法の分類とは(全体像)
法の分類は、たくさんある法律を見方ごとに仲間分けしたものである。一つの法律は、見方によっていくつもの分類にあてはまる(民法は私法であり、実体法であり、一般法でもある)。
押さえる区分は4つ。
- 公法と私法 … 国と国民の関係か、私人どうしの関係か。
- 実体法と手続法 … 権利義務の中身か、それを実現する手続きか。
- 一般法と特別法 … 広く一般に使うか、特定の場面に優先して使うか。
- 強行法規と任意法規 … 当事者の合意で変えられないか、変えられるか。
詳しく:4つの区分と具体例
ここが記事の心臓部。法の分類は、区分と具体例をセットで押さえる。
法の主な分類
| 区分 | ちがい | 具体例 |
|---|---|---|
| 公法/私法 | 国と国民の関係/私人どうしの関係 | 公法=憲法・行政法/私法=民法・商法 |
| 実体法/手続法 | 権利義務の中身/実現の手続き | 実体法=民法・刑法/手続法=民事訴訟法など |
| 一般法/特別法 | 広く一般に適用/特定の場面に優先 | 一般法=民法/特別法=商法・借地借家法 |
| 強行法規/任意法規 | 合意で変えられない/変えられる | 強行法規=守るべき決まり/任意法規=合意優先 |
まず公法と私法。公法は国と国民の関係を定める法(憲法・行政法など)、私法は私人どうしの関係を定める法(民法・商法など)である。
次に実体法と手続法。実体法は権利義務の中身を定め(民法・刑法)、手続法はそれを実現する手続きを定める(民事訴訟法など)。「中身か、進め方か」で分ける。
そして最大のヤマ、一般法と特別法。広く一般に適用されるのが一般法、特定の場面に向けて作られたのが特別法で、特別法が一般法に優先して適用される。たとえば民法(一般法)に対して、商人の取引には商法(特別法)が、建物の賃貸借には借地借家法(特別法)が優先する。
最後に強行法規と任意法規。強行法規は当事者の合意で変えられない決まり、任意法規は合意があれば変えられる決まりである。
わかりやすく言い換えると
要するに、同じ法律も見る角度で呼び名が変わると考えるとわかりやすい。
①公法と私法 … 相手が国か、ふつうの人どうしかで分ける。国がからむのが公法、私人どうしが私法。
②一般法と特別法 … つまり特別なルールが優先する。ふだんは民法だが、商売の場面では商法、借家の場面では借地借家法が先に効く。
③強行法規と任意法規 … 絶対に守る決まりか、合意で変えていい決まりか。後者は「当事者で決めていいよ」というもの。
試験のツボ
🔴 一番出る:特別法は一般法に優先する
①一般法 = 広く一般に適用(民法など)
②特別法 = 特定の場面に優先(商法・借地借家法など)
🔴 次に出る:公法と私法の区別
①公法 = 国と国民の関係(憲法・行政法)
②私法 = 私人どうしの関係(民法・商法)
🟡 押さえると安定:実体法は権利義務の中身、手続法はその実現の手続き。強行法規は合意で変えられない
よくある間違い
①「一般法が特別法に優先する」→ ✗ 優先するのは特別法。民法に対して商法や借地借家法が先に効く。
②「民法は公法である」→ ✗ 民法は私人どうしの関係を定める私法。
③「任意法規は当事者の合意で変えられない」→ ✗ 合意で変えられるのが任意法規。変えられないのが強行法規。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(公法と私法)
公法と私法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 公法は私人どうしの関係を定める法で、私法は国と国民の関係を定める法であるとされている
- 公法も私法も、いずれも国と国民の関係だけを定める法で、私人どうしの関係は扱わないとされる
- 公法は国と国民の関係を、私法は私人どうしの関係を定める法であり、民法は私法に分類される
- 民法は国と国民の関係を定める公法にあたり、私人どうしの関係を扱うことはないものとされている
解答は 3 である。
公法は国と国民の関係を(憲法・行政法など)、私法は私人どうしの関係を定める法(民法・商法など)である。民法は私法にあたる。
選択肢1は公法と私法が逆で誤り。選択肢2の「私人どうしを扱わない」も誤りである。選択肢4の「民法は公法」も誤りで、民法は私法である。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 公法と私法の説明が逆である |
| 2 | ✗ | 私法は私人どうしの関係を扱う |
| 3 | ✓ | 公法=国と国民、私法=私人どうしで民法は私法で正しい |
| 4 | ✗ | 民法は公法ではなく私法である |
オリジナル問題2(一般法と特別法)
一般法と特別法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 一般法と特別法では特別法が一般法に優先して適用され、民法に対しては商法が特別法にあたる
- 一般法と特別法では一般法が優先して適用され、特別法はその後で補う関係にあるとされている
- 一般法と特別法では、つねに制定された時期が新しい方が優先して適用されるものとされている
- 一般法と特別法は適用の優先関係がなく、どちらを用いるかは当事者が自由に選べるとされている
解答は 1 である。
一般法と特別法では、特別法が優先して適用される。たとえば民法(一般法)に対して、商人の取引には商法(特別法)が優先する。
選択肢2は一般法優先としていて誤り。選択肢3の「新しい方が優先」も誤りである。選択肢4の「当事者が自由に選べる」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 特別法が優先し、商法は民法の特別法で正しい |
| 2 | ✗ | 優先するのは特別法である |
| 3 | ✗ | 優先は新旧ではなく一般法・特別法の関係で決まる |
| 4 | ✗ | 当事者が自由に選べるものではない |
オリジナル問題3(実体法と手続法)
実体法と手続法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 実体法は権利を実現する手続きを定め、手続法は権利義務の中身を定める法であるとされている
- 実体法は権利義務の具体的な中身を定め、手続法はそれを実現する手続きを定める法である
- 実体法も手続法も、どちらも権利を実現する手続きだけを定めた法であると説明されている
- 実体法と手続法はまったく同じ意味の言葉で、両者を区別する実益はないものとされている
解答は 2 である。
実体法は権利義務の中身を定め(民法・刑法など)、手続法はそれを実現する手続きを定める(民事訴訟法など)。「中身か、進め方か」で分ける。
選択肢1は実体法と手続法が逆で誤り。選択肢3の「どちらも手続きだけ」も誤りである。選択肢4の「同じ意味」も誤りである。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 実体法と手続法の説明が逆である |
| 2 | ✓ | 実体法=中身、手続法=実現の手続きで正しい |
| 3 | ✗ | 実体法は権利義務の中身を定める |
| 4 | ✗ | 両者は意味が異なり区別する実益がある |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 特別法優先 = 特別法は一般法に優先する。民法に対して商法・借地借家法が先に効く。
- 🔴 公法と私法 = 公法は国と国民の関係、私法は私人どうしの関係。民法は私法。
- 🟡 その他 = 実体法は中身・手続法は進め方。強行法規は合意で変えられない。
次に学ぶ
- 法律による行政の原理 ── 公法(行政法)の中心となる考え方。公法・私法の区別の具体例として押さえる。
- 意思表示 ── 私法(民法)の基本となる行為。公法・私法の区別の私法側の具体例として押さえると混ざらない。
執筆: SikakuQuest編集部