
- 成文法源の効力は、地方公共団体の条例が法律よりも上の効力をもつものとされている
- 成文法源の効力は、命令(政令・省令)が法律よりも上の効力をもつものとされている
- 成文法源の効力は、憲法が最も強く、条約・法律・命令・条例の順に弱くなっていくものである
解答は 4 である。
成文法源の効力は、憲法が最も強く、条約 > 法律 > 命令 > 条例の順に弱くなる。条約は法律より上、命令や条例は法律より下である。
選択肢1の「法律が最も強い」は誤り。選択肢2の「条例が法律より上」も誤りである。選択肢3の「命令が法律より上」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 最も強いのは法律ではなく憲法である |
| 2 | ✗ | 条例は法律より下の効力である |
| 3 | ✗ | 命令は法律より下の効力である |
| 4 | ✓ | 憲法を頂点に条約・法律・命令・条例の順で正しい |
オリジナル問題3(不文法源)
不文法源に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 日本では成文法主義が徹底されており、慣習法や判例法が法源となることは一切ないとされている
- 不文法源にあたるのは命令と条例で、慣習法や判例法は成文法源に分類されるものとされている
- 日本は成文法主義が原則だが、慣習法・判例法・条理などの不文法源も補充的に法源として働く
- 不文法源である判例法は、つねに法律とまったく同じ強さの拘束力をもつものとされている
解答は 3 である。
日本は成文法主義が原則だが、慣習法・判例法・条理などの不文法源も、補充的に法源として働く。
選択肢1の「法源となることは一切ない」は誤り。選択肢2の「慣習法・判例法は成文法源」も誤りである。選択肢4の「判例法は法律と同じ拘束力」も誤りで、事実上の先例性にとどまる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 不文法源も補充的に法源として働く |
| 2 | ✗ | 慣習法・判例法は不文法源である |
| 3 | ✓ | 成文法主義が原則で不文法源も補充的に法源で正しい |
| 4 | ✗ | 判例法は事実上の先例性で、法律と同じ拘束力ではない |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 効力の順位 = 憲法 > 条約 > 法律 > 命令 > 条例。条約は法律より上、命令・条例は下。
- 🔴 不文法源 = 慣習法・判例法・条理。成文法主義が原則だが、補充的に法源となる。
- 🟡 成文法源 = 憲法・法律・命令・条約・条例・規則。
次に学ぶ
- 法の分類 ── 公法・私法など、法をいろいろな見方で整理した区分。法源と対にして基礎法学を固める。
- 法律による行政の原理 ── 法律という法源が行政を縛る考え方。法源の効力順位の具体例として押さえると混ざらない。
執筆: SikakuQuest編集部