不服申立前置とは(全体像)
不服申立前置とは、取消訴訟を起こす前に、まず審査請求などの不服申立てを経ておかなければならないという制度のこと。「先に行政の中で争ってから、裁判へ」という順番を求めるしくみだ。
ただし、これは原則ではなく例外。原則は自由選択主義で、不服申立てと取消訴訟のどちらを使うかは原告が自由に選べる。
- 原則(自由選択主義) … 不服申立てと取消訴訟を、原告が自由に選べる。
- 例外(前置主義) … 個別の法律に定めがある場合だけ、先に不服申立てを経る必要がある。
つまり、「必ず先に不服申立てを」ではない。前置が要るのは、法律でそう決まっている一部の場面だけだ。
詳しく:前置が必要な場合と、その例外
ここが心臓部。原則(自由選択)と前置の例外、さらにその例外を押さえる。
原則と例外
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 原則(自由選択主義) | 不服申立てと取消訴訟を自由に選べる |
| 例外(前置主義) | 個別の法律に定めがある場合だけ、先に不服申立てを経る |
まず前置が必要な場面の限定。前置主義が当てはまるのは、個別の法律に明文の定めがある場合だけ。すべての処分で前置が必要なわけではない。「昔は前置が広かった」というイメージのまま、「どの処分も先に不服申立て」と思い込まないこと。近年は前置が必要な場面はかなり減っている。
次に、前置が必要なときでも使える例外の例外だ。
前置が必要でも、裁決を待たず訴訟できる場合
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 裁決が遅い | 審査請求から3か月たっても裁決がないとき |
| 緊急の必要 | 急いで救済を受ける必要があるとき |
| 正当な理由 | その他、裁決を経ないことに正当な理由があるとき |
前置が必要な場合でも、審査請求から3か月たっても裁決が出ないときや、緊急の必要があるときなどは、裁決を待たずに取消訴訟を起こせる。前置だからといって、いつまでも裁決待ちで止められるわけではない。
わかりやすく言い換えると
つまり不服申立前置は「原則は自由に選べる、例外で先に不服申立てが要る場合がある」という話。前置が要るのは法律に定めがある場面だけ。しかも前置でも、裁決が遅いときなどは待たずに訴訟できる。
要するに押さえどころは2つ。①原則は自由選択主義で、前置は個別の法律に定めがある場合だけの例外、②前置でも、3か月裁決がないときや緊急のときなどは裁決を待たず訴訟できる。
試験のツボ
🔴 一番出る:原則は自由選択主義
①原則は、不服申立てと取消訴訟を自由に選べる
②前置が要るのは、個別の法律に定めがある場合だけ
🔴 次に出る:前置が必要でも訴訟できる場合
3か月たっても裁決がないとき・緊急の必要があるときなどは、裁決を待たず訴訟できる。
🟡 押さえると安定:前置の縮小
近年は前置が必要な場面が減り、自由選択主義が一層徹底されている。
よくある間違い
①「すべての処分について、不服申立前置が必要である」→ ✗ 原則は自由選択。前置が要るのは、個別の法律に定めがある場合だけ。
②「前置が必要なら、どんな場合でも裁決を待たねばならない」→ ✗ 3か月裁決がないときや緊急のときなどは、裁決を待たず訴訟できる。
③「前置主義は、完全に廃止された」→ ✗ 大きく減ったが、税法など一部の場面では残っている。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(原則は自由選択主義)
不服申立てと取消訴訟の関係に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 取消訴訟は、つねに審査請求を経た後でなければ提起できないものとされる
- 取消訴訟と不服申立ては、原則として原告が自由に選択できるとされる
- 取消訴訟は、不服申立てをすると一切提起できなくなるものとされる
- 不服申立てと取消訴訟は、つねに同時に提起しなければならないとされる
解答は 2 だ。
原則は自由選択主義で、不服申立てと取消訴訟は、原告が自由に選べる。前置はあくまで例外だぞ。
選択肢1の「つねに審査請求が先」、選択肢3の「訴訟できなくなる」、選択肢4の「つねに同時」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 前置は例外で原則ではない |
| 2 | ✓ | 原則は自由選択主義で正しい |
| 3 | ✗ | 不服申立てをしても訴訟できる |
| 4 | ✗ | 同時提起が必要なわけではない |
オリジナル問題2(前置が必要な場合)
不服申立前置が適用される範囲に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 不服申立前置は、すべての処分に当然に適用されるものとされている
- 不服申立前置は、原告が望めばどの処分にも適用できるとされる
- 不服申立前置は、個別の法律に定めがある場合にかぎり適用される
- 不服申立前置は、法律の定めがなくても広く適用されるとされる
解答は 3 だ。
不服申立前置が適用されるのは、個別の法律に定めがある場合だけだ。すべての処分に当然に当てはまるわけではないぞ。
選択肢1の「すべての処分」、選択肢2の「原告が望めば」、選択肢4の「定めがなくても」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | すべての処分ではない |
| 2 | ✗ | 原告の希望で決まるのではない |
| 3 | ✓ | 個別の法律に定めがある場合だけで正しい |
| 4 | ✗ | 法律の定めが必要 |
オリジナル問題3(前置が必要でも訴訟できる場合)
前置が必要な場合の例外に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 前置が必要でも、3か月たっても裁決がないなどのときは訴訟できる
- 前置が必要なら、どんな場合でも裁決を待たなければならないものとされる
- 前置が必要な場合、緊急のときでも訴訟は提起できないとされる
- 前置が必要でも、原告は理由なく裁決を無視して訴訟できるとされる
解答は 1 だ。
前置が必要でも、3か月たっても裁決がないときや緊急の必要があるときなどは、裁決を待たずに訴訟できる。前置でも止められっぱなしにはならないぞ。
選択肢2の「どんな場合でも裁決待ち」、選択肢3の「緊急でも不可」、選択肢4の「理由なく無視」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 3か月裁決なし等は裁決を待たず訴訟でき正しい |
| 2 | ✗ | 例外で裁決を待たず訴訟できる |
| 3 | ✗ | 緊急の必要があるときは訴訟できる |
| 4 | ✗ | 理由なくではなく要件がある |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味と原則 = 取消訴訟の前に不服申立てを経る制度。ただし原則は自由選択主義。
- 🔴 前置の限定 = 前置が要るのは、個別の法律に定めがある場合だけ。
- 🟡 前置でも訴訟できる場合 = 3か月裁決がないときや緊急のときなどは、裁決を待たず訴訟できる。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部