保証債務とは(全体像)
保証債務とは、本人(主たる債務者)が債務を果たさないときに、保証人が代わりに果たす債務のこと。
身近に言うと、友人AがB銀行から100万円を借り、自分がその保証人になったとする。Aがちゃんと返せば自分の出番はない。けれどAが返さないと、B銀行は自分に「代わりに払って」と言える。これが保証債務。
押さえる入口は2つ。
- 保証はおまけの債務 … 本人の債務(主債務)があって初めて成り立つ。主債務が消えれば保証債務も消える。
- 契約は書面が必須 … 軽い気持ちで保証人になって苦しまないよう、書面(電子データでも可)でしないと効力が生じない。口約束では保証人にならない。
詳しく:3つの抗弁と「連帯保証」との違い
ここが心臓部。ふつうの保証人は、いきなり全額を負わされないよう3つの抗弁(言い分)をもっている。一方、連帯保証になると、その3つを全部もたない。
保証人がもつ3つの抗弁と連帯保証の違い
| 抗弁(言い分) | 内容(やさしく言うと) | ふつうの保証 | 連帯保証 |
|---|---|---|---|
| 催告の抗弁 | 「まず本人に請求して」と言える | ○ ある | ✗ ない |
| 検索の抗弁 | 「本人に財産があるならそちらから取って」と言える | ○ ある | ✗ ない |
| 分別の利益 | 保証人が複数なら頭数で分けた分だけ負う | ○ ある | ✗ ない |
つまり連帯保証は3つの抗弁がすべてないぶん、本人とほぼ同じ重さ。債権者は本人を飛ばして、いきなり連帯保証人に全額を請求できる。だから実務でよく使われ、試験でも「連帯保証=抗弁なし」が頻出。
さらに2020年改正で、保証人を守るしくみが加わった。
2020年改正で加わった保証人保護
| しくみ | ポイント |
|---|---|
| 個人根保証の極度額 | 個人が将来分まで保証する根保証は、上限額(極度額)を定めないと効力が生じない |
| 事業用融資の公正証書 | 事業のための借金を個人が保証するには、原則として公正証書が必要 |
わかりやすく言い換えると
要するに、保証人は「本人の代わりに払う約束をした人」。ただしふつうの保証人には「まず本人に言って/本人の財産から取って」という言い分(抗弁)がある。
ところが連帯保証になると、この言い分が消える。だから連帯保証は「本人とほぼ同格のもう一人の借り手」というイメージで覚えるとラク。
試験のツボ
🔴 一番出る:保証契約は書面が必須
口約束では効力が生じない。書面(電子データでも可)が要る。
🔴 次に出る:連帯保証は3つの抗弁がない
①催告の抗弁(まず本人に請求して)
②検索の抗弁(本人の財産から取って)
③分別の利益(保証人が複数なら頭数で分ける)
これらはふつうの保証人にはあるが、連帯保証人にはない。
🟡 押さえると安定:2020年改正の保証人保護
個人根保証は極度額の定めが必要。事業用融資の個人保証は原則として公正証書が必要。
よくある間違い
①「保証契約は口約束でも成立する」→ ✗ 書面(電子データでも可)でしないと効力が生じない。
②「連帯保証人も『まず本人に請求して』と言える」→ ✗ 連帯保証人には催告・検索の抗弁がない。いきなり全額を請求されうる。
③「個人の根保証は上限を決めなくても有効」→ ✗ 2020年改正で、個人根保証は極度額を定めないと効力が生じない。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(保証契約の成立)
保証契約の成立に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 保証契約は当事者が口頭で合意すれば成立し、書面を作らなくても効力が生じるものとされる
- 保証契約は主たる債務者と保証人との間で結べば、債権者の関与なく当然に成立するとされる
- 保証契約は、書面(電磁的記録を含む)でしなければ、その効力を生じないものとされている
- 保証契約は本人が承諾しさえすれば、保証人本人の意思に関係なく有効に成立するとされる
解答は 3 である。
保証契約は、書面(電子データを含む)でしなければ効力が生じないのだ。軽い気持ちで重い責任を背負わぬよう、形を整えさせる趣旨なのだよ。
