不法行為とは?使用者責任と時効

公開: 更新: カテゴリ: 民法

30秒で結論

不法行為とは(全体像)

不法行為とは、わざと、または不注意で他人の権利や利益を傷つけた人が、それによって生じた損害を賠償する責任を負うこと。

身近に言うと、車の運転を誤って人にけがをさせれば、加害者はその治療費などを賠償しなければならない。約束(契約)がなくても、損害を与えれば責任が生じるのが、契約違反(債務不履行)との違い。

成立には、次の5つの要件がそろう必要がある。


詳しく:使用者責任と時効

ここが心臓部。一般のルールに加え、雇い主が負う「使用者責任」と、賠償を求められる期間(時効)が問われる。

使用者責任(従業員のミスで雇い主も責任)

誰が責任を負う?内容
従業員(被用者)本人自分の不法行為として責任を負う
雇い主(使用者)従業員が仕事の中で与えた損害について責任を負う
両者の関係連帯して責任を負い、雇い主は本人に求償できる

従業員が仕事中に他人へ損害を与えたとき、被害者は従業員本人にも雇い主にも賠償を求められる。雇い主は被害者に払ったあと、本人に対して「立て替えた分を払って」と求償できる。被害者を手厚く守るためのしくみ。

次に「時効」。賠償を求められる期間には限りがある。

不法行為の損害賠償を求められる期間

起算点期間
損害と加害者を知った時から3年(人の生命・身体の侵害は5年)
不法行為の時から20年

被害者が「損害と加害者」を知った時から3年、または不法行為の時から20年で、賠償を求める権利は時効にかかる。人の生命・身体を傷つけた場合は、知った時からの期間が5年に延びる(被害者を厚く守るため)。

わかりやすく言い換えると

つまり、不法行為は「与えた損害は埋めなさい」というルール。契約がなくても、わざと・不注意で他人を傷つければ責任が生じる。

使用者責任は「従業員の仕事中のミスは、雇い主も一緒に責任」。被害者は払える相手から取れて、雇い主はあとで本人に求償する。要するに「被害者を取りこぼさない」しくみ、と覚えるとラク。


試験のツボ

🔴 一番出る:一般不法行為の5要件

①故意または過失

②権利・利益の侵害

③損害の発生

④因果関係

⑤責任能力

🔴 次に出る:使用者責任

従業員が仕事の中で与えた損害は、雇い主も責任を負う。本人も責任を負い、両者は連帯。雇い主は本人に求償できる。

🟡 押さえると安定:時効は3年・20年

知った時から3年(生命・身体は5年)、不法行為の時から20年。


よくある間違い

「契約がなければ損害賠償の責任は生じない」→ ✗  契約がなくても、故意・過失で損害を与えれば不法行為責任が生じる。

「使用者責任があると、従業員本人は責任を負わない」→ ✗  本人も責任を負う。雇い主と連帯し、雇い主は本人に求償できる。

「不法行為の損害賠償はいつまでも請求できる」→ ✗  知った時から3年、不法行為の時から20年で時効にかかる。


試験での出題パターン

実際の問題でたしかめてみよう。

オリジナル問題1(一般不法行為の要件)

📝 オリジナル問題 1 一般不法行為の要件

一般の不法行為の要件に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不法行為は、加害者に故意がある場合にのみ成立し、不注意では決して成立しないとされている
  2. 不法行為は、契約関係にある当事者の間でしか成立しないものとされている
  3. 不法行為は、損害が実際に生じていなくても、行為さえあれば当然に成立するものとされる
  4. 不法行為は、故意か過失・権利の侵害・損害・因果関係・責任能力がそろったときに成立する
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 4 である。

不法行為は、故意か過失・権利の侵害・損害・因果関係・責任能力の5つがそろって成立するのだ。ひとつでも欠ければ成立しないのだよ。

選択肢1は「故意のみ」とする点が誤りで、過失でも成立する。選択肢2の「契約関係が必要」、選択肢3の「損害がなくても成立」も誤りだ。

選択肢判定理由
1過失でも成立する
2契約関係がなくても成立する
3損害の発生が必要
45要件がそろって成立で正しい

オリジナル問題2(使用者責任)

📝 オリジナル問題 2 使用者責任

使用者責任に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 使用者責任が認められると、損害を与えた従業員本人は責任を負わなくなるものとされている
  2. 使用者責任は、従業員が仕事とまったく無関係に与えた損害についても当然に生じるものとされる
  3. 従業員が仕事の中で与えた損害については雇い主も責任を負い、雇い主は本人に対して求償できる
  4. 使用者責任では、被害者は雇い主にだけ賠償を求められ、従業員本人には求められないとされる
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 3 だ。

従業員が仕事の中で与えた損害は、雇い主も責任を負うのだ。本人も責任を負い、両者は連帯し、雇い主はあとで本人に求償できるのだよ。

選択肢1は「本人は責任を負わない」とする点が誤りだ。選択肢2の「仕事と無関係でも生じる」、選択肢4の「本人には求められない」も誤り。

選択肢判定理由
1従業員本人も責任を負う
2仕事の中での損害が対象
3雇い主も責任を負い本人に求償できるで正しい
4本人にも賠償を求められる

オリジナル問題3(時効)

📝 オリジナル問題 3 時効

不法行為の損害賠償を求められる期間に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不法行為の損害賠償は、期間の制限がなく、いつまでも請求できるものとされている
  2. 不法行為の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年で時効にかかる
  3. 不法行為の損害賠償は、損害と加害者を知った時から10年だけで請求できるものとされている
  4. 不法行為の損害賠償は、行為の時から3年が過ぎると一切請求できなくなるものとされている
シビヒュドラ
シビヒュドラ 解答・解説

解答は 2 である。

不法行為の損害賠償は、知った時から3年行為の時から20年で時効にかかるのだ。人の生命・身体を傷つけた場合は、知った時からの期間が5年に延びるのだよ。

選択肢1の「期間の制限がない」、選択肢3の「知った時から10年」、選択肢4の「行為の時から3年」は、いずれも誤りだ。

選択肢判定理由
13年・20年の期間制限がある
2知った時から3年・行為の時から20年で正しい
3知った時からは3年(生命身体は5年)
4行為の時からは20年

まとめ

押さえどころ

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執筆: SikakuQuest編集部

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