営造物の設置管理の瑕疵とは(全体像)
営造物の設置管理の瑕疵とは、その営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。国家賠償法2条で、国などが賠償責任を負うかどうかの決め手になる要件だ。
ここで大事なのが、客観的に判断されること。「管理者が不注意だったか」という主観は問わない。通常備えているべき安全性が、実際に欠けていたかを、客観的にみる。これが、過失責任の1条と違う、無過失責任の2条らしいところだ。
つまり、「管理者が悪かったか」ではなく、「営造物が安全だったか」が基準になる。
詳しく:総合的な考慮と、機能的瑕疵
ここが心臓部。判断のしかた(総合考慮)と、機能的瑕疵まで含むことを押さえる。
瑕疵の判断で考慮すること
| 考慮する事情 | 例 |
|---|---|
| 営造物の種類・用途 | 道路か河川か、どんな目的か |
| 使用状況 | どのように使われているか |
| 設置場所の環境 | 周囲の状況、立地など |
まず総合的な考慮。瑕疵があるかどうかは、営造物の種類・用途・使用状況・設置場所の環境などを総合的にみて判断する。一律・形式的に決めるのではなく、その営造物の事情をふまえて、安全性を欠いていたかを評価する。
次に、試験でよく問われる機能的瑕疵だ。
2種類の瑕疵
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 物的瑕疵 | 営造物そのものの欠陥(落石防止の不備など) |
| 機能的瑕疵(供用関連瑕疵) | 使用による被害(空港の騒音など) |
瑕疵には、営造物そのものの欠陥(物的瑕疵)だけでなく、その営造物を使うことによって周囲に生じる被害(機能的瑕疵)も含まれる。たとえば、空港の騒音で周辺住民が被害を受けるような場合だ。「物の状態の欠陥だけ」が瑕疵ではない、という点が重要だ。
わかりやすく言い換えると
つまり設置管理の瑕疵は「営造物が通常備えるべき安全性を欠いていたか」を、客観的に・総合的にみる要件。物そのものの欠陥だけでなく、騒音などの使用による被害(機能的瑕疵)も含む。
要するに押さえどころは2つ。①瑕疵は通常有すべき安全性を欠くことで、客観的に・諸事情を総合して判断する(主観的注意義務違反は不要)、②物的瑕疵だけでなく、騒音などの機能的瑕疵も瑕疵に含まれる。
試験のツボ
🔴 一番出る:客観的に判断(通常有すべき安全性)
①瑕疵とは、通常有すべき安全性を欠いていること
②管理者の主観的な注意義務違反は不要。客観的に判断する
🔴 次に出る:機能的瑕疵も含む
物的瑕疵だけでなく、騒音などの使用による被害(機能的瑕疵)も瑕疵に含まれる。
🟡 押さえると安定:総合的な考慮
営造物の種類・用途・使用状況・環境などを総合的に考えて判断する。
よくある間違い
①「瑕疵は、営造物そのものの物的な欠陥に限られる」→ ✗ 騒音などの使用による被害(機能的瑕疵)も含まれる。
②「瑕疵は、管理者の主観的な注意義務違反で判断される」→ ✗ 客観的に、通常有すべき安全性を欠いていたかで判断する。
③「瑕疵は、営造物の種類だけをみて形式的に判断する」→ ✗ 種類・用途・使用状況・環境などを総合的に考慮して判断する。
試験での出題パターン
実際の問題でたしかめてみよう。
オリジナル問題1(瑕疵の意味)
営造物の設置管理の瑕疵に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 設置管理の瑕疵とは、管理者がわざと損害を与えることをいうものとされる
- 設置管理の瑕疵とは、管理者の主観的な落ち度のことだけをいうとされる
- 設置管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていること
- 設置管理の瑕疵とは、私人の所有物の欠陥をいうものとされる
解答は 3 だ。
設置管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることだ。管理者の不注意は問わず、客観的に判断するぞ。
選択肢1の「わざと損害」、選択肢2の「主観的な落ち度だけ」、選択肢4の「私人の所有物」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 故意は要件ではない |
| 2 | ✗ | 客観的に判断する |
| 3 | ✓ | 通常有すべき安全性を欠くことで正しい |
| 4 | ✗ | 公の営造物の話 |
オリジナル問題2(総合的な考慮)
瑕疵の判断方法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 瑕疵は、営造物の種類・用途・使用状況・環境などを総合的に考える
- 瑕疵は、営造物の種類だけをみて、形式的に判断するものとされている
- 瑕疵は、管理者の主観的な注意義務違反だけで判断されるとされる
- 瑕疵は、損害の大きさだけで決まるものとされている
解答は 1 だ。
瑕疵は、営造物の種類・用途・使用状況・環境などを総合的に考えて判断する。形式的・一律には決めないぞ。
選択肢2の「種類だけ形式的に」、選択肢3の「主観的な注意義務違反だけ」、選択肢4の「損害の大きさだけ」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ | 諸事情を総合的に考慮で正しい |
| 2 | ✗ | 種類だけで形式的に決めない |
| 3 | ✗ | 客観的に判断する |
| 4 | ✗ | 損害の大きさだけでは決まらない |
オリジナル問題3(機能的瑕疵)
瑕疵に含まれる範囲に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 瑕疵は、営造物そのものの物的な欠陥に限られるものとされる
- 騒音などの被害は、設置管理の瑕疵にはまったく当たらないとされる
- 機能的瑕疵は、国家賠償法ではおよそ認められないものとされる
- 物的な瑕疵だけでなく、騒音などの機能的瑕疵も瑕疵に含まれる
解答は 4 だ。
瑕疵には、物そのものの欠陥(物的瑕疵)だけでなく、騒音などの使用による被害(機能的瑕疵)も含まれる。物だけ、と思い込むなよ。
選択肢1の「物的な欠陥に限られる」、選択肢2の「騒音は当たらない」、選択肢3の「機能的瑕疵は認められない」は、いずれも誤りだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ | 機能的瑕疵も含まれる |
| 2 | ✗ | 騒音被害も瑕疵にあたりうる |
| 3 | ✗ | 機能的瑕疵も認められる |
| 4 | ✓ | 物的瑕疵だけでなく機能的瑕疵も含み正しい |
まとめ
押さえどころ
- 🔴 意味 = 営造物が通常有すべき安全性を欠いていること。客観的に判断する(主観的注意義務違反は不要)。
- 🔴 機能的瑕疵も含む = 物的瑕疵だけでなく、騒音などの使用による被害(機能的瑕疵)も含む。
- 🟡 総合的な考慮 = 営造物の種類・用途・使用状況・環境などを総合的に考えて判断する。
次に学ぶ
執筆: SikakuQuest編集部