選択肢1は「口頭で成立」とする点が誤りだ。選択肢2・4も誤りで、保証契約は保証人と債権者の間で、保証人自身の意思に基づいて結ばれる。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 口頭では効力が生じない。書面が必要 |
| 2 | ✗ | 保証契約は債権者と保証人の間の契約 |
| 3 | ✓ | 書面でしないと効力を生じないで正しい |
| 4 | ✗ | 保証人本人の意思に基づく必要がある |
オリジナル問題2(保証人の抗弁)
ふつうの保証人がもつ抗弁に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- ふつうの保証人は、債権者から請求されても一切の言い分をもたず、直ちに全額を払う義務を負う
- ふつうの保証人は、まず主たる債務者に請求するように求める催告の抗弁を主張することができる
- ふつうの保証人は、主たる債務者に十分な財産があっても、それを理由に支払いを拒めないとされる
- ふつうの保証人は、何人いても各自が全額を負い、頭数で分けるという扱いは認められないとされる
解答は 2 だ。
ふつうの保証人には、催告の抗弁(まず本人に請求して、と言える)があるのだ。さらに検索の抗弁や分別の利益もあるのだよ。
選択肢1は「一切の言い分をもたない」とする点が誤りだ。選択肢3は検索の抗弁、選択肢4は分別の利益を否定しており、いずれも誤り。これらはふつうの保証人にはある。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 催告・検索などの抗弁をもつ |
| 2 | ✓ | 催告の抗弁を主張できるで正しい |
| 3 | ✗ | 検索の抗弁で支払いを拒める場合がある |
| 4 | ✗ | 保証人が複数なら分別の利益がある |
オリジナル問題3(連帯保証の特徴)
連帯保証に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 連帯保証人も、ふつうの保証人と同じく催告の抗弁や検索の抗弁を主張できるものとされている
- 連帯保証では、債権者は必ず先に主たる債務者へ請求しなければならないものとされている
- 連帯保証人が複数いる場合は、当然に頭数で分けた分だけを負えばよいものとされている
- 連帯保証人は催告・検索の抗弁をもたず、債権者はいきなり全額を請求することができる
解答は 4 である。
連帯保証人は、催告・検索の抗弁をもたないのだ。だから債権者は本人を飛ばして、いきなり連帯保証人に全額を請求できるのだよ。
選択肢1は「抗弁を主張できる」とする点が誤りだ。選択肢2の「先に本人へ請求が必要」、選択肢3の「頭数で分ける」も誤りで、連帯保証では分別の利益もない。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 連帯保証人に催告・検索の抗弁はない |
| 2 | ✗ | 先に本人へ請求する必要はない |
| 3 | ✗ | 連帯保証には分別の利益がない |
| 4 | ✓ | 抗弁がなく全額をいきなり請求できるで正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 保証債務 = 本人が払わないとき代わりに払う債務。契約は書面でしないと効力が生じない(口約束は不可)。
- 🔴 連帯保証は3つの抗弁がない = 催告・検索・分別の利益をすべてもたず、いきなり全額を請求されうる。本人とほぼ同格。
- 🟡 2020年改正の保証人保護 = 個人根保証は極度額が必要、事業用融資の個人保証は原則公正証書が必要。
次に学ぶ
- 連帯債務 ── 複数人が各自全額を負うしくみ。連帯保証と名前が似ているので、違いをセットで押さえる。
- 債務不履行 ── 本人が債務を果たさない場面の土台。保証はこの「果たさないとき」に発動する。
- 損害賠償 ── 債務が果たされないときに生じる責任。保証人が負う中身を理解する助けになる。
執筆: SikakuQuest編集部