まず——「やめとけ」の声を、否定しない
最初に、大切なことをお伝えします。ここでお伝えしたいのは、「やめとけなんて気にするな」と、その声を頭から否定することではありません。
「やめとけ」と言う人には、たいてい、その人なりの実体験や理由があります。実際にうまくいかなかった人もいるでしょう。だから、その声を「ただのネガティブだ」と切り捨てるのは、かえって危険です。
正直なところ、大事なのは、否定でも鵜呑みでもなく、「なぜそう言われるのか」を冷静に知ること。理由が分かれば、それが自分にとって本当に壁になるのか、それとも避けられるものなのかが、判断できるようになります。
つまり、「やめとけ」という言葉に振り回されるのではなく、その中身を見極める。それが、後悔しない選択への第一歩なんです。
それに、「やめとけ」と言われる資格は、行政書士だけではありません。むしろ、人気があって挑戦する人が多い資格ほど、うまくいかなかった声も多く集まります。注目されているからこそ、ネガティブな言葉も目につく。そう考えると、「やめとけ」が多いことは、それだけ多くの人が関心を持っている証でもあるんです。では、その理由を、ひとつずつ見ていきましょう。
なぜ「やめとけ」と言われるのか
「行政書士はやめとけ」と言われる背景には、いくつかの現実的な理由があります。目をそらさず、正面から見ていきます。
ひとつは、「資格を取っただけでは、すぐに食べていけるわけではない」こと。行政書士は独立開業型の資格です。会社員のように、合格すれば自動的に給料が入る、という働き方ではありません。開業して、仕事を得て、はじめて収入になります。ここを知らずに「取れば安泰」と思うと、現実とのギャップに苦しみます。
ふたつ目は、「営業や経営の力も必要になる」こと。法律の知識があっても、お客さんに見つけてもらえなければ、仕事は来ません。独立する以上、自分という事務所をどう知ってもらうか、という工夫が欠かせないんです。
そして三つ目は、「分野によって仕事の取りやすさが違う」こと。行政書士の扱う書類は一万種を超えると言われますが、どの分野を選ぶかで、景色は大きく変わります。何も決めずに開業して、立ち行かなくなる人もいます。
「やめとけ」の多くは、資格そのものの否定ではない。「準備なく飛び込むと苦労する」という警告なのだ。理由を知れば、それは避けられる落とし穴だと分かるのである。
こうして見ると、「やめとけ」の理由の多くは、資格そのものが悪いというより、「準備なく飛び込むと苦労する」という警告だと分かります。言い換えれば、これらは前もって知っておけば、手を打てるものばかり。知らずにぶつかるか、知ったうえで備えるか。その違いが、後の明暗を分けるんです。
それは「全員が食えない」という意味ではない
ここが、いちばん大事なところです。「やめとけ」「食えない」という言葉を聞くと、まるで全員が失敗するかのように感じます。でも、それは事実ではありません。
現実には、行政書士として安定して活躍している人も、たくさんいます。廃業していく人がいる一方で、長く続けている人もいる。その差は、才能ではなく、「どんな分野を選び、どう動いたか」にあることが多いんです。
わかりやすく言い換えると、「食える・食えない」は、資格そのものではなく、使い方で決まる、ということ。同じ資格を持っていても、準備して動いた人と、何もせず待っていた人とでは、結果が変わって当然なんです。
たとえば、行政法の行政行為に関わる許認可の分野は、企業からの需要が安定しているとも言われます。どの分野に身を置くかで、仕事の流れは大きく変わる。だから、「行政書士は食えない」と一括りにするのは、正確ではないんです。
もちろん、「やれば誰でも食えるようになる」と保証することもできません。収入には個人差が大きく、努力や工夫しだいで、結果は幅広く変わります。だからこそ、「食える・食えないは、選ぶ業務と動き方しだい」という、現実的な見方が大切なんです。
「やめとけ」が当てはまる人、当てはまらない人
同じ「やめとけ」という言葉でも、それが当てはまる人と、当てはまらない人がいます。
当てはまりやすいのは、「資格さえ取れば、何もしなくても安定した収入が入る」と思っている人。残念ながら、独立型の資格に、そんな魔法はありません。この期待のまま飛び込むと、「話が違う」となりがちです。
一方、当てはまらないのは、「資格はスタート地点で、そこからどう動くかが勝負だ」と理解している人。営業や分野選びも含めて取り組む覚悟がある人にとっては、「やめとけ」の多くは、乗り越えられる課題にすぎません。
大事なのは、どちらが偉いという話ではありません。ただ、心構えひとつで、同じ「やめとけ」が、まったく違う意味を持つということです。だからこそ、この言葉に出会ったら、「自分はどう備えるか」と読み替えてみてください。警告を、準備のためのヒントに変えられたとき、それはもう、あなたを止める言葉ではなくなります。
つまり、「やめとけ」を自分に当てはめる前に、「自分はどちらのタイプだろう」と問うてみる。それだけで、言葉の重さは、ずいぶん変わってきます。
ネットの「やめとけ」との、正しい付き合い方
ここで、もうひとつ知っておいてほしいことがあります。それは、ネット上の情報には、かたよりがあるということです。
人は、うまくいったときより、うまくいかなかったときのほうが、声を上げやすいものです。満足している人は、わざわざ「行政書士になってよかった」と書き込まないことが多い。だから、検索すると、ネガティブな声のほうが目立って見えるんです。
