詐欺・強迫とは(全体像)
詐欺・強迫とは、他人の不当な働きかけによって、ゆがんだ意思表示をさせられること。
- 詐欺 … 人をだまして勘違いさせ、意思表示させる。
- 強迫 … 人をおどして怖がらせ(畏怖させ)、意思表示させる。
どちらも、本人の自由な判断がゆがめられている。そこで、だまされた人・おどされた人を守るため、その意思表示は取消できる。
ここで試験のヤマになるのが、第三者が登場したときの扱いだ。だまされて売った物が、さらに第三者に転売された場合などに、取消をその第三者にぶつけられるか。ここで詐欺と強迫の差が出る。
詳しく:第三者保護の違いをこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。詐欺・強迫は、「第三者保護の違い」と「第三者詐欺の要件」が問われやすい。
詐欺・強迫のポイント
| 論点 | 詐欺 | 強迫 |
|---|---|---|
| 意味 | だまされて意思表示 | おどされて意思表示 |
| 効果 | 取消できる | 取消できる |
| 第三者への対抗 | 善意・無過失の第三者には対抗できない | 第三者にも対抗できる |
いちばん問われるのが第三者への対抗の違い。
- 詐欺 … 取消を善意・無過失の第三者には対抗できない。だまされた人にも「うっかりだまされた」という落ち度があるので、何も知らない第三者を犠牲にはできないからだ。
- 強迫 … 取消を第三者にも対抗できる。おどされた人には落ち度がほとんどなく、より手厚く守るべきだからだ。
「詐欺も強迫も第三者に対抗できる(またはできない)」とまとめて覚えると間違える。詐欺は対抗できない/強迫は対抗できる、と区別する。
そして第三者詐欺(相手ではなく第三者にだまされた場合)。この場合は、相手方が悪意または有過失のときに取消できる。2020年の民法改正で、「相手方が悪意のときだけ」から「悪意または有過失」に広がった。
わかりやすく言い換えると
つまり、詐欺・強迫は「だまされた・おどされて、無理にさせられた約束」とイメージするとつかみやすい。どちらも取り消せる。
要するに、差が出るのは第三者が出てきたとき。だまされた人(詐欺)は、自分にも「うっかり」があるので、何も知らない第三者には取消をぶつけられない。一方、おどされた人(強迫)はほぼ落ち度がないので、第三者にも取消をぶつけられる。
「詐欺=対抗できない、強迫=対抗できる」とセットで覚えるのがコツだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:第三者への対抗の違い
①詐欺の取消は、善意・無過失の第三者には対抗できない
②強迫の取消は、第三者にも対抗できる
🔴 次に出る:第三者詐欺の要件
①第三者にだまされた場合、相手方が悪意または有過失なら取消できる
②2020年改正で「悪意のみ」から「悪意または有過失」に広がった
🟡 押さえると安定:詐欺と強迫の意味と効果
①詐欺=だまされて/強迫=おどされて意思表示
②どちらも取消できる
よくある間違い
①「詐欺も強迫も、ともに第三者に取消を対抗できる」→ ✗ 詐欺は善意・無過失の第三者に対抗できない。強迫は対抗できる。
②「第三者にだまされた場合、相手方が善意なら取消できない」→ ✗ 相手方が悪意または有過失なら取消できる(2020年改正)。
③「強迫による意思表示は無効だ」→ ✗ 取消できる(無効ではない)。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(詐欺・強迫の効果)
詐欺・強迫による意思表示の効果について、正しいものはどれか。
- 詐欺による意思表示は取消でき、強迫による意思表示ははじめから無効だとされている
- 詐欺も強迫も、どちらの意思表示も取り消すことができるものとされているのである
- 詐欺も強迫も、どちらの意思表示もはじめから当然に無効だとされているのである
- 詐欺による意思表示は無効で、強迫による意思表示は有効だとされているのである
解答は 2 である。
詐欺も強迫も、どちらの意思表示も取消できるのだよ。意思の形成過程に問題があるからである。
選択肢1「強迫は無効」、選択肢3「どちらも無効」、選択肢4「詐欺は無効」は、いずれも効果を無効とする点で誤りであろう。どちらも取消できる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 強迫も無効ではなく取消できる |
| 2 | ✓ | どちらも取消できるで正しい |
| 3 | ✗ | 無効ではなく取消できる |
| 4 | ✗ | 詐欺も無効ではなく取消できる |
オリジナル問題2(第三者への対抗)
詐欺・強迫による取消と第三者の関係について、正しいものはどれか。
- 詐欺の取消は第三者に対抗できるが、強迫の取消は対抗できないとされている
- 詐欺も強迫も、善意の第三者には取消をいっさい対抗できないとされているのである
- 詐欺も強迫も、第三者には当然に取消を対抗できるものとされているのである
- 詐欺の取消は善意・無過失の第三者に対抗できないが、強迫の取消は対抗できる
解答は 4 である。
詐欺の取消は善意・無過失の第三者に対抗できないが、強迫の取消は第三者にも対抗できるのだよ。おどされた者ほど手厚く守られる。
選択肢1は詐欺と強迫が逆で誤り。選択肢2「どちらも対抗できない」、選択肢3「どちらも対抗できる」も誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 詐欺と強迫が逆 |
| 2 | ✗ | 強迫は第三者にも対抗できる |
| 3 | ✗ | 詐欺は善意無過失の第三者に対抗できない |
| 4 | ✓ | 詐欺は対抗できない・強迫は対抗できるで正しい |
オリジナル問題3(第三者詐欺)
第三者にだまされて意思表示した場合について、正しいものはどれか。
- 第三者にだまされた場合、相手方が悪意または有過失のときに取消できるとされる
- 第三者にだまされた場合、相手方が善意・無過失でも当然に取消できるとされている
- 第三者にだまされた場合は、どのような場合も取消できないとされているのである
- 第三者にだまされた場合、相手方が悪意のときだけ取消できると今もされている
解答は 1 である。
第三者にだまされた場合、相手方が悪意または有過失のときに取消できるのだよ。2020年改正で「悪意のみ」から「悪意または有過失」に広がった。
選択肢2「相手方が善意・無過失でも取消できる」、選択肢3「どのような場合も取消できない」、選択肢4「今も悪意のときだけ」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 相手方が悪意または有過失で取消できるで正しい |
| 2 | ✗ | 相手方が善意・無過失なら取消できない |
| 3 | ✗ | 一定の場合は取消できる |
| 4 | ✗ | 改正で有過失も含まれた |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 第三者への対抗 = 詐欺は善意・無過失の第三者に対抗できない/強迫は第三者にも対抗できる。
- 🔴 第三者詐欺 = 相手方が悪意または有過失なら取消できる(2020年改正で拡大)。
- 🟡 意味と効果 = 詐欺=だまされて/強迫=おどされて。どちらも取消できる。
次に学ぶ
- 錯誤 ── 勘違いによる意思表示。同じ「取消」の仲間として整理できる。
- 虚偽表示 ── 第三者保護の要件(善意でよいか、無過失も要るか)を比べられる。
- 意思表示 ── 詐欺・強迫はその「瑕疵」の一つ。全体像から位置づけられる。
執筆: SikakuQuest編集部