共有とは(全体像)
共有とは、一つの物を、複数の人が「持分」という割合をもって共同所有する状態のこと。たとえば、兄弟3人で1つの土地を相続したような場合だ。
ここで大事なのが、「何をするか」によって必要な同意が変わること。共有物の利用・処分は、次の3つに分かれる。
- 保存行為 … 共有物の現状を維持する行為(修繕など)。各共有者が単独でできる。
- 管理行為 … 共有物を利用・改良する行為(短期の賃貸借など)。持分の価格の過半数の同意で決める。
- 変更行為 … 共有物の性質を変える行為や処分。原則として全員の同意が必要(軽微な変更は持分の過半数でよい:2023年改正)。
そして、自分の持分の処分は、これらとは別。単独でできる。
詳しく:3区分と持分処分をこの表で押さえる
ここが記事の心臓部。共有は、「3区分の同意要件」と「持分処分は単独でよい」が問われやすい。
共有物の利用・処分の区分
| 区分 | 例 | 必要な同意 |
|---|---|---|
| 保存行為 | 修繕など現状維持 | 各共有者が単独でできる |
| 管理行為 | 短期の賃貸借・利用方法の決定 | 持分の価格の過半数 |
| 変更行為 | 性質を変える行為・処分 | 原則として全員の同意 |
| 持分の処分 | 自分の持分の譲渡・抵当権設定 | 単独でできる(他の共有者の同意不要) |
いちばん引っかかるのが管理行為。「共有物を使うことを決めるには全員の同意が必要では?」と思いがちだが、管理行為は持分の過半数で足りる。全員の同意が必要なのは変更行為だ。保存・管理・変更の3区分を取り違えないこと。
そして持分の処分。自分の持分を売ったり抵当権を設定したりするのは、ほかの共有者の同意なしに単独でできる。これは「自分の取り分」をどうするかの話だから、他人の同意はいらない。共有物そのものを処分する(全員同意が必要)のとは別だ。
わかりやすく言い換えると
つまり、共有は「みんなで1つの物を持ち分けている状態」とイメージするとつかみやすい。
要するに、何をするかで必要な賛成の数が変わる。現状維持(保存)は1人でOK、使い方を決める(管理)は過半数、物を作り変える(変更)は全員——この3段階を覚えるのがコツだ。
そして、自分の持分(取り分)は自分のものだから、売るのも担保に入れるのも1人で自由。共有物まるごとを動かす(全員同意)のとは、レベルが違う話なのだ。
試験のツボ
🔴 一番出る:保存・管理・変更の3区分
①保存行為は各共有者が単独、管理行為は持分の過半数
②変更行為は原則として全員の同意(軽微な変更は過半数:2023年改正)
🔴 次に出る:持分の処分は単独でよい
①自分の持分の譲渡・抵当権設定は単独でできる
②ほかの共有者の同意は不要(共有物そのものの処分とは別)
🟡 押さえると安定:共有の意味
①数人で一つの物を持分をもって共同所有する
②兄弟で相続した土地などが典型例
よくある間違い
①「共有物の管理行為には、共有者全員の同意が必要だ」→ ✗ 管理行為は持分の過半数。全員の同意が必要なのは変更行為。
②「自分の持分を処分するにも、ほかの共有者の同意が必要だ」→ ✗ 持分の処分は単独でできる。
③「保存行為にも、持分の過半数の同意が必要だ」→ ✗ 保存行為は各共有者が単独でできる。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(3区分)
共有物の利用・処分について、正しいものはどれか。
- 保存行為も管理行為も変更行為も、すべて共有者全員の同意が必要だとされている
- 保存行為は各共有者が単独で、管理行為は持分の過半数で、変更は原則全員の同意で行う
- 保存行為も管理行為も変更行為も、すべて各共有者が単独でできるとされているのである
- 共有物の利用には、行為の区分にかかわらず持分の過半数が必要だとされている
解答は 2 である。
保存行為は各共有者が単独で、管理行為は持分の過半数で、変更行為は原則として全員の同意で行うのだよ。
選択肢1「すべて全員同意」、選択肢3「すべて単独でできる」、選択肢4「区分にかかわらず過半数」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 保存は単独、管理は過半数 |
| 2 | ✓ | 3区分の同意要件で正しい |
| 3 | ✗ | 管理は過半数、変更は全員同意 |
| 4 | ✗ | 区分ごとに要件が異なる |
オリジナル問題2(管理行為)
共有物の管理行為について、正しいものはどれか。
- 共有物の管理行為には、共有者全員の同意が必要だとされているのである
- 共有物の管理行為は、共有者の一人が単独でできるとされているのである
- 共有物の管理行為には、持分の価格の3分の2以上が必要だとされているのである
- 共有物の管理行為は、持分の価格の過半数の同意で決めるものとされている
解答は 4 である。
共有物の管理行為は、持分の価格の過半数の同意で決めるのだよ。全員の同意が必要なのは変更行為である。
選択肢1「全員の同意」、選択肢2「一人で単独」、選択肢3「3分の2以上」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 全員同意は変更行為 |
| 2 | ✗ | 単独でできるのは保存行為 |
| 3 | ✗ | 3分の2以上ではない |
| 4 | ✓ | 持分の過半数で正しい |
オリジナル問題3(持分の処分)
共有者による自分の持分の処分について、正しいものはどれか。
- 自分の持分の譲渡や抵当権設定は、他の共有者の同意なく単独でできるのだ
- 自分の持分の処分には、他の共有者全員の同意が必要だとされているのである
- 自分の持分の処分には、持分の価格の過半数の同意が必要だとされている
- 自分の持分は、そもそも処分することができないものとされているのである
解答は 1 である。
自分の持分の譲渡や抵当権設定は、他の共有者の同意なく単独でできるのだよ。共有物そのものの処分(全員同意)とは別である。
選択肢2「全員の同意」、選択肢3「過半数の同意」、選択肢4「処分できない」は、いずれも誤りであろう。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 持分の処分は単独でできるで正しい |
| 2 | ✗ | 持分処分に全員同意は不要 |
| 3 | ✗ | 過半数も不要 |
| 4 | ✗ | 持分は処分できる |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 3区分 = 保存行為(各自単独)/管理行為(持分の過半数)/変更行為(原則全員の同意)。
- 🔴 持分の処分 = 単独でできる(他の共有者の同意不要)。共有物そのものの処分とは別。
- 🟡 共有の意味 = 数人で一つの物を持分をもって共同所有する。
次に学ぶ
- 共有物分割 ── 共有関係を解消する手続。分割請求権や不分割特約を押さえられる。
- 物権変動 ── 持分の譲渡も物権変動。意思主義・対抗要件とつながる。
- 相隣関係 ── 隣り合う土地の調整ルール。物権の使い方の一場面。
執筆: SikakuQuest編集部