これは、行政書士に限った話ではありません。どんな資格でも、どんな仕事でも、「やめとけ」の声は探せば見つかります。要するに、声の大きさと、実態の割合は、いつも一致するとは限らないということ。満足して働いている人の多くは、静かに、ただ仕事を続けているだけなんです。
だから、ネットの「やめとけ」を見て心が揺れたときは、こう考えてみてください。「これは全体のうち、どれくらいの人の声なんだろう」と。一歩引いて眺めるだけで、情報に飲み込まれずに済みます。
「やめとけ」に飲まれず、後悔しないために
最後に、「やめとけ」の声に押しつぶされず、後悔しない選択をするための心構えを。
大切なのは、「なぜ自分は行政書士を目指すのか」という、自分の目的を持つことです。目的がはっきりしていれば、外からの「やめとけ」に、いちいち揺さぶられなくなります。他人の声ではなく、自分の理由を軸にする。それが、いちばんの支えになります。
そして、もし挑戦の途中で心が折れそうになっても、それはあなたが弱いからではありません。「やめとけ」の声を浴び続ければ、誰だって気持ちが沈みます。そんなときは、大きな目標を見るのをやめて、「今日の一問」だけに目を向けてみてください。
小さな「できた」を積み重ねることが、折れそうな心を立て直す、いちばん確かな方法です。一問解けた、一章読めた。その小さな手応えが、「自分にもできる」という感覚を、少しずつ取り戻させてくれます。
人は、ゴールが遠く見えると、その距離に圧倒されて動けなくなることがあります。「やめとけ」の声は、その遠さをさらに大きく感じさせます。でも、目の前の一問なら、今日でも手が届く。遠い不安ではなく、近い一歩に目を向ける。それが、長い道のりを歩き続けるコツであり、「やめとけ」に心を奪われないための、いちばんの守りでもあります。
個人的には、「やめとけ」という言葉のいちばんの問題は、内容よりも、人の挑戦する気持ちを先回りして奪ってしまうことだと思っています。理由を知り、自分に当てはまるか見極めたなら、あとは、あなた自身が決めることです。挑むと決めたその気持ちは、誰の「やめとけ」よりも、尊いものです。
理解度チェック
ここまでの内容、どれくらい身についたかチェックしてみよう。
「行政書士はやめとけ」への向き合い方として、正しいものはどれか。
- 多くの人が言うのだから無条件で従うのがよい
- 理由を知り自分に当てはまるか見極める
- ネガティブな声はすべて無視するのが正解だ
- 一度でも見たら挑戦はやめるべきだ
解答は 2 である。
「やめとけ」を頭から否定も鵜呑みもしない。つまり、なぜそう言われるのかを知り、それが自分に当てはまるかを見極めることが肝心なのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 数の多さは正しさでない |
| 2 | ✓ 正解 | 理由を知り見極める |
| 3 | ✗ 誤り | 無視も鵜呑みも危うい |
| 4 | ✗ 誤り | 見極めてから決めてよい |
要するに、振り回されず中身を見ることが、後悔しない道なのである。
行政書士の「食える・食えない」について、正しいものはどれか。
- 選ぶ業務や動き方しだいで結果は変わる
- 資格さえ取れば誰でも自動的に安定収入になる
- 全員がまったく食べていけない資格だとされる
- 努力しても収入はみな同じ額になる
解答は 1 である。
「食える・食えない」は、資格そのものでなく使い方で決まる。わかりやすく言い換えると、どの業務を選び、どう動いたかで、結果は大きく変わるのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✓ 正解 | 業務と動き方で変わる |
| 2 | ✗ 誤り | 自動的な安定はない |
| 3 | ✗ 誤り | 続けている人も多い |
| 4 | ✗ 誤り | 収入には個人差が大きい |
つまり、一括りに「食えない」と決めつけるのは正確でないのである。
ネット上の「やめとけ」の声への見方として、正しいものはどれか。
- 書き込みの数がそのまま実態の割合を示している
- 良い評価ほど多く書き込まれる傾向がある
- うまくいかない声ほど目立ちやすいと知る
- ネットの情報は正しいと考えてよい
解答は 3 である。
人は、満足したときより不満のときに声を上げやすい。つまり、ネットでは「うまくいかない声」のほうが、目立って見えやすいのだ。
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ✗ 誤り | 数と実態は一致しない |
| 2 | ✗ 誤り | 良い声は書かれにくい |
| 3 | ✓ 正解 | 不満の声が目立つ |
| 4 | ✗ 誤り | 情報には偏りがある |
要するに、声の大きさに飲まれず、一歩引いて眺めることが大切なのである。
「やめとけに振り回されず、自分で見極めればいい」と感じてもらえたなら、編集部としてはとても嬉しいです。
「やめとけ」には理由があります。でも、それが当てはまるかは人それぞれ。理由を知り、自分の目的を軸にすれば、その言葉はもう、あなたを止める鎖ではありません。完璧な答えが出るのを待つより、まずは今日、一問解いてみる。その小さな一歩が、折れそうな心を立て直す、いちばん確かなスタートになります。
その「今日の一問」に、4択で解けるシカクエのアプリも選択肢の一つです。迷いながらでも、5分から触れられます。
もちろん、市販のテキストや問題集で、自分のペースで進めるのも、まったく問題ありません。